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高校生小論文コンクール

「金融と経済の明日」第1回高校生小論文コンクール(平成15年)

この夏、金融と経済の明日について考えてみませんか?

「私は総理大臣として、日本経済を再生させるバトルロワイアルの先陣を切りたい」

特選

神奈川県 桐蔭学園高等学校 2年 浜田 さゆり

私は生まれ育った日本が大好きです。幼い頃、アメリカで8年ほど生活したことがありますが、アメリカ人と日本人とでは国民としての一体感に大きな隔たりがあるように思いました。アメリカでは人種問題や貧富の差が社会の階層化をはぐくみ、国家のなかにミニ国家が乱立しているかのようです。

常に対立や競争にさらされ、弱肉強食が当たり前の社会。子供の時から「他との違いを重視し、自己主張を尊ぶ教育」が行われ、その洗礼を受けた私は大いに戸惑った記憶があります。とはいえ、その多様性が自由主義経済のダイナミズムにもつながっていることも感じました。

お小遣いも親から与えられるのを待つのではなく、自分から行動を起こすのです。小学生でも近所に手作りクッキーを売りに歩きます。中学生なら芝刈りやベビーシッターのアルバイトに精を出します。高校生ともなれば、仲間と一緒に教会の駐車場を利用して洗車のビジネスで一儲け。大学の入学金くらいは自分で工面します。

とにかく子供なりにアイディアを出し合って、実践することがほめられたものです。

一方、日本の場合は、「他人の意見を尊重し、皆との協調を大切にする教育」が行われてきました。考え方の違いがあっても、徹底的に討論することは「和を乱す」と見なされ、適当に皆が妥協しあい、譲り合うことが美徳とされています。暗黙の了解というようなコミュニケーションのあり方は日本独特のものではないでしょうか。

日本ではお小遣いはもちろんお金のこととなると、何となく雰囲気で分かってもらうのを待つのが自然な感じです。私はお互いに相手のことを思いあって、「あうんの呼吸」で物事がスムースに進む日本式のコミュニケーションの方が、対立や交渉を前提とした丁々発止のアメリカ式よりすばらしいと思ってきました。

もちろん、そのような気配りや目配りがきちんと働くには、お互いが認識しあう共通の価値観がなければなりません。困っている人は皆で助ける。嬉しさや苦しさも皆で分かち合う。いわば皆で力を合わせて心豊かな社会を築き上げていく、という発想が欠かせません。

ところが、このところ、日本の社会のあちこちで「ジコチュー」という害虫が異常に繁殖しています。皆が協力する気持ちを忘れ、自分さえよければ、他人のことなどお構いなし、といった風潮が蔓延しているようです。

いったい、日本人はどうしてしまったのでしょう。私は日本の社会をじっくりと観察してみました。その結果、現在の日本は世界にも前例のないような時限爆弾を抱え込んでいることに気づきました。多くの国民がうすうす感じ取ってはいるものの、口にするだけでも暴発しそうで恐ろしいため、皆が目を背けているようです。

しかし、総理大臣としては、いつまでも「見ざる、言わざる、聞かざる」でいるわけにはいきません。一刻も早く、私たちが抱える時限爆弾の存在を明らかにし、その暴発を防ぐ手立てを講じる必要があると思います。

さて、ここでいう時限爆弾とは何だと思いますか。それは社会が高齢化することによって若者との認識がずれ、国家意識が分断されていることが第一です。

そして第二に、日本企業の多くが国際的競争の波を乗りこなせず漂流化し、これまでの既成概念を打ち破れず硬直化している現象のことです。これは日本の歴史上かつてなかったことです。

いわゆる「ベビーブーム世代」の年齢を国際的に比較すると、日本はアメリカより10歳、ヨーロッパと比べると15歳も高くなっています。その結果、わが国は社会の中核を担う年齢層の高齢化が世界で最も進み、国民の消費行動や日常生活のさまざまな局面で、現状維持ないし変化を回避する傾向が顕著に見られるようになりました。

例えば、政治家や有識者がいくら構造改革を唱えても、社会全体がある種「抵抗勢力」を形成しているため、国民も企業も無意識のうちに改革に背を向けている状態が続いています。若者の間からも造反の動きはありません。なぜ、こんな現状満足型国家になってしまったのでしょうか。自ら変化を起こせない社会に進歩はありません。

その背景には複雑な要因が交じり合っているはずですが、GDPに占める従来型産業の大きさこそ圧倒的な障害といえます。その結果、新規産業への人の移動が緩慢で、ベンチャー企業家の活躍も少ないままとなっているのです。これこそ欧米先進国との違いが最も目立つところといえるでしょう。

他にも深刻な問題があります。例えば、年金制度です。内閣府の試算では、世代別の税金などの負担と、医療、年金などの国から受ける受益を差し引きすると、現在60歳以上の高齢者は一生で5700万円得をするのに、20歳代の若年層は税金や年金を払ったほどサービスを得られず1300万円もの損をするといいます。これでは、世代間の価値観のギャップは埋まりません。

しかも、財政赤字を改善するためには税負担の増加は避けられないといわれてきました。このような税に伴う不公平感の蔓延や将来の年金支給への疑念が強まったため、企業の新規投資意欲の低下、才能ある若い世代の日本脱出の増加、結婚・出産の減少、税収の落ち込み等が発生しています。

これらの指標は、日本が欧米のみならず、アジア諸国と比べても、経済、社会活動において国際競争力が著しく低下していることを裏づけているといえます。

いずれの社会にも当てはまることですが、若い世代が夢を育み、明るい未来に向けて実力を発揮できる環境が保障されなければ、社会全体からダイナミズムが失われるのは自明の理です。

この由々しき現状を打破するためには、日本全体を覆う「マイナス感情」を払拭することが最優先課題となります。そのためには、私は世界をリードする頭脳や産業創生力が日本にあることを内外に強くアピールしたいと思います。

世界最大の外貨保有国であり、世界の貯蓄の4割を独占する日本人の金融資産力とノーベル賞級の技術者を多数抱える日本の大学や企業の研究開発力を戦略的に組み合わせれば、日本が製造業に限らず、新エネルギーやバイオなど未来技術の分野で、「世界のスタンダード」作りに貢献することも可能になるのです。

例えば、日本周辺には400年分の埋蔵量が確認されている「未来のクリーンエネルギー源」と呼ばれるメタンハイドレート(天然ガスの一種)が眠っています。その開発、商業化は日本が過去40年にわたって進めてきたものです。わが国が「クリーンエネルギー大国」になるチャンスが目の前にあります。

また、未来の医療や製薬に欠かせない遺伝子研究や高純度たんぱく質の製造も日本が世界に先駆けている分野です。まさに「健康長寿超大国」の可能性を最も秘めているのが日本なのです。そのような夢を実現するため、政府としても予算を重点的に投入したいと考えています。

このような政策を強力に推進することで、日本を取り巻く経済、社会環境は大きく変わるでしょう。内外からの投資が増え、人材の確保、新規ビジネスの創生、雇用の拡大、税収増、不公平感の解消という「プラス感情」が生まれることは間違いありません。

時限爆弾を日本再生の起爆剤にする。そのためにこそ、日本人が誇る「和の精神」で新しい技術や雇用創出という戦場にともに立ち向かおうではありませんか。

著名人・有識者が語る

  • プロサッカー選手 中村憲剛さん
  • 脳科学者 中野信子さん
  • 作家 上橋菜穂子
  • 落語家 林家たい平さん
  • 劇作家・演出家・女優 渡辺 えりさん
  • 青山学院大学陸上競技部監督 原 晋さん
  • 東京女子医科大学・先端生命医科学研究所教授 清水 達也さん
  • 元スピードスケート選手/長野五輪銅メダリスト 岡崎 朋美さん
  • 工学博士 石黒 浩さん
  • 日本体育大学教授 山本 博さん
  • 編集者・評論家 山田 五郎さん
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  • 医学博士 日野原重明さん
  • 山形弁研究家、タレント ダニエル・カールさん
  • 公認会計士 山田真哉さん
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