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高校生小論文コンクール

「金融と経済の明日」第2回高校生小論文コンクール(平成16年)

キミのホンネで日本経済を変えてみないか?

「未来をつくる奨学金と税制度の創出」

秀作

福島県 福島県立相馬東高等学校 3年 伊東 香織

1.はじめに

私の夢は地元である相馬市をより豊かで活気のある地域によみがえらせることだ。以前は城下町として栄え、人びとが活気づいていた町がここ数年でいっきに静まりかえってしまった。

私の住む相馬市は人口4万人程の東北地方南部に位置する地方都市である。高齢者と呼ばれる65歳以上が約1万人と人口の4分の1を占めており、全国に比べて8~9年早く高齢化が進んでいる。

最大の原因は、高校卒業後の恒例ともいうべき若者の流出と若者の就職先である企業の減少である。

たいていは通学圏である仙台地区へ進学するか、東京方面へ旅立っていく。不況のあおりもあり地元企業はより安い労働力を求めて経済発展途上国へ進出していく。そうなると、ますます地元での就職がむずかしくなり仙台や東京に就職先を見つけ腰を落ち着けるのだ。その結果ほとんど地元に帰ってはこない。

東北地方では政令指定都市である仙台の人口増加だけはとどまるところを知らない。かく言う私も県都福島への進学を考えている。しかし地元に帰ってきて働きたいと思っているのだ。でも就職先が限られていたり、都市部への交通機関の不便さ、文化的施設の衰退などから帰ってくることに少々の不安がよぎるのが正直なところだ。

そこで、若者の目を地元に向けさせいずれは地元から日本を、さらに世界を変えていく人を育てられるような基盤をつくっていくことを目標とする。それを進めるきっかけとしての奨学金と税制度をまずは考えてみた。

2.分野別奨学金制度(グローイングアッププレゼンツ)

大学・短大・専門学校等へ進学する高校生に対して、定額の奨学金(月額10万円)を貸与する。返還については、10年程度の分割(無利子4年制進学なら年48万円)で返還してもらう。これにより、地元就職者は同年度高校卒業生の1割(20名)程度増加するものと想定してみた。貸与人数は以下の系統別に各2~3名程度とし、貸与主体を地方自治体(市町村)とする。

(1)理工・技術系(2)医療・福祉系(3)文化・人間系(4)法・政治系(5)外国語・国際系(6)経済・企業系(7)社会・総合系(8)芸術・表現系(9)家政・生活系(10)体育・健康系(11)生命・環境系

3.地元活性人税と基金(バイタルタクス&カムバックファンド)

(1)地元活性人税
国税である消費税総額(10兆円)の5分の1(2兆円)もしくは従来の地方交付税交付金(20兆円)の10分の1(2兆円)を振り替える。名称は地元活性人税とする。それを全国約1万3千の市町村に分配すると、一自治体当たり1億5千万円程が交付されることになる。

(2)地元活性人基金
(a)用途…地元活性人税をあて、奨学金として貸し出す。積極的に他地区に進学して、社会を変えていける知識や技術を身につけようとする若者の意志を経済的に支える。そして、いずれは身についた力を生かす場所として、地元に帰ろうとするきっかけとなるよう奨学金返還の全額免除規定を設ける。

(b)貸与人数…初年度は各市町村とも1億5千万円の基金で奨学生の募集を始めることになる。それはいつしか地元の活性化の原動力となる人物を育てていくための奨学金である。前述の分野毎に2~3名程度ずつ(計30名の見込み)月額10万円を貸与する。

(c)募集条件…学生支援機構(旧日本育英会)の規定に準じるが、市町村の事情に応じて貸与者を決定できるようにする。

(d)返還について…地元に就職した場合には全額返還免除とする。ただし相馬地区に支店を持つ企業に就職したが、初任地は地区外である場合など事情に応じて返還猶予の期間を設ける。期間内に地元に戻った場合には返還免除となる。

(e)基金の収支について…4年目までは事務費も含めて繰り越し金は出ない。5年目には地元就職者を20名(返還免除)見込み、10人分480万円の返還金が発生する。翌年からは、同様に480万円ずつ返還金が増え、8年目には1920万円が戻ってくる。逆に見れば地方活性人税は5年目から480万円ずつ、8年目から1920万円ずつ減税することができる。15年目以降は1億3千万円ほどで足りるようになる。国の歳出としては2600億円の減税となる。

4.おわりに

奨学金制度によって地元に戻ってくる若者が増えれば、徐々に活性化は進むだろう。若者の流出による過疎化と高齢化にも歯止めがかかる。また、この制度を利用し地元に帰ってきた若者を受け入れてくれた企業には経営補助金を出したり、企業の税金を減税するなどの体制や制度を設けると他の企業の目も自然と地方に向いてくるのではないだろうか。

このように行政が幅広い分野での雇用を創出させることが課題である。志を持って、勉強や研究を積み重ねた人間が生活拠点を同じくしていくとすれば、彼らは着実に自分の住む地域をよりよくするために力を発揮していくはずである。

そうした変化が表れはじめると奨学金返還免除という理由がなくても地元に帰ってくる者も増えるのではないだろうか。1つ1つの地域が経済的によくなると日本全体の景気もよくなる。そうしたなかで経済的な成功者が現れ、基金の上乗せもはかられるかもしれない。夢は大きく広がっていく。

最後に、相馬市を拠点に国際ボランティア活動を手がける佐々木絋一氏の言葉を借りてこの企画を締めくくりたい。

「世界を思いながら、地方から動いていく」

地元活性人基金が全国の全市町村に根付けば、地方は末端から活性化し、日本経済に大きな好影響をもたらす予感がする。日本経済が草の根から勢いを取り戻していくならば、それはまた世界全体に素晴らしい刺激を与えていくに違いない。

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