金融教育公開授業
平成21年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
岡山県金融広報委員会
学校法人淳心学院海星幼稚園
金融広報中央委員会
岡山/倉敷市の実施報告
「金融教育公開授業 in 倉敷(海星幼稚園)」(10月22日開催)
海星幼稚園は倉敷市玉島の市街地に位置し、キリスト教の教えに基づき、よい環境の中で「心を育てる」ことに力を注いでいます。
また、金銭教育研究校として「感謝する心」、「ものを大切にする心」を育てることを目標にさまざまな活動に取組んでいます。
同園では、10月22日(木)に公開授業が開催され、生活経済ジャーナリストのいちのせかつみ氏による公開授業と講演のほか公開保育を実施し、保護者を中心に普段の授業風景を参観して頂きました。
当日は地元ケーブルテレビの取材がありました。
▼ 参加者内訳:
1.公開保育
同園が2年間取組んでいる金銭教育について、園児が自ら制作した天地創造の紙芝居「てんちのはじめ」を披露し、自然破壊を食い止めるために身近に取組める環境保護の方法を伝えたり、牛乳パックやトイレットペーパーの芯などの廃材を利用した自身の作品発表も行い、「工夫することで新しい命になるよ」、「神様も地球も笑顔になりますように」、「命を大切にしましょう」と呼びかけました。
その後、同園の教諭から金銭教育の取組みについて中間発表を行いました。牛乳瓶の蓋を利用したオセロ作りや、廃材を利用した作品展や壁面装飾を実施しているほか、水栽培による野菜作りに挑戦し、収穫した葉をウサギの餌にして飼育代の節約につなげた事例などが紹介されました。また、園児自らが節水や節電に気をつけようと、グループで園内の見回りをしており、その成果は家庭での節水などへつながっているとの報告がありました。参加者からは「子供たちが自分たちで製作した紙しばいをすることで大人から聞くだけではわからないことも理解(知ること)が出来ているように感じました」といった感想が寄せられました。
2.公開授業
講師のいちのせ氏から5歳児を対象に「お・か・ねって?」というタイトルで公開授業が行われました。
はじめに、いちのせ氏からの「お金の好きな人!」、「お金が欲しい人!」という問いかけに対し、ほとんどの園児が手を挙げ、続いて「お金があったら何をしたいの?」という質問に「お菓子を買う」、「おもちゃが欲しい」など次々に答えていました。
そして、「大人の欲しいものを聞いてみよう」ということになり、園児も興味深く聞いていましたが、保護者などから「おうち」、「洋服」などの答えが出ると、会場が一体となって笑いに包まれました。
次に同氏が「お金の研究をしよう」と提案し、園児全員に1円から500円の硬貨が入った財布を配り、「どれが100円かわかるかな」などと質問していきました。園児はそれぞれの財布から硬貨を取り出して見せ、正解すると両手を挙げるなどして喜びを表現していました。そして、「1円から1万円の中でどのお金が好きですか?」という質問に対しては、高額になるにつれ「好き」と答える園児が多く、保護者から驚きの声が上がりました。
続いて、「60円のお菓子と60円の鉛筆があればどちらが欲しい?」との問いかけには半数ずつに分れていた意見が、「小学校に入ったらどちらが必要?」と質問が変わると「鉛筆」という意見が多数になりました。それを受けて、いちのせ氏は「これから買い物をする時は大事なものは何か、必要なものはどちらかを考えて、おうちの人と相談して買うようにしましょう」と話され、園児たちも真剣に聞き入っていました。
そして「買い物をした後、お店の人が言う『ありがとう』という言葉は、聞いていてとても気持ちのいい言葉なので、皆で一緒にやってみよう」と提案されました。園児は立ち上がり、大きな声で「ありがとうございました」とおじぎをしたところ、「非常に上手」と褒めて頂き、普段お世話になっている幼稚園の教諭と保護者に向けて、得意顔で「ありがとうございます」と挨拶をしました。
いちのせ氏は最後に、お金には色々な種類や使い方があること、買う時にはちゃんと考えて使うこと、お礼を言うことの3つを出来るようになって下さいと締めくくられました。
3.講演会
引続きいちのせ氏による保護者を対象とした「子どもはお金が好きやねん!」と題した講演が行われました。
冒頭同氏から、最近金銭教育に関する活動が注目されていることについて、「かつて日本ではお金の話はタブーとされていたが、生活が豊かになり便利になった現代こそお金の使い方についてきちんと勉強する必要がある」と説明がありました。
次に参加者に対して、クーリングオフについて様々な事例を質問したところ、意外に勘違いをしている方が多く、いちのせ氏からは「知っていると思っていても詳細な内容までは意外と知らないことが多い」と指摘され、詐欺被害などを防ぐうえでも、「まず保護者がしっかり自覚し学ぶことが大切である」と話されました。この話に参加者は納得した様子で聞き入っていました。
また、「多くの保護者は子育てをするうえで、お金の与え方について悩みを持っていると思うが、大切なのは子どもの成長に合わせて十分話し合うこと、その家庭の方針を決めることで、周囲に流されないことである」と話されました。そして、子ども自身がお金本来の持つ意味を理解し、上手に使う方法を身につけるよう育てて欲しいと語りました。
最後に、今後の教育費や子育てに関する制度等にも触れ、ぜひ家庭でお金について考える機会にして、今日から意識を変えて実践してみて下さいとまとめられました。
参加者からは、「実体験に基づく子育ての話でわかりやすかった」、「日頃の疑問に対する答えを聞くことが出来て、非常に有意義だった」等の感想が聞かれました。
4.プログラム
- 9:00~10:30
- 公開保育「いのちを伝える ありがとう!」
- 10:30~11:00
- 公開授業「お・か・ねって?」
講師:いちのせかつみ氏 - 11:15~12:30
- 講演「子どもはお金が好きやねん!」
講師:いちのせかつみ氏 - 12:30~12:35
- 主催者挨拶 岡山県金融広報委員会事務局長
- 12:35~12:40
- 謝辞・閉会挨拶 海星幼稚園園長