金融教育公開授業
2013年度 金融教育公開授業
福岡県金融広報委員会
水巻町立伊左座小学校
金融広報中央委員会
福岡/遠賀郡の実施報告
「金融教育公開授業 in 福岡(遠賀)(伊左座小学校)」(11月8日開催)
水巻町立伊左座小学校は、福岡県の北に位置する水巻町の南部にあり、西側には一級河川の遠賀川が流れています。河川敷には弥生時代の農耕文化発祥の地である立屋敷遺跡があるほか、樹齢1900年以上といわれる八剣神社の大銀杏(県指定天然記念物)などがあり、貴重な史跡や文化財に囲まれた地にあります。
同校は、教育目標として「自分を伸ばし、自他を大切にする子どもの育成」を掲げ、将来への基礎作りとなるキャリア教育を重視して授業実践を行っています。
11月8日(金)に金融教育公開授業を開催し、1年生、3年生、5年生、6年生、なかよし学級(特別支援学級)で公開授業を行いました。また、公開授業に続き、研究主任による研究発表と、松本隆博氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1)「おとしものゼロさくせん」
クラスで出た落しものに値段を付けることで、自分が持っている物は多くの「お金」で購入していることに気づき、家族が買ってくれた時の気持ちを考えてみました。また、落しものを減らす方法について話し合って、「ものを大切にする」ために自分ができることを決めました。
(2)「力を合わせて」
イソップの有名な童話「ありときりぎりす」を題材に、父さんありやきりぎりす、ありの子どもたちの気持ちを皆で考え、話し合いました。「働くことは暑かったり、重かったりとつらく、苦痛も伴うが、皆で頑張ると達成感を得られる」「先のことを考えて行動することが大事である」ことに気付き、「働くことの意義」を学びました。
(3)「伊左座お米プロジェクト」
1週間後のPTAバザーに向けて、自分たちで作ったお米を販売する練習を行いました。商品の良さをどのようにアピールするか、お客さんが気持よく買えるような接客の仕方をどう工夫するかをグループに分かれて発表し、改善点を話し合いました。これまで学習してきた生産者の思いやお米を作ることの大変さとは異なる視点から、「働く」ことについて学びました。
(4)「比例と反比例」
伴って変わる2つの数量の単元において、比例の関係を利用すれば、およその数を求めることができることを学習しました。全校で集めたペットボトルキャップの数を回収袋1袋の重さから算出し、またそれを寄贈することによって得られるワクチンの概数を計算してみました。
(5)「ゆめこうぼうにいこう」
「職業体験に行くお店で買い物ができるようになること」を目標に、お客と店員を交互に体験する「買い物ごっこ」で、お金を払う、お釣りを渡すなど、日常生活における必要なスキルを学びました。
2.研究発表
「よりよい生き方を追求し続ける子どもの育成~キャリア発達を促す『練り合う』『振り返る』場の工夫を通して~」を研究主題として、各授業の指導案を策定し、実践してきた、との発表がありました。新たな活動を追加するのではなく、従来の各教科・領域等の教育活動の中で重視してきた指導を推進する中で、金銭教育を包含したキャリア教育を実践しています。学習過程において、自分の考えを「練り合う」場と、その内容を「振り返る」場を設定し、支援してきた結果、子どもたちのキャリア発達を促すうえで必要となる「見つめる力」「かかわる力」「想像する力」の3つの能力が高まったことが示されました。
3.講演会
公開授業、研究発表の後、松本隆博氏から、「働くことの意味を子どもたちに伝えるために学校や家庭でできること~“笑顔と素直と感謝”の大切さ~」と題し、保護者・教育関係者向けの講演が行われました。
松本氏は、大学卒業後に就職した信用金庫では希望部署に配属されず、ソロバンができないため計算を合わせることができなかったと話されました。周囲の人が教えてくれたことを素直に受け止められないうえ、あいさつなし、笑顔なしで、上司や先輩からは「お前はダメなやつだ」「生意気だ」と言われたと振り返られました。
充実しない日々の中で退職を考えたものの、辞める前に本来の自分を知ってもらうため「できることは率先してやる」という姿勢に変え一生懸命取組んだところ、仕事も人間関係もうまく回り始めたそうです。そして、「達成感」は他人が決めることではなく自分が「やった」と思えることが重要であると気付いた、先輩への感謝の気持ちも持てるようになった、と話されました。
また、子どもの頃、当時の生活が苦しかったことに触れ、「すきやき」のメインが鶏肉だったことや、当時皆が持っていた「五段変速の自転車」が欲しくても買えなかったことを歌で披露されました。母親からいつも「あんたは素直で明るいええ子や」「あんたらやればできる子や」と前向きな言葉で励まされながら育てられたことが、今も頑張れることの根幹にあると話され、家族の大切さを強調されました。
最後に、指導者や親は、子どもたちにとって最高の教材であり、一番輝いていて欲しい、とのメッセージで締めくくられました。
4.プログラム
- 13:40~14:25
- 公開授業
(1)「おとしものゼロさくせん」(1年生 学級活動)
(2)「力を合わせて」(3年生 道徳)
(3)「伊左座お米プロジェクト」(5年生 総合的な学習の時間)
(4)「比例と反比例」(6年生 算数科)
(5)「ゆめこうぼうにいこう」(なかよし学級 生活単元) - 14:40~14:55
- 主催者挨拶
水巻町立伊左座小学校校長 筒井信秋
水巻町教育委員会教育長 太田俊夫
来賓挨拶
福岡県教育庁北九州教育事務所所長 若井壮一 - 14:55~15:30
- 研究発表「よりよい生き方を追求し続ける子どもの育成~キャリア発達を促す『練り合う』『振り返る』場の工夫を通して~」
発表者:水巻町立伊左座小学校研究主任 平川哲雄
講評者:福岡県教育庁北九州教育事務所指導主事 藤瀬正朋 - 15:30~16:40
- 講演「働くことの意味を子どもたちに伝えるために学校や家庭でできること~“笑顔と素直と感謝”の大切さ~」
講師:松本隆博氏 - 16:40~16:45
- 閉会挨拶
福岡県金融広報委員会事務局長 髙山浩之