金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル in the Galaxy
6F 大人の宇宙おかね教室 知るぽると金融教育セミナー
生命保険:しくみと役割 -預貯金との対比-
講師:(財)生命保険文化センター
生活情報室調査役 牛嶋 信治 氏
皆さんには、生命保険を例に「保険とは保障というサービスを提供する商品」であることを預貯金と比べながらご理解頂きたいと思います。
金銭管理の項目のなかに、貯蓄と保障があります。貯蓄は、一般的には将来の多額の支出に向けて「貯めること」であり、その典型的な商品は預貯金です。これに対して保障は不測の多額の出費や収入の途絶に「備えること」であり、その典型的な商品は保険です。
なぜ保険が保障の手段になるのでしょうか。それは保険の仕組みに確率の考え方が入っているからです。死亡した場合に保険金が支払われる生命保険には、死亡する確率(死亡率)が使われます。例えば健康な45歳の男性が1年間に死亡する確率が1000分の2とします。これは簡単にいえば、仮に45歳の男性が1,000人いると1年間に2人が亡くなるということです。保険の仕組み(原理)では、1,000人の男性から保険料として2万円ずつ集金すれば2,000万円の基金ができ、死亡した男性の遺族にそれぞれ1,000万円を支払うことができます。男性からみれば、保険料2万円で1年間の死亡への備え(死亡保障)1,000万円を準備できることになります。保険料は安心を買う費用、すなわち保障のコストなのです。仮に自分が1年間の間に死亡した場合に備えて預貯金で対応すると、毎月83万円ほどの金額を1年間積み立てねば1,000万円にはなりません。
生命保険の契約時に告知義務や医師の診査を求められることや、年齢が上がれば保険料が高くなることなどは、生命保険の仕組みから理解することができます。また保険の加入時には損得の考え方はあまり馴染まないこともお分かりでしょう。
生活設計のなかで、住宅の頭金や自動車の購入など貯蓄が必要な項目は預貯金で、働き盛りでの死亡による所得の喪失や病気・事故による突発的な多額の出費への保障には保険で対応するなど、合理的な手段を選択することが大切です。
生命保険商品を購入する場合には、まず保障目的を明確にすることです。預貯金は定期預金であれ普通預金であれ、自分の資金という意味で大きな違いはありません。保険の場合には目的が異なれば適切な保険種類(商品)や保険料も異なります。保険は保障を購入するとはいえ、その効用を実感するのは不測の事態が発生した場合です。
生命保険は住宅に次ぐ高い買い物です。契約段階で内容を理解し、納得して加入する態度が求められます。