金融教育公開授業
平成17年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
金融広報中央委員会
宮城県金融広報委員会
宮城の実施報告
「金銭教育公開保育in宮城(本吉町立幼稚園)」
(10月13日開催)
宮城県本吉町立津谷幼稚園での公開リレー授業は、幼稚園で開催されたものとしては全国唯一です。同園では、「豊かな心を持ち、人や物を大切にする幼児の育成を目指す」保育を行ってきており、研究校としての活動も普段の保育の中に無理なく取り入れて16年度より取り組んでいます。10月13日には、公開保育・研究発表・講演会と盛り沢山のプログラムで公開リレー授業が開催されました。
当日は、同地域の幼稚園・保育所・小学校・中学校の園長・校長・教諭、および教育委員会・教育事務所・公民館関係者のほか、町長および町議会議員の出席もあり、PTA・地域住民を含め総勢136名が参加したほか、プレスの取材も3社ありました。
同園は、少子化の影響もあり、在籍園児数が減少傾向にあるが、保育者自身の出身園であったり、同町出身者であったりするように、世代を超えて町内の幼児を育む場として長年にわたり機能しています。水道事業所やスーパーマーケットなどの園外保育もスムーズに実施されていることに象徴されるように、町全体で子どもたちを慈しみ、育てている様子がうかがわれました。
公開保育
公開保育は「きんちゃん、せんちゃんとあそぼう!~きんちゃん・せんちゃんランドであそぶ~(身近な物を使った遊び)」と題し、身近にあるもの(ペットボトル、牛乳パック、プラケース等)を用いて製作した遊具(ボウリング、釣りゲーム、輪投げ等)で遊ぶ様子が公開され、ステージでは歌や踊りが披露されました(3~5歳児対象)。子どもたちは、自らが遊ぶのみならず、年長児は友だちを遊ばせる・楽しませることによって人との関わりを積極的に持っていたほか、小石をおかねに見立て遊びの参加費としてやり取りする姿が見られました。
(きんちゃん・せんちゃんパズル)
(おかねを払ってゲームに参加)
研究発表会
昨年度来の同園における取組みについて、「豊かな心を持ち、人や物を大切にする幼児の育成をめざして──金銭教育を通じて──」と題して発表されました。
今日の金銭的にも物質的にも豊かな環境が、幼児の金銭や物に対する健全な感覚を失わせ、物を大切にする気持ちを希薄にしているとの問題意識から「物を大切にする心」や「感謝する気持ち」を育てることが必要であると考え、次のような手立てを講ずることによって、豊かな心をもち、人や物を大切にする幼児を育成しようとしています。
- 幼児・教師・家庭における『人や物を大切にするための身近な課題』を明確にし、環境構成や援助を工夫する。
- 教師の幼児へのかかわり方を工夫し、褒めたり認めたり共感したりする場や機会を設ける。
- 啓発活動を工夫し、家庭や地域との密接な連携を図る。
(同園研究紀要より抜粋)
また、「スーパーへお買い物に行こう!」、「大根を売ってみよう!」、「水道事業所へ行こう!」、「お父さんの一日入園」といった具体的な事例が紹介されました。
研究発表に対して、きんちゃん、せんちゃんというオリジナルのキャラクターを設定して、保護者を含めた取組みができていることが同園での最大の成果ではないか(幼稚園関係者)との講評がありました。また、従来の取組みの延長で実施していること、なかでも、保護者とくに父親を巻き込むかたちの連携が印象深く、参考になったほか、家庭通信がたいへん役に立っていると感じた(幼稚園関係者)とのコメントが出されました。
保護者からは、子どもが家庭に持ち帰る金銭教育の考え方により、親の考え方や行動も変わったとの発言がありました。同園での取り組みにおいて悩んだ点は何かとの質問に対して、お金をどのように扱うのが良いのかは多少悩ましく思ったが、普段の保育の見直しの中で扱うことにしたと回答があり、教師自身がもっと物を大切にし、感謝の心を持つことが重要だと感じた(同園関係者)と報告がありました。
また、宮城県志津川教育事務所からは次のように講評がありました。
物を大切にすることが困難な状況にありながら、課題を設定し、段階別に実施することを企図しており、成果と課題を確認しながら実施していると分析されました。
また、幼児教育においては環境における体験が重要である中、見通しをもって環境を整備していることや、幼児を見守りながら、幼児の主体的・自発的な活動を促していること、幼児の小さなつぶやきを拾い上げて対応・行動していること、さらに、保護者、地域の方とともに環境を設定し、園外活動を含めてPlan、Do、Check、Actionの流れにのった活動を展開していることが、家庭や地域社会での経験が園に流れ、また園での経験が家庭に戻るという循環を生み出しており、家庭や地域が一体となった望ましい環境設定ができている点について高く評価されました。
公開保育においては、年長児が遊びのルールを年中児・年少児に説明するなど異年齢児との関わりが見られる保育内容となっていること、また、園全体で子どもを育てることが重要である中、チーム保育が活かされていると締め括られました。
講演会
「キャスターとして、親として~子どもの頃からの金銭教育~」
講師の生島ヒロシ氏は、まず、これからの社会では自助努力・自主判断・自己責任が求められており、お金に働いてもらうことも考えるべきであること、子どもにはどんな才能があるかわからないが、それを見つけてあげるのが親としての役目であると語りました。さらに、子どもには欲望をいかにコントロールするかを教えておくことが必要であること、また、子どもにどのようにお金を与えるかも重要であり、手伝いをさせて報酬を払うことや、与える-貯める-記帳するの流れにのっとり、使い途のシナリオを話し合うことを勧めるなど、お金について親が子どもと話すことが大事であるとも語りました。
(ボーリングに成功!)