金融教育公開授業
平成17年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
金融広報中央委員会
兵庫県金融広報委員会
兵庫の実施報告
「金融教育公開授業in神戸(兵庫商業高等学校)」
(12月15日開催)
12月15日(木)午後、神戸市立兵庫商業高等学校において公開授業が行われました。当日は、いちのせかつみ氏が、1年生約240名に対し、「100万円でたこ焼き屋を経営しよう」をテーマとする授業を実施した後、商業科の生徒、教師が実践報告(「商品開発」・「経済活動と法」、「コーポレートアクセス」、「株式について」、「ファイナンシャルプランニング」)を行い、最後にいちのせ氏による総括講評がありました。
▼参加者(生徒以外):
学校関係者 70名、保護者・一般参加者 10名、教育委員会関係者 2名、金融広報委員会関係者 1名、新聞社 1名
公開授業「100万円でたこ焼き屋を経営しよう」
公開授業は講堂において行われました。まず、準備作業段階として、ハンバーガーの原価について、パン、肉、野菜、ソースといった材料費、光熱費等の加工費に分けた説明があり、イメージと材料費の内訳が意外と違うこと、100円バーガーだけでは殆ど利益が出ないことなどが明らかにされました。
次に、話は本題のたこ焼き屋の経営へと進められました。先生が用意したワークシートには、(1)どこに店を作るか、(2)お客さんは誰か、(3)何時から何時までお店を開けるかといった販売戦略のほか、(4)たこ焼き一つ当たりの利益計算(売上金額-各種費用=営業利益)、(5)1日の損益計算書といった、日頃から簿記に接している商業高校ならではの内容が盛り込まれています。生徒たちは、いちのせ氏の軽妙な指導に沿って一つ一つ順を追って数値を熱心に埋めていき、最終的に100万円稼ぐための価格設定や販売個数を導き出していきました。
(いちのせ先生の授業)
商業科教師等による実践報告
最初は、ビジネスコースを専攻する第3学年の生徒2名から、「商品開発」・「経済活動と法」についての報告がありました。報告では、2学年時にオリジナル工作キット商品「つったろう」を開発、それを用いた工作キット教室を小学校など様々な場所で開催させるまでを振り返り、実践力、問題解決能力、起業家精神が身に付いたことが示されました。
「コーポレートアクセスコース」は、民間企業が提供する教育プロジェクトにエントリーして、働くことの意義や企業活動に対する理解を深めていくプログラムです。取り組み内容や成果について、担当教師による報告が行われました。
「株式について」では、株式に関する基礎的な知識習得や新聞経済面や四季報の見方を学んだ後、班別に投資テーマを設定して株式を仮想売買するといった授業が紹介されました。
「ファイナンシャルプランニング」では、金融教育を巡る最近の動向や金融教育において会計教育が重要であるという内容の発表が行われました。
(担当の先生による発表)
いちのせ氏の総括講評
いちのせ氏からは、今回の公開授業の狙いについて、「細かい知識を取得することより、会社をつくるための大まかな流れを掴んでもらい、商業高校生に関係の深い会計への橋渡しをすること」との説明がありました。そして、今、わが国において金融教育を強化しなければいけない背景について、友人のカナダ人に指摘された次のエピソードが紹介されました。
このままでは、日本人が駄目になる。なぜなら、日本人の子供に、『欲しいものがあった場合、どうしますか』と聞くと、多くの場合、「買う」、「誰かに買ってもらう」という答えが返ってくるからだ。一方、日本以外では、「我慢する」、「作る・工夫する」といった答えが多い。日本人も昔はそうだった筈だ。だからこそ、資源小国にも拘わらず経済大国に発展したのではないか。