金融教育公開授業
平成22年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
兵庫県金融広報委員会
神戸市立小部東小学校
金融広報中央委員会
兵庫の実施報告
「金融教育公開授業 in 兵庫(小部東小学校)」(11月19日開催)
神戸市立小部東小学校は、神戸市北区にあり、都会にいながら大自然に囲まれ、四季折々の風情も素晴らしい、ゆったりとした気持ちになれる地域にあります。
開校以来、地域の人々に支えられ、「認め合い 高め合い 鍛え合う 小部東っ子 ~思いやりの心をもち、みんなとともに伸びる子~」を教育目標に学校運営を進めており、保護者・教職員とともに力を合わせ、全体テーマを「みんなで発見!お金のひみつ~正しいお金の使い方、物を大切にする心について学ぶ授業づくり~」として、金銭教育にも熱心に取組んでいます。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1) 「こころのたからもの」(1年生・道徳)
絵本「金のさかな」から、優しい心で金のさかなを助け、お礼は何も求めないおじいさんと、次から次へ欲張りな願い事をするおばあさんについて考え、物欲には限りが無いことを知り、心豊かに暮らすことの方が幸せであることに気づきました。そして自分たちも身近な人に暖かい心で接しようという思いが共有されました。
(2) 「にじいろのさかな」(2年生・道徳)
絵本「にじいろのさかな」から、にじいろのうろこをあげない魚が、うろこをあげるように変わったこと、友達と仲良くすることについて考えました。友達と仲良くすることはものをあげることではなく、優しい心で接することなのだという気づきがありました。
(3) 「生活ゲームをしよう」(3年生・特別活動)
事前に買い物ゲームや仕事体験により、お金の使い方や働いて収入を得ることを学習したうえ、当日は仕事体験の収入を使って生活ゲームをしました。手元のお金の残額によって気持ちが変化することや、本当に必要なものは何かを考えて買い物をすることが大切なこと、生活で使用する電気・水道などにもお金がかかることを知りました。
(4) 「働かざる者」(4年生・道徳)
事前学習でものを大切にする方法や、身近にある多くの無駄に気づき、また、「キッザニア小部東」と題した労働の疑似体験を通じ、働いてお金を稼ぐことがいかに大変なことかを実感していました。「働かざる者」の紙芝居を見て行った話し合いで、「お父さんが自分たちのために一生懸命働いて得た収入」であるおこづかいに感謝し、その使い方を振り返り、「大切に使いたい」、「必要な物を考えて買いたい」という意見が出されました。
(5) 「くらしにかかるお金はいくら」(5年生・道徳)
自分のくらしの中で、「何にどれくらいのお金がかかるか」、「そのお金は誰がどんな思いで払っているのか」考えてみました。その結果、1人あたりの必要額が予想したより多いことを知って大変驚き、家の人に感謝し、少しでも出費が少なくなるようにしたい、お金は大切に使わないといけない、また、自分にできること(ものを大切にすること)をしようといった思いにたどりついたようでした。
(6) 「欲しいもの 必要なもの」(6年生・特別活動)
自分のお金の使い道を調べ、その結果を「必要なもの」、「本当に欲しいもの」、「買わなくてよかったもの」に分類してみました。また、国によって「1,000円の価値」が違うことを学び、こうしたことを通じて、自分のお金の使い方を振り返り、お金を無駄にしないことの大切さについて、しっかり考えることができたようです。
(7) 「お店やさんごっこ」(特別支援学級・生活単元学習)
みんなで力を合わせて、お店やさんごっこを楽しみ、自分の力に応じたやり方で、支払いができることを目標にしました。お店やさん・お客さん役のそれぞれの役割を担って、商品やお金を落とさないよう大切に扱い、普段は恥ずかしがりやの児童も積極的に人と関わることができました。
2.研究発表
2年間の取組み内容等を取りまとめた資料に基づき、これまでの活動について次のとおり発表しました。
小部東小学校では、「子どもの生活の中にもお金に関するトラブルが増加し、また、低年齢化しているのではないか」との危機感から、小学校での「金銭感覚を高める授業の必要性」を感じ、兵庫県金融広報委員会から委嘱されて金銭教育研究校となっています。「みんなで発見!お金のひみつ ~正しいお金の使い方、物を大切にする心について学ぶ授業づくり~」をテーマに据えて、道徳や特別活動での指導を中心に、改めてお金について考える授業の研究を進めてきました。
研究を進めるうちに、金銭教育も他の教育と同様、「子どもたちが勉強してよかったと感じるものでなければ意味がない」と確信し、実際にお金を使う場面で、学習したことを生かす実践力を培えるように、また、これに併せて「ものを大切にする心」を育むことができるように取り組んできました。ある学級で「教室内の落し物を集めて、お金に換算する」という授業を行ったところ、「落し物だけでこんなにすごい金額になる。もっと持ち物を大切にしないといけない」という声が上がるようになりました。
結びとして、金銭教育は、子どもたちの心に一石を投じるとすぐに成果が表れたり、力を継続できたりするものではないため、研究校を終えても引続き保護者や地域との連携を図りながら、継続実践していくことが大切であると報告されました。
3.講演会
研究発表後、いちのせかつみ氏による教育関係者向けの講演会「子どもはお金が好きやねん!~今、お金の教育が必要なワケ~」を開催しました。
日本人はお金の話をタブー視してきたところがあるが、本当はお金に興味があり、もっとお金に係る話をすべきである、また、家庭で子どもとお金の話ができる身近な話題は実は沢山あり、その1つ1つが金融・金銭教育に繋がっていると説かれました。
家庭での話題としては、例えば銀行振込の普及により今は影が薄くなってしまった「給料」に係るもの、また携帯電話の話をしてみるのも一つの手であること、お年玉を貰ったら、使い道を書いた礼状を出させるとお年玉を下さった相手が喜ぶ使い道を考えるようになるとの話もありました。
4.プログラム
- 13:45~14:30
- 公開授業「みんなで発見!お金のひみつ」
(1) 「こころのたからもの」(1年生・道徳)
(2) 「にじいろのさかな」(2年生・道徳)
(3) 「生活ゲームをしよう」(3年生・特別活動)
(4) 「働かざる者」(4年生・道徳)
(5) 「くらしにかかるお金はいくら」(5年生・道徳)
(6) 「欲しいもの 必要なもの」(6年生・特別活動)
(7) 「お店やさんごっこ」(特別支援学級・生活単元学習) - 14:45~14:50
- 開会挨拶
小部東小学校校長
兵庫県金融広報委員会事務局長
神戸市校長会会長 - 14:50~15:00
- 研究発表 「みんなで発見!お金のひみつ ~正しいお金の使い方、物を大切にする心について学ぶ授業づくり~」
発表者:小部東小学校校長 - 15:00~16:00
- 講演「子どもはお金が好きやねん!~今、お金の教育が必要なワケ~」
講師:いちのせかつみ氏 - 16:00~16:05
- 閉会挨拶 小部東小学校教頭