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高校生小論文コンクール

第16回「金融と経済を考える」高校生小論文コンクール(2018年)

講評

第16回「金融と経済を考える」高校生小論文コンクールには、3,061編の作品が寄せられました。テーマは、金融や経済に関することであれば「自由」です。厳正な審査の結果、特選5編、秀作5編、佳作50編の入賞作品が決まりました。

海外経験を活かして広い視野から社会の平等や人間の幸福について論じた作品、AI(人工知能)やSNS(ソーシャルネットワークサービス)など最新のテクノロジーが導く未来を見据えた作品、家業や郷土など暮らしの足元から着想を得た作品と、多彩でハイレベルな力作が目立ちました。その中から、特選5編の概要を紹介します。

金融担当大臣賞「『暮らしやすさ』と『税』」の筆者は、父親の仕事の関係で子ども時代を北欧のスウェーデンで過ごしました。教育、医療、介護がほぼ無償で受けられ、財政収支の均衡もとれているスウェーデン。対して日本の社会保障は自己負担が大きく、国の財政は赤字が続いています。なぜ、このような差が生じているのか。筆者は両国の税収システムを比較しながら、その原因を探ります。「日本の消費税は逆進性が高く経済活動を弱めている」「スウェーデンでは全国民に社会保障の恩恵が及ぶため自分のための納税という意識が強い」と分析、「働けば負担が増す」日本の現状を放置する限り、税収は増えないと憂慮します。さらに、保育士の給与などを例に福祉職の処遇の差にも目を向け、日本は「あまりにも厳しい」と指摘、税収不足だけが問題ではないと訴えます。近年は、移民の受け入れ問題で揺れているスウェーデンですが、「今の日本をより『暮らしやすく』するヒントになり得る」国であると結んでいます。「北欧の幸福度の高い国の事例を挙げ、税のあり方などがとてもよく書けている」「税のあり方にとどまらず、国や社会のあり方についても高い視点から考察できている」といった点が評価されました。

文部科学大臣賞「平等な社会」の筆者が考える「平等」とは、「全員が同じだけのお金を持つこと」ではなく、「世界中の誰もが自分らしく過ごすこと」です。筆者はそれを、南米のブラジルと南太平洋のフィジーという2つの国での経験から学びました。父親の仕事の関係で3年半暮らしたブラジルでは、日本人や裕福なブラジル人は恵まれた暮らしをしている一方、路上にはホームレスがあふれ、貧民街を裸足で歩く子どもたちがいました。「貧富の差」を目の当たりにし、「私たちのような、恵まれている人たちが何か役に立たなくてはいけない」と考えます。他方、それに疑問符を付けたのが、フィジーでの経験です。高校2年の夏にボランティア活動で2週間滞在し、村人の貧しい暮らしに接したものの、「この村を助けたい!」とは全く考えませんでした。村人たちはいつも笑っていて幸せそうに見え、逆に大切なことを学ばせてもらったと感じます。必要なのは「幸せを持続できる社会を作る」援助であり、「先進国ももう一度、自国の課題を見つめなおし、発展途上国から学べることは学ぶべきである」と筆者は提言します。「人々が幸福になるためには何が必要かを掘り下げて考察している」「2つの国を比較した視点が新鮮」などの受賞理由が挙げられました。

日本銀行総裁賞「起業という道」の筆者は、高校2年の夏休みに「起業」をテーマとする5日間のキャンプに参加しました。国内外から高校生が集うキャンプで筆者が学んだことの1つは、「起業は問題解決の方法である」ということです。日本の英語教育に問題があると感じていた筆者は、英会話をアシストする翻訳表示機能付き眼鏡を発案、講師に「それで起業できる」と言われ、「なるほどこれが起業か」と気づきます。2つ目は「高校生だからこそ起業することに大きな意味がある」ということです。最終日に開かれたビジネスコンテストで、筆者のチームは食物アレルギーがある人のための「アプリ」を発表し、見事に優勝を勝ち取りました。それはアレルギーに配慮した飲食店やレシピを探す機能を備えたもので、「若いうちだからこそ、見落とされがちだが重要な現代の問題に気づくことができ、新しい解決法を考え形にできるのだ」と筆者は考えます。このキャンプをきっかけに、教育関係で起業する道を模索し始めた筆者は、社会のさまざまな問題に対し、起業という形で、柔軟で強力な「特効薬」を生み出していこうと決意します。「日本人が苦手とする分野だが、学びのプロセスが丁寧に書かれている」「論旨がわかりやすく表現されている」点などが評価されました。

全国公民科・社会科教育研究会会長賞「食から始める未来への投資」は、「食」の観点から「子どもの貧困」対策について提案した作品です。2013年に「子どもの貧困対策法」が成立すると各地に「子ども食堂」が登場、現在は2,200カ所を超えています。しかし、開店日が少ない等の諸問題があるため、筆者は「食堂」を公共事業化し、地域の高齢者との交流の場も兼ねてはどうかと述べるとともに、貧困家庭に食材を届け、配達の際に子どもの健康状態など家庭状況も把握できる「子ども宅食」を並行して実施することを提案します。また、子どもの貧困対策で「食」を優先させれば、栄養摂取により健康になり、授業に集中できて学力もアップし、ひいては将来の安定した生活につながる、と強調します。これができれば、いずれは「社会保障関連費が減少し、貧困を脱却した人々の税金・社会保険料が増え、政府は財源を増やすことが可能となる」とし、子どもの貧困を解消することは「日本全体に良い影響をもたらすかもしれない」と結んでいます。審査員からは「『今』をテーマにして、非常におもしろく展開できている」「『子ども食堂』だけでなく『子ども宅食』にも注目して提言している。高校生らしい視点に好感をもった」と評価されました。

金融広報中央委員会会長賞「四方よし」は、近江商人の心得「三方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)を発展させ、「貧困」の解決策を考えた作品です。筆者は北九州市などが主催する上下水道ユース研修に参加して、ベトナムのハイフォン市を訪れ、北九州市が水道施設の支援をしていることを知ります。ベトナムの職員だけで施設を管理できるよう指導するので「買い手よし」、環境改善するので「世間よし」、北九州市水道局の技術者を育成できるので「売り手よし」となる「三方よし」の事業だと考えました。2015年に国際連合サミットで採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)の17項目中、1番目に挙がっているのが「貧困」です。筆者は中学の時、ニューヨークの国連本部で研修を受ける機会があり、それから目標達成の方策を考え続け、たどり着いた答えが「四方よし」でした。筆者が考えた四つ目の精神は「作り手よし」です。発展途上国の生産者が低賃金で働くことのないよう、売り手、買い手の意識改革が必要で、エシカル消費が大切だと強調し、「『四方よし』の世界をこれからみんなで作っていきたい」と述べています。審査員からは「SDGsに繋がるエシカル消費等を『四方よし』の四つ目に加えてうまくまとめている」「異なる複数の資料を調べている点がよい」「『四方よし』という言葉がうまい」と評価されました。

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  • 元新体操選手・タレント 畠山愛理さん
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