金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル in the Galaxy
6F 大人の宇宙おかね教室 知るぽると金融教育セミナー
証券投資のリスク回避と役立つ知識
講師:(社)日本証券アナリスト協会 三井住友アセットマネジメント(株)
チーフエコノミスト 宅森 昭吉 氏
<(社) 日本証券アナリスト協会検定会員>
これから証券投資をするにあたり、景気判断の材料になる身近な参考事例を紹介します。2008年9月15日のリーマンショック以降、世界的に株式市場がとんでもないことになりました。国債分散投資とかすればリスクが回避出来ると思っても、世界的に株価が一斉にズドンと下がってしまえば大変です。今回の金融危機で大変な事態になっているのは、アメリカに次いでヨーロッパの金融機関と言われますが、2007年7月以降の株価総合指数を比較すると、日・米・独・英の中で一番下がっているのは日本なのです。そこで大切なのが、自分で経済を見ていく目や物差しを持つことだと思います。
第一は、日銀短観の「大企業製造業の業況判断指数」です。景況感を「よい」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた指数で、3か月ごとに公表されます。市場関係者が重視するのは、景気と同じように動くからです。08年の1~3月期から、予想より悪い下振れが始まり、6月、9月とマイナス幅が拡大。12月期の予測は-4ですが、類似調査からみると予測より10ポイント以上悪くなり、かなりのマイナスになるかもしれません。
次はGDP(国内総生産)統計です。07年10~12月期以降、数値が下方修正されました。GDP予測には、内閣府が毎月発表する月例経済報告の各論で紹介される個人消費動向を示す「消費総合指数」が役立ちます。供給サイドと需要サイドの消費関連数字を合わせたGDPの個人消費に近い概念だからです。
内閣府の「景気ウオッチャー調査」も重要指標です。タクシー運転手や学校の就職担当者など、業種・地域別に全国2,050人の調査員を任命し、毎月末の7日間に「景気がよくなっていますか」「悪くなっていますか」と方向性を質問し、その結果を数値化したものです。回答率は9割に達し、翌月の6営業日に発表するため速報性と先行性の面で優れています。
社会現象もヒントになります。日米のプロ野球は、人気チームが制覇すれば景気がよく、逆の場合は不景気とか。テレビドラマも、「世界の中心で愛をさけぶ」が2004年にヒットしたように、景気のよい時には純愛ものが流行ります。一方、社会派の医療ドラマや強い女性が主人公のドラマ―「篤姫」も強い女性でしょうね―が人気になると、不況のシグナルのように感じ取れます。
日銀短観からGDP、景気ウオッチャー調査、社会現象などを注視し、景気に連動した雰囲気を感じ取ればリスク回避に役立つと思います。