金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2006
実施報告
金融教育ケーススタディ
高等学校の部
開催場所:604会議室 定員:40名(各50分)
開催時刻:【第1回】 15:40~16:30
生徒の興味・関心を高める「現代社会」の授業を求めて
~経済ニュースからアプローチする「金融経済」学習~
梶ヶ谷 穣 教諭 神奈川県立海老名高等学校
配布資料(PDF 1,056KB)
むずかしい、そしてつまらないと思われている経済学習の授業を、生徒にいかに興味・関心を持ってもらうかという目標のもとに進めた2時間の「現代社会」の授業を報告させていただきます。
なぜむずかしくてつまらないか、それは、教員の方も経済の理論や仕組み、制度を説明することが精一杯で分かりやすく教えることが難しいこと、また、教科書等で学習する内容と現実の経済社会で起こっている現象とがあまりにも乖離していることも理由の1つにあげられるでしょう。
そこで、「知識注入型」の授業ではなく、生徒に「考察させる学習」の授業を目指して実施しました。もちろん「現代社会」の授業として、学習指導要領にのっとって金融の働きとか現代の企業を学習していますが、もう1つ、現実の経済社会を生徒に把握させるため、新聞を教材に取り入れるNIEの手法を取り入れました。さらに、生徒が授業に積極的に参加できるようにということでグループ学習を取り入れ、お互いに意見を述べあい、考えさせるようにしました。
授業を始めるに当たって、金融広報中央委員会が昨年から今年にかけて実施した「子どものくらしとお金に関する調査(平成17年度)」から、「お金についての意識」の調査結果を導入として使わせていただきました。
授業はまず、「お金をたくさん儲けたいですか?」「お金があれば幸せだと思いますか?」といったお金についての質問から始めていきました。次いで「企業・会社」サイドの学習内容からのアプローチとして、企業の社会的責任(CSR) を考えるため、新聞から「粉飾決算」の報道事例を引用して授業を行いました。また、関連する事項としては「企業統治(コーポレイトガバナンス)」「情報開示(ディスクロージャー)」「インサイダー取引」について考えさせました。次に「消費者・投資家」サイドの学習内容からのアプローチとして、「合法ならどのような方法でも儲けてよいのか?」といった発問を生徒にした後に、新聞報道を利用しながら考察させました。
そして最後に、再度、最初の質問「お金をたくさん儲けたいですか?」との質問に、「一攫千金を目指す。」と答えた生徒が最初の3人から1人に、「ある程度たくさんのお金が欲しい。」は13人から20人に増えるという結果でした。この授業を実施したのは2クラスだけだったので、この結果から結論を導くことはできませんでしたが、生徒は「株式投資はもうかるのかな。」「自分も何かやってみたいな。」といった気持ちそして投資にはリスクが伴うこと、「お金」と「しあわせ」との関係などいろいろなことを考えてくれたと思います。
この授業実践で感じたことは、「現代社会」という科目の性格上、出来る限り新聞、報道を上手に使うと学習効果が出るように思います。またグループ学習等を取り入れて、生徒に理解されやすい、そしておもしろい内容に工夫することで、学習効果が上がるように思います。学校外から招いた講師による専門的な授業にも、生徒たちは興味を示しよく聞いていました。ただ問題は、2時間では時間が足りないことでした。