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金融教育公開授業

平成22年度金融教育公開授業(全国リレー講座)

高知県金融広報委員会
高知市立介良小学校
金融広報中央委員会

高知/高知市の報告

「金融教育公開授業 in 介良(介良小学校)」(2月5日開催)

高知市立介良小学校は、高知市内中心部から程近い場所に立地しながら、田畑にも囲まれ、自然豊かな環境にあります。かつてより、農業体験や食の大切さについて考える学習に取り組んでいます。

平成21年度に金銭教育研究校の委嘱を受けてからは、保護者や地域の方々の協力も得ながら、食育と金銭教育とをうまく組み合わせた形で、児童の成長に合わせた授業を展開しているのが特徴的です。

当日は、公開授業を全校で実施した後、いちのせ氏による保護者や教員等向けの講演会を実施しました。

▼ 参加者内訳:

児童498名、開催校教員25名、開催校保護者220名、他校教員1名、地域の方々12名、合計756名

1.公開授業

当日行われた公開授業のうち、一部を紹介します。

(1) 「ちょきんをしよう~ちょきんばこ作り~」(1年生・生活)

まず、どのようにしてお小遣いが自分達の手元に来ているのかという点について皆で考え、話し合いました。多くの児童は、「お小遣いはお父さんやお母さんが一生懸命働いて得た給料の一部」であることを認識し、保護者への感謝の言葉やお小遣いを大切に使う必要性について述べていました。

その後、段ボール製の組立キットを使い、保護者にも手伝って貰いながら貯金箱作りに取り掛かりました。完成品を手にした児童からは、「家のお手伝いをしてもっと貯金をする。必要な物をよく考えて計画的に使いたい」とか、「友達とお金の貸し借りをしてはいけない」といった声が多数聞かれました。今回の貯金箱作りを通じ、公開授業を受けた児童は、働く保護者への感謝の気持ち、家庭で行う手伝いの意義と必要性、お金の計画的な使い方、友達との金銭の貸し借りに関する善悪の意識など、生活をしていく上で必要な事柄について考える良いきっかけになったようでした。

1年生の公開授業「ちょきんをしよう~ちょきんばこ作り~」の模様

(2)「欲しいモノと必要なモノ!賢いお金の使い方」(5年生・総合)

いちのせかつみ氏による公開授業は、「お金が好きな人」、「お金持ちになりたい人」という質問から始まりました。お金に関する話は嫌がられたり、恥ずかしいと思う人が少なくないが、お金は人を幸せにするものであると同時に、使い方を間違うと人を不幸にするものでもあるため、積極的に話し、考え、賢く使うことが大切であるということを強調されました。また、お金は大人が一生懸命仕事をした成果であるため、実際にお金を手にした時には、どこからどのようにして自分の手元に来たのか、よく考えて欲しいと述べられました。

次に、「コンビニ研究」というテーマで話を進められました。日頃利用しているコンビニは、人間の習性を利用する形で、店舗の出入り口や商品の陳列位置を決めていると説明されました。また、食料品スーパーでも、購入頻度が高い、卵、牛乳、豆腐の3品は、店舗内を一周しなければ買えないように商品を配置しているなど、来店客により多くの商品を買って貰うための工夫を行っているという点についても、ユーモアを交えながら解説されました。

続いて、アイスやチョコレート等のお菓子や鉛筆を持ち出し、この商品のうち、「欲しいモノは何か」と質問し、どの商品に人気が集まるのか確認しました。その後、同じ商品を使って「必要なモノは何か」と質問したところ、「欲しいモノ」とは異なる結果となりました。こうした点を踏まえ、「欲しいモノ」と「必要なモノ」は一致することがないわけではないが、大半の場合は異なるため、買い物をする場合には、今必要なモノなのか、単純に欲しいと思っているモノではないのか、といった点について少しでも考え、お金を賢く使って欲しいと締め括られました。

いちのせ氏の話は、実体験を交えながら、終始ユーモアに溢れた内容であったため、児童からは、「コンビニやスーパーには、お客さんに買い物をさせるための工夫があることが分かった。僕も今度、観察してみたい」とか、「本当に必要な物かどうかよく考えてから、買うようにしたい」といった感想が寄せられました。

(3)「ケイタイのひみつを知ろう~かしこい消費者になるために~」(6年生・総合)

携帯電話の料金体系や携帯電話を巡るトラブル事例について学習しました。無料ゲームを利用していたつもりが、知らない間に使用料金が掛かり、後日、何万円もの料金を請求されたといった事例や、小・中学生を巻き込んだ出会い系サイトで被害に遭った事例等が紹介されました。

児童からは、「中学生になったら携帯電話を買って貰う予定なので、自分に合った料金プランを家族と話し合いたい」とか、「携帯電話を巡るトラブルは非常に怖い話であったが、携帯電話を利用するようになると、自分も同じトラブルに巻き込まれる可能性がある。習ったことに注意して自分自身を守りたい」といった感想が寄せられました。

2.講演会

公開授業の後、いちのせかつみ氏から、「子どもはお金が好きやねん!今、金融教育が必要なワケ」と題する講演が行われました。いちのせ氏は、一度身についた金銭感覚を変えることは難しいため、早いうちに正しい金銭感覚を身に付けさせることが何よりも重要であると強調され、講演を開始されました。

最初に、来場者に対し、クーリングオフに関する4つの質問が投げ掛けられました。具体的には、1)自らがセールスマンを呼んで購入した商品、2)テレビショッピングを利用して購入したが、想像以上に大きかった商品、3)絵画の展覧会に出掛けた際に気に入り、ローンを組んで購入した商品、4)街頭で呼び止められ、「クーリングオフはしない」との文言が入った契約書に印を押した上で購入した商品、についてクーリングオフができるかどうか、一つ一つ法的な根拠や考え方を交えながら解説されました。

こうしたクーリングオフに関するケーススタディを経て、大人でも知っているようで知らない金融経済知識は少なくないため、子どもとともに興味や関心を持って考えて欲しいと話されました。子どもの金銭感覚は、親の仕振りや家庭で行っていることに大きく影響されるため、理屈ではなく、親が率先して見せて理解させることが重要であると述べられました。同じ千円札であれば、紙幣としての価値は変わらないが、扱い方一つで人の価値(=周囲からの見方)は変わるといった説明では、会場の至るところでいちのせ氏の言葉に頷く光景が見られました。

また、一昔前までは、日々の生活の中で自然と金融教育が行われていたが、世の中のシステムが大きく変わった結果、金融教育を行う必要性が高まっていると指摘されました。つまり、給料が現金支給であった時代には、月1回の給与支給日に、家族が父親に対する感謝と労いの言葉を掛け、母親は父親が持ち帰った給料を食費や光熱費など、支出予定の費用毎に仕分けを行うという光景がどの家庭にもあり、こうした家庭環境の中で、子どもはお金の流れや有り難味を感じ、正しい金銭感覚を身に付けていったと振り返られました。しかし、今では給与振込みが浸透し、お金の流れが見え難くなった結果、お金に対する子どもの意識は薄らいでいるため、学校や家庭等での金融教育の必要性が高まっていると強調されました。

最後に、いちのせ氏は、ご自身の子どもに対する金融教育法について披露されました。毎月、金銭コミュニケーション会議を開いて、子ども自身に、使った小遣いの分析や分析結果を踏まえた点数付けを行わせたり、子どもの成長とともに小遣いの与え方を変えたり(為替相場を理解させるためにドルベースで与えた、計画的かつ自立的な金銭感覚を養わせるために年俸制に見直した等)したことを説明されました。ただし、置かれた環境や子どもの性格や興味・関心等によって小遣いの与え方は異なるため、各家庭で子どもと相談して決めることが最善とされました。また、「皆が持っている」という理由で携帯電話をねだる子どもへの対応を引き合いに出しながら、欲しいモノと必要なモノは異なるということを理解し、賢くお金を使うことが大切であるという点を述べられて、講演を締め括られました。

来場者からは、「今、金融教育が必要なワケが良く分かった」とか、「金融教育は、日々の買い物など、日常生活の中で実践できると実感した。早速実行したい」といった感想が寄せられました。

講演「子どもはお金が好きやねん!今、金融教育が必要なワケ」の模様

3.プログラム

13:45~14:30
公開授業
(1)「ちょきんをしよう~ちょきんばこ作り~」(1年生・生活)
(2)「大きくなった自分をみつめよう」(2年生・生活)
(3)「昔のくらしと今のくらし」(3年生・社会)
(4)「命やものの大切さを考えよう」(4年生・総合)
(5)「ケイタイのひみつを知ろう~かしこい消費者になるために~」(6年生・総合)
(6)「おいしいおやつの販売に向けて」(けらふじ学級)
14:00~14:10
開会挨拶
介良小学校校長
高知県金融広報委員会会長
14:10~14:40
公開授業「欲しいモノと必要なモノ!賢いお金の使い方」(5年生・総合)
講師:いちのせかつみ氏
14:45~15:30
講演「子どもはお金が好きやねん!今、金融教育が必要なワケ」
講師:いちのせかつみ氏
15:30~15:35
閉会挨拶
介良小学校校長

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