金融教育公開授業
平成20年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
福井県金融広報委員会
福井県立南越養護学校
金融広報中央委員会
福井の実施報告
「金融教育公開授業 in 福井(南越養護学校)」(10月17日開催)
福井県立南越養護学校は、知的障害、肢体不自由、病弱などの障害がある幼児児童生徒(以下「児童生徒等」という)のための総合的な特別支援学校として、平成17年4月に開校した新しい学校です。同校には、幼稚部、小学部、中学部および高等部が設置されており、児童生徒等の社会自立や社会参加を目指して、小学部(幼稚部)入学から高等部卒業までの12年間(幼稚部を含めると13年間)の一貫した教育を行っています。小学部(幼稚部)では「基本的な生活習慣の育成」、中学部では「生活経験の拡大」、高等部では「自立的生活の充実」を念頭において指導しており、特に高等部では、将来に向けた社会経験を広げていくこと、および社会参加や社会自立に必要な知識・技能・態度を身に付けることを目標にしています。「金銭教育」については、高等部卒業後、生徒たちが社会生活を営む上で欠くことのできないものであり、将来のより豊かな生活づくりを考えるとき、就職して給料を得て、そのお金で生活を楽しむことを教えていくことは、大切な指導であると考えています。
そこで、同校では、平成19・20年度の2か年にわたり、特別支援学校としては全国で初めて金銭教育研究校の委嘱を受け、「特別支援学校における『金銭教育』の実践について~将来の社会自立(職業自立)に向けて~」というテーマで研究に取り組んでいます。
10月17日(金)には、小学部から高等部までの児童生徒(今年度は幼稚部在籍なし)が一緒に参加する公開授業と、外部講師による講演会を開催しました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
「なんえつのおみせであそぼう!」、「ようこそ!なんえつのおみせへ」と題して、小・中学部、高等部合同授業が行われました。この授業は、高等部の生徒が作業学習班ごとに模擬店を出店し、小・中学部の児童生徒がお客として来店し、チケットやお金を介してやりとりをするという設定で行いました。当日は、「なんカフェ(喫茶店)」、「スタッフー(ボール入れ)」、「木工ボール(的あて、スマートボール)」、「エルパナンエツ(もぐらたたき)」、「ちょっとより道(ボウリング、魚つり)」の5つの模擬店に小・中学部の児童生徒が訪れました。中学部の生徒は、事前にチケット売場でチケットを購入し、児童生徒個々がお金やチケットで代金を支払っていろいろなゲームや喫茶を楽しみました。
喫茶「なんカフェ」では、生徒6名が接客とレジを担当しました。来店した児童生徒は、好きな飲み物を注文し、飲食の後、伝票をレジまで持って行き、支払いと精算を体験しました。
お金を一枚ずつ数えて支払いをした児童は、高等部の生徒が操作するレジを興味深げにじっと見入っていました。各模擬店では、小・中学部の児童生徒に交じって参観者にもお客として来店していただき、高等部の生徒たちが行う接客を体験してもらいました。また、卒業生が働いている福祉施設にも御協力をいただき、そこで作られているパンや菓子を販売するコーナーを設けました。生徒たちが店員になって参観者に販売し、こちらの方も大繁盛でした。公開授業は、たくさんの方々に御参加・御協力をいただき、どのお店も大賑わいで、児童生徒の活気に満ちあふれていました。
2.講演会
公開授業の後、加賀屋克美氏を講師に招き、「日米のディズニーで学んだ感動のサービス」というテーマで講演が行われました。同校高等部では、「金銭教育」を通して、生徒たちに「働くことの意味」を考えさせたいと思っています。今年度からは、高等部作業学習に「サービス班」を新設し、「サービス業」における仕事のあるべき姿(サービス業で賃金を得るということ)についても生徒たちに考えさせています。
加賀屋氏は、東京ディズニーランドでのアトラクション勤務やディズニーストアーでのグッズ販売・スタッフ教育・マネージャー業務、更にはアメリカのディズニーワールド内のディズニーストア勤務などの経歴をお持ちです。講演では、加賀屋氏の豊富な経験・体験にもとづく数々のエピソードを交えて、ディズニーがくり広げる「思いやりのサービス」についてお話しいただきました。特に、ディズニーランドのキャスト(ディズニーランドでは従業員のことを“キャスト”、お客様のことを“ゲスト”と呼んでいる)の教育で語り継がれる「伝説のお子さまランチ」の話では、涙、涙の1シーンも・・・。「ディズニーランドのレストランで若い夫婦がハンバーグとドリアの他にお子さまランチを注文された。キャストは、『子どもはいないはずなのにおかしいなぁ?』と思い、マニュアルにどおりに大人はお子さまランチを注文できないことを伝えた。が、同時に、そのキャストは『どうしてお子さまランチを注文したのだろう・・・』と疑問を抱き、夫婦に問いかけると、亡くなった子どもと、大きくなったらいつかこのレストランで3人一緒に食事を楽しもうと約束していたこと、今日は亡くなった子どもの誕生日であり、その約束を果たすために来園したということを知る。この話を聞いたキャストは上司の許可を得て、この夫婦にお子さまランチを提供する。更に、子ども用の椅子も準備して、『3人でごゆっくりお食事をお楽しみください』と夫婦に伝える」・・・このように、マニュアルを超えた対応でゲストの思い出づくりができたこと、そして、ゲストに合わせたサービスを提供することにより、時に予想を超えた感動が生まれるということ、このことが、正にディズニーが目指す「思いやりのサービス」であると話されました。この他にも、「駐車場のおじさん」の話など感動的な話が披露され、加賀屋氏からは、「サービス」という仕事の本質について、示唆に富んだたくさんの助言をいただきました。
参加者からは、「自分の考え方や行動を見つめ直すきっかけになりました」、「働くことの意味を考えさせられるとても感動的なお話でした」、「ディズニーのお話で学んだ精神をこれから大事にしたいです」、「人であふれた駐車場のお話、涙が出ました。これから心を込めて仕事をがんばります」、「たくさんのメッセージと感動をありがとうございました!」などの感想が聞かれました。加賀屋氏の話が個々の仕事や作業などの取組みを振り返るよいきっかけになったことが強く感じられる講演会になりました。
3.プログラム
- 13:30~14:20
- 公開授業(小・中学部、高等部合同授業)
「なんえつのおみせであそぼう!」
「ようこそ!なんえつのおみせへ」 - 14:40~14:45
- 開会挨拶 福井県立南越養護学校校長 龍溪信行
- 14:45~16:15
- 講演「日米のディズニーで学んだ感動のサービス」
講師:加賀屋克美氏 - 16:15~16:20
- 閉会挨拶 福井県金融広報委員会副会長 上川卓苗