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高校生小論文コンクール

「金融と経済の明日」第1回高校生小論文コンクール(平成15年)

この夏、金融と経済の明日について考えてみませんか?

「精神不況からの脱却」

秀作

広島県 広島学院高等学校 1年 岡本 竜馬

「人生、確かなものは一つもない。人間の一寸先は闇だ。だからこそ不安を克服し明日を信じよう。それが我々にとって大事な心の戦いなのだ。」1977年の夏、「宇宙戦艦ヤマト」というSFアニメの中で沖田艦長が言った言葉だ。すでに日本人は未来に夢や希望を持てなくなってしまっていたのではないだろうか。

我国日本は、戦後の1945年から60年までがプレ高度成長期で理想の時代、60年から75年は完全な高度成長期で夢の時代、そして75年からポスト高度成長期で虚構の時代が始まった。現在は、そのますますひどくなった虚構の時代から衰退の時代に入ったと言えるのではないだろうか。

近代の産業革命以降、工業社会になり経済がどんどん発展し社会が成熟してくると中産階級が肥大化してくる。そうすると、色々な人の価値観や行動様式などにも変化が生じてきて次第に競争力にかげりが生じてくる。社会のシステムの問題なども噴出してくるというパターンでこれが近代工業社会の衰退現象なのだと思う。それがまさに今の日本なのだ。

では、今の日本経済はと言えば、確かに、消費者物価が下がり、生活し易くなったかのように思えた時期もあった。しかし、経済のメカニズムから考えれば、物価が下がり給料は上がることなどまずあり得ない。企業の売上高が下がり利益が減れば給与もカットされるのは当然のことである。

中でも重要な問題は、物価が下がっても過去に借り入れた借金は下がってくれないということだ。物価が下がることは大歓迎としてきた消費者にもやっとその問題点が実感されるようになってきた。

デフレの理由としては、(1)消費者が以前ほどモノを買わなくなった。(2)生産コストの安い国からモノを買うようになった。(3)不良債権処理の問題。(4)その不良債権のため、銀行の金融機能の低下で中小企業が苦戦し、お金が回らなくなった。以上のようなことが中心であろう。

今は、民営化や規制緩和などの構造改革による経済活性化、デフレ対策など熟慮された政策の迅速な実行を望むのみだ。物事が複雑化し、速いスピードで変化する今日、私たちは素早く全体像を把握し、その中から問題点を探り出し、最も効果的な解決策をも見い出さなければならない。

思うに、戦前の日本はすごく国家が重い国だった。ところが戦後は国家が軽くなりバランスがとりにくくなってしまった。日本人は規則正しい民族だから重い規則がなくなると足元が定まらず生き甲斐すらなくしてしまう傾向がある。

考えてみれば、戦後の日本は平和と民主主義、進歩とヒューマニズムというイデオロギーでやってきたわけだが、平和には軍事力の裏づけが必要だし、民主主義も時に強権発動がなければ成立しない。進歩は、例えば進学率が上がれば教育水準が下がるなど退歩にもなり得る。ヒューマニズムも人間が前面に押し出されると人間の醜い面が出てくる。

だからこのような矛盾をきちんと受けと止められる精神構造になれれば、すなわち、日本人が戦後の単線的な見方から一日も早く脱皮することができれば、本当の意味での先進国にもなれるのではないだろうか。

現在の日本にとって最も深刻な問題は、経済の不況以上に精神の不況なのだ。

なぜ、今の日本に素晴らしいリーダーが出ないのか、昔の信長・家康のような、坂本龍馬や勝海舟のような、非常に先が見えていて国家を亡ぼさないようにうまく運営していく人物がどうして出てこないのか。それは日本人全体の教養が足りないからだ。民族の教養が高くなければ優れたリーダーは出てくるはずがない。

明治の人たちが偉かったのは伝統をしっかり押えた教養があったから、だからこそ西洋文明なども懐深く受け止められたのだ。故に、今の日本に最も欠けているのは資源でも資本でもなく、モラルなのだ、教養なのだとしみじみ感じる。

「日本は周りを海で囲まれている」という考え方ではなく「周りに海が開かれている」のだと思いたい。もちろん、日本が一人で生きられないのは明らかなわけで、海外に友達や仲間を見つけるべきだ。

しかし、今の日本はまず自分を取り戻すことが大切で、それなしにただぼんやりと外に友人を求めれば、やみくもに外に合わせるだけになってしまうのではないだろうか。「自分を押し出すことで真の友人を得る」ということがとても苦手になってしまっている戦後の弱気な日本。

日本は内側から自覚的に変わろうとする必要がある。素直な感情、感受性で物事を捉え、大いに不満を持つ、その不満を客観視し、システム的に整理する。こうして不満のエネルギーを目に見えるものにしていけば、いずれ必然的に日本経済にも明日が見えてくるに違いない。

僕ら高校生を含め今の若者は、今まさに頭だけではなく全身で、世の中では何が一番大事なのかということを感じなければならないのだ。国や企業がまとまって何かをするというのではなく、一人一人が何か新しい充実感のある方向を求めて動き出すべきなのだ。

僕は新しい日本をつくる人材は近い将来必ず出てくると信じている。いや、もしかするとそれは僕らの仲間の中にいるのかも知れない。

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