金融教育公開授業
平成19年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
金融広報中央委員会
鹿児島県金融広報委員会
鹿児島の実施報告
「金融教育公開授業 in 蒲生(蒲生小学校)」(1月24日開催)
蒲生町立蒲生小学校は、豊かな自然に恵まれた鹿児島県本土のほぼ中央部に位置し、18~19年度に鹿児島県金融広報委員会から金銭教育研究校の委嘱を受けて、「ものやお金の大切さが分かり、感謝の気持ちをもつ子どもの育成~体験活動を通して~」を研究テーマとして、学校ぐるみで金融・金銭教育に取り組んでいます。1月24日(木)には、同校教諭による公開授業と、陣内恭子氏による講演が行われました。また、午後には、金融・金銭教育協議会が開かれました。当日は新聞社および地元テレビ局各1社が取材に訪れました。
▼ 参加者内訳:
児童323名、開催校教職員21名、開催校保護者29名、教育委員会10名、他校教員66名、地域の方々等6名、合計455名
1.公開授業
金融広報中央委員会事務局による開会挨拶の後、前原校長より、「毎日期限切れの食品が大量に廃棄されるような世の中で、子どもたちが『もったいない』という気持ちを実感としてもつことができるか、懸念している。金銭教育に関する研究活動はこうした課題に取り組む貴重な機会になった」との挨拶がありました。
「お金の大切さについて考えよう」をテーマとする5年1組の公開授業では、まず、前の時間に行った勤労体験での封筒作り作業の様子がビデオで紹介されました。一生懸命の仕事にもかかわらず、その成果を金額に換算するとクラス全員分でたった34円にしかならなかったとの先生の話に、子どもたちは大きな驚きの声をあげ、働いてお金を得ることの難しさを実感していました。
続いて、ゲストティーチャーとして、児童の保護者が、自動車整備士としての仕事について子どもたちに話をしました。お客さんの都合に合わせるために休みの日に働かなければならないこともあるが、修理できたときの喜びや任せてもらえたときのやり甲斐が感じられ、またこの仕事で給料がもらえるから家族が生活できるとのお話の後、先生が「働く人の気持ちがこもっているから、お金は大切なんだね」と説明しました。
子どもたちは、お金の使い方について、よかったと思うことと直した方がいいと思うことを考え、グループで話し合って意見をまとめました。よかったと思うこととしては、「ほしい物があったけど、それよりもっとほしい物があったので、がまんした」という声があがった一方、直した方がいいと思うことについては、「使い終わっていないのに新しい物を買ってしまった」、「貯金していなかったので、ほしい物があった時に買えなかった」という指摘がありました。そして「お金の使い方をどう見直したらいいと思いますか」との先生の質問には、「おうちの人に相談してからお金を使う」、「本当に必要かどうか考えてから使う」などの意見が出されました。
児童からは、「これからはよく考えて貯金したりお金を使ったりしていきたい」といった声が聞かれました。また、参観した保護者等からは「ゲストティーチャーの話がキャリア教育としても有益だった」との感想が寄せられました。
(公開授業の模様)
2.講演会
ファイナンシャル・プランナーで金銭教育指導者団体「マネーじゅく」代表である陣内恭子氏が、「こころを育てるお金のはなし~金銭教育の視点で選択と責任を子どもに伝える」とのテーマで、児童と保護者を対象に約1時間講演されました。まず、3年生に辞書を渡して「選択」と「責任」という言葉の意味を調べさせることから始めて、「ある品物を選んでそれを買うことは、それを作った会社に『ありがとう』と言って応援することであり、自分の気持ちを込めることなので、そこには責任が伴うことを理解して下さい」と話されました。
また、「おこづかいはよい教材です」として、小遣いをもらったら小遣い帳をつけるよう勧め、「後でそれぞれのお金の使い方を振り返り、その反省を活かして『本当にほしいものかどうか』を考えながらお金を使うようにしてください」と述べました。
そして、「将来何になりたいか、そのためにはどうすればいいかを考えて、おうちの人や先生に相談してみてほしいです。がんばって勉強して、地元や世の中の平和と発展に向けた鍵を開けてください」と締めくくられました。
質疑応答では、子どもたちが「お年玉を使いすぎないようにするにはどうしたらいいですか」などと熱心に質問し、陣内氏は一つ一つに丁寧に答えられました。
(講演会の模様)
3.金融・金銭教育協議会
午後には、場所を蒲生町中央公民館に移して、金融・金銭教育協議会が開催されました。姶良・伊佐教育事務所の上釜(かみがま)指導課長による挨拶の後、鹿児島県金融広報委員会から金融・金銭教育研究校の委嘱を受けている3校が研究活動報告を行いました。蒲生町立蒲生小学校からは、各学年の教育実践の内容に加えて、家庭との連携にも留意して活動を進めた結果、児童や保護者のアンケート調査結果にも変化がみられたとの報告がありました。蒲生町立蒲生中学校は、生徒の実態調査等を踏まえて「もったいない」などを主題とする学習指導を進めたと報告しました。鹿児島県立福山高等学校からは、商業科目を中心に、将来のライフイベントに備えた計画的な貯蓄の重要性を認識させる取組み等に関する報告がありました。
続いて、姶良・伊佐教育事務所の恒吉指導主事が座長を務め、フロアからの質問に3校の教諭等の教育関係者が答えるかたちで研究協議が行われました。午前中の公開授業の意図や、学校全体の取組みにするための工夫などについて、真剣な質疑応答がありました。
最後に、九州財務局鹿児島財務事務所の濱口総務課長より、「金融トラブルや多重債務問題への対策として学校における金融・金銭教育は重要であり、今後とも金融・金銭教育活動への理解をお願いしたい」との閉会挨拶があり、協議会が終了しました。
4.プログラム
- 9:20~ 9:30
- 開会挨拶 金融広報中央委員会事務局
蒲生町立蒲生小学校校長 - 9:30~ 9:35
- 公開授業の視点についての説明
- 9:45~10:30
- 公開授業「お金の大切さについて考えよう」(5年1組)
授業者:蒲生町立蒲生小学校教諭 大山乃輔 - 10:45~11:50
- 講演「こころを育てるお金のはなし~金銭教育の視点で選択と責任を子どもに伝える」
講師:陣内 恭子氏 - 13:30~13:35
- 金融・金銭教育協議会
挨拶 姶良・伊佐教育事務所指導課長 - 13:35~14:35
- 研究活動報告
蒲生町立蒲生小学校
蒲生町立蒲生中学校
鹿児島県立福山高等学校 - 14:45~15:55
- 研究協議「学校における金融・金銭教育の進め方」
- 15:55~16:00
- 閉会挨拶 九州財務局鹿児島財務事務所総務課長