金融教育公開授業
平成22年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
静岡県金融広報委員会
菊川市立菊川西中学校
金融広報中央委員会
静岡の実施報告
「金融教育公開授業 in 菊川(菊川西中学校)」(11月26日開催)
菊川市立菊川西中学校は、菊川市の北西部に位置し、二つの中学校を統合して建設された校舎や運動場は広めの敷地を有しています。学校教育目標の「自ら高め 礼儀正しく たくましく」に向かって、勉強・部活動に生き生きと活動しています。
金融教育研究校の委嘱を受けて、全教科・領域に金融教育の視点を組み込み、「学校教育目標の達成」と「生きる力の育成」に向かって、生徒と教員が一体となって取り組んできました。
11月26日(金)の公開授業では、全クラスで授業が公開され、各教科でオリジナルのワークシートを使った特色のある授業が展開されました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
当日行われた授業のうち、一部を紹介します。
(1) 「本の帯は何のために書かれているか考えよう」(1年生・国語)
帯紙なしの本と帯紙ありの本では、どちらを買いますか?本の帯紙が何のためにあるのかを考えていくと、本の帯紙が購入者の興味を引き付け、購入意欲を高めることに気付きました。そこで、本をたくさん売るためには、どんな内容を書くのが効果的なのかを話し合いました。
(2) 「著作権について知ろう」(2年生・音楽)
10月の黄菊祭・合唱発表会の模様をCDに録音し、コピーCDをみんなに配付しようと考えました。コピーに必要なCDは安価で、録音作業は自分達で行えば無料ですが、著作権があるのでは?と気付きます。
授業後半では、外部講師から著作権の専門知識を学ぶことで、日頃から、レンタルCDを安易にコピーしたり、インターネットから無料ダウンロードしたりすることへの問題意識を高め、著作権により収入を得る人達の存在を知りました。また、CDの購入資金を貯めることも考えていきました。
(3) 「どの電球のコストが一番安いのか」(3年生・理科)
同じ60Wの蛍光灯、白熱灯およびLEDライトを点灯したとき、明るさや温度にどのような特徴がみられるだろうか?そこから、エネルギーの変換効率を比較し、消費コストを考えていきました。
私たちの生活の中で、電気代はいくらかかっているのだろう?つけっぱなしの場合は蛍光灯、つけたり消したりの場合は白熱灯、両方の場合はLEDが安いのではないか。では、1個あたりの単価はどうか。ランニングコストを考えたとき、どの電球が一番安いのかを意見交換しました。
(4) 「電子マネー」(3年生・学活)
買い物をするときの代金の支払方法には、どんなものがあるのだろうか?私たちの身の回りにある様々なカードを例にあげ、「電子マネー」の基礎知識を学びました。
「電子マネー」はカードだけでなく、携帯電話のおさいふケータイとして普及しつつあります。見えないお金のメリットやデメリットについて話し合い、便利さだけでなく、財布の感覚が薄れ、使い過ぎなどの危険が潜むことを学びました。
参観者からは「金融教育を多くの教科で取り扱われていたことに驚いた。どの授業も多くの工夫が感じられ、すばらしいと思った」、「お金が見えなくなってきている社会の中で、どのようにして子どもの金銭感覚を育てていくかが、とても大切なことだと感じました」といった感想が寄せられました。
2.研究発表
2年間の金融教育活動を「生きる力の育成」に関連付け、1)お金や経済に関心を持つこと、2)多くの意見交換をすることで思考力・判断力・表現力を身につけること、3)体験活動により「自立する力」と「社会とかかわる力」を備えること、4)将来を展望し、向上心をもって生活することを授業に取り込み実践してきたことを発表しました。
当日の発表会場である体育館には、これらの内容を8枚のパネルにまとめて展示しました。保護者や教育関係者はもちろんのこと、前日には、大勢の生徒たちが、パネルを見学し、今までの活動の内容を実感しました。
3.講演会
公開授業の後、あんびるえつこ氏から「子どもの金銭感覚を養うお金の教え方」と題する講演が保護者や教育関係者を対象に行われました。
最初に始まったのはデートシュミレーションでした。その中で、私たちの生活の中に増えている、「見えないお金」の管理の難しさを体感しました。電子マネーが普及する金融環境では、見えないお金の管理が重要です。そして、変化する経済環境の中では、「お金がいつどれだけ必要なのか」、「老後の生活は大丈夫か」など、先を見通す力も必要であることを伝えてくれました。
ワークショップの「カレー作りゲーム」は、限られた予算の中で、できるだけ家族の希望に沿うように材料を選ぶというものです。何人かの方に選んだ材料を発表してもらいました。その結果からすべての希望に応えるのは難しいこと、決められた予算の中で希望を叶えるためには、必要なものと欲しいものを考え、何かをあきらめなければならないことがあるということでした。
子どもたちは、欲しいものと必要なものとを見極め、計画的にお金を使うことを学校や家庭で学ばなくてはなりません。子どもたちが、1)自分の価値観で意思決定をし、賢い消費者になっていくこと、2)公的な判断を伴った意思決定で賢い市民になっていくことをあんびる先生は望み、そのように導くためにも金融教育が必要であると説明されました。
参観者からは、「子どもに教える前に、まずは自分のお金の使い方を考え、子供と一緒に勉強していきたいと思います」、「損・得でなく、社会の一員としての態度を育てるという観点で話されているところが大切なことだと思いました。知識だけでなく、判断力や、思考力、心情面を育てることが大切だと思いました」といった感想が寄せられました。
4.プログラム
- 13:15~14:05
- 公開授業
「プラスチックの性質」(1年生・理科)
「お金を上手に使おう」(1年生・総合)
「本の帯は何のために書かれているか考えよう」(1年生・国語)
「お母さんの手(節度ある生活態度)」(1年生・道徳)
「家計のシミュレーション」(1年生・学活)
「著作権について知ろう」(2年生・音楽)
「根拠を明らかにして書こう~意見を伝える~」(2年生・国語)
「世界恐慌」(2年生・社会)
「社会に必要とされる人になりたい(勤労・社会への奉仕)」(2年生・道徳)
「お金にかかわるポスター作り」(2年生・美術)
「どの電球のコストが一番安いのか」(3年生・理科)
「私の命を育んだお金はいくら?」(3年生・総合)
「買い物上手になろう」(3年生・家庭)
「電子マネー」(3年生・学活)
「貯蓄する?株式を買う?」(3年生・社会)
「悪質商法について」(特別支援学級・社会) - 14:20~14:30
- 開会挨拶(体育館) 静岡県金融広報委員会事務局長 神田誠一郎
- 14:30~14:50
- 研究発表 研修主任 熊切祐子
- 14:50~16:10
- 講演「子どもの金銭感覚を養うお金の教え方」
講師:あんびるえつこ氏 - 16:10~16:20
- 指導講評 菊川市教育委員会学校教育課長 角皆裕士
- 16:20~16:30
- お礼の言葉 菊川市立菊川西中学校校長 山口久芳