金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2011
金融教育セミナー 鹿児島会場
日本証券業協会 講師
NPO法人エイプロシス(投資と学習を普及・推進する会) 証券カウンセラー
平林 喜男 氏
よくわかる株式投資
預金や貯金は元本保証です。社債は償還期限までに売ると元本割れすることがあり、発行会社が破綻すれば元本も保証されません。投資信託や株式は元本保証ではありません。「銀行で買った投資信託は元本保証」と誤解されている方もありますのでご注意ください。
個人投資家は、投資するのは自分のお金ですから好きなように運用でき、中長期投資もできます。これに対して機関投資家は、他人のお金を預かって運用するので決算があり、利益が出ているものを決算前に売らざるを得ないこともあります。また、内外の株式や債券の運用割合を決めて「国際分散投資」したり、日本株で言えば日経平均株価や東証株価指数に連動する「インデックス運用」する先が多いのが特徴です。市場平均等を上回ることを目指す「アクティブ運用」をする先もありますが、結果を色々検証するとうまくいっていません。なお、預貯金は機関投資家を通じて国債などに投資されていますが、国債発行残高が780兆円を超え、国の財政が大きな問題になっているのはご存知のとおりです。
いま1年定期の金利は0.03%で、高い運用利回りを求めて若い人を中心に株式投資への関心が高まっています。しかし、株式は元本保証ではありませんので、「1円も元本を減らしたくない」という人は預金がよく、その場合は同じ銀行に集中させずに分散することも必要でしょう。いまはデフレですが、インフレになれば預金では物価上昇に追いつきません。株式には、物価とともに株価も上がりお金の価値を維持しやすい「インフレヘッジ機能」があります。日本人の資産運用は米国に比べ預貯金が多く株式や投資信託は少ないのですが、自己責任で運用する時代に移行しつつあります。
株式投資の魅力の第一は、値上がり益が期待できることです。日本株ではバブル期以降損をした人が多いと思いますが、魅力としてはこれがあります。値上がり益は、買った株が値上がりした段階では「評価益」、売却すれば「実現益」となります。「買い3年の売り10年」と言われるように、うまく買えるようになるより、うまく売れるようになる方が難しい面もあります。第二は配当金です。いま配当金の利回り(配当金÷株価)は平均で2%くらいあります。1年定期の0.03%に比べて魅力的です。ただし、良い会社を選ばないと、配当が減ったり、株価が下落します。第三は株主優待です。自社商品や優待券などです。これらを受け取って生活に活かすほか、チケットショップで売る人もいます。第四は株式分割です。お金がかからず株数が増えます。ただし理論的には株数が増えた分だけ株価は下がります。
株式投資のリスクは、第一に値下がり損の可能性があることです。第二に会社が倒産すると価値がなくなります。第三は業績が悪いと配当金がなくなります。第四に上場が廃止されることもあり、この場合、売買は非常に難しくなります。最後に為替リスクです。海外株式に投資すると、円ベースの評価額は円高で下がり、円安で上がります。
リスクを低減する方法としては、第一に投資対象の分散です。同じ業種に投資しないとか、タイプやテーマ(輸出、内需、東北復興関連、金融、資源、中国関連など)を分散するなどです。第二は投資時期の分散です。例えば毎月定額を自動的に投資することにすれば、株価が下がったときには多くの株数を買うことになり、平均取得コストを下げることができることがあります。自動的に買うので株価下落時にも怖がらずに買えることになります。 このような投資の仕方を「ドル・コスト平均法」と言います。
金融商品の選択基準として、「安全性」(確実性)、「流動性」(換金性)、「収益性」(利殖性)があります。一般に、普通預金や国債は「安全性」や「流動性」が高く、「収益性」は劣ります。株式や投資信託は「収益性」は高いものの、「安全性」や「流動性」は劣ります。自分のライフプラン、年齢・収入・保有資産、資金の性格(教育資金、住宅資金、老後資金)を踏まえて、自分に合った金融商品をお選びください。
株式投資をする際は、3つの余裕が必要です。「資金の余裕」、情報収集する「時間の余裕」、冷静に判断する「心の余裕」です。
日本証券業協会とは
金融商品取引法に基づく認可商品取引業協会であり、協会員(会員、店頭デリバティブ取引会員及び特別会員)の行う有価証券取引等を公正かつ円滑にし、金融商品取引業の健全な発展を図り、もって投資者の保護に資することを目的としています。