金融教育公開授業
2014年度 金融教育公開授業
福岡県金融広報委員会
八女市立黒木西小学校
金融広報中央委員会
福岡/八女市の実施報告
「金融教育公開授業 in 福岡(黒木西小学校)」(11月18日開催)
八女市立黒木西小学校は、一級水系矢部川沿いの豊かな自然の中にあります。「未来に向かって<わくわく・にこにこ・いきいき>いっぱいの黒木西っ子~自分の考えを持ち、進んでかかわり合う子どもの育成~」を教育目標に、本年度は「基礎学力の定着指導」、「金銭教育の推進」、「学習習慣・家庭学習の充実」の各項目に重点を置いた取り組みを行っています。
平成25・26年度の金銭教育研究校として金銭教育に取り組み、11月18日(火)に全学年による金融教育公開授業を開催し、担当教諭による研究発表、あんびるえつこ氏による講演会も行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1)「やさいを育てよう(2)」
たんぽぽ学級は、自分たちで育てた落花生でピーナッツクッキーを作り、お世話になった先生や保護者にふるまいました。子どもたちは、落花生を春から大切に育てており、継続して世話をする労働の大切さと収穫の喜びを実感しました。また、収穫した落花生を使ってお菓子を作る活動では、必要な材料を考えて買う経験や友達と協力して活動することの大切さを知るとともに、育てた野菜を食べる喜びや満足感を味わいました。
(2)「みんな みんな 大すきだよ」
1年生は、事前に家族の家庭での仕事を紹介し合い、家には沢山の仕事があることに気付き、その中で自分ができることを考え学校で練習を重ねてきました。公開授業では、「お仕事発表会」を開催し、家庭で行った仕事を写真や絵や実物などを使って発表しました。子どもたちは家の人から感謝の手紙をもらい、自分が家族の一員として家族の役に立てたことを実感し、これからも継続して家族のためにできることをしていこうという意欲を高めました。
(3)「しごとをがんばろう」
2年生は、イソップ童話「アリとキリギリス」を題材に、夏と冬のアリの気持ちを考えました。夏は、暑い・きつい・忙しい、キリギリスのように遊びたいが、冬に後悔しないようにもう少し頑張ろうといった意見が出されました。冬は、夏の暑い時期にくじけそうになりながらも、やらなければならないことをしっかりとやり通し、安心して冬を越すことができる気持ちに共感するとともに、キリギリスを思いやる意見も出されました。子どもたちはこの授業を通して働くことの大変さと達成感、みんなの役に立つ充実感を学び、自分の係や当番の仕事に置き換えて今後に役立てる気持ちを培いました。
(4)「1年生となかよし集会をしよう」
3年生は、「1年生ともっと仲良くしたい、一緒に遊びたい」といった思いをもとに「なかよし集会」を計画し、その内容について話し合いました。1年生と一緒に楽しくできることとして、ドッジボールや鬼ごっこなどの提案が出されました。それに対しての賛成意見や反対意見も出て、より良いものをみんなで考えました。この授業を通して、目標達成に向けて異なる意見についても公平に判断し、集団決定する力を養うとともに、役割を意識して協力することを学びました。
(5)「がい数で計算しよう」
4年生は、前期で学習したおよその数を用いて買い物をするときの計算の仕方を考える授業を行いました。1,000円以内でできるだけ多くのサラダの材料を買うために、1品ごとの値段を「切り上げ」で多く見積もって計算する方法を学びました。この授業を通して、「がい数」が身近な生活の中で様々な場面で目的に応じて使えることを学び、予算内で買い物をするための、計画性や判断力を養いました。
(6)「お米販売プロジェクト」
5年生は、自分たちが育てた米や野菜などを12月に開催された地元の農業フェスタで販売するため、販売方法についての調査や販売計画など様々な準備をしました。
今回は、「沢山のお客さんが集まる店」にするためにグループごとに出店プランを発表し、宣伝や接客の工夫などお互いにアドバイスをし合い、「より良い店作り」について考えました。この一大プロジェクトを通して、働いてお金を得る(生計を立てる)ことの大変さを知り、お金を大切に使う気持ちを養うとともに、労働の喜びも学びました。
(7)「わたしたちのハローワーク!「働く」ことの価値をみつけよう」
6年生は、5年生の時に自分たちで育てたお米や野菜を販売する活動で働いてお金を得る大変さを知り、お金を大切にする気持ちを培いました。自分たちが興味・関心のある様々な職業について調査し、多様な職業があることやそこで働く人々の努力によって社会が成り立っていることを学びました。公開授業では職業体験として保育園や介護施設などで働いた感想を出し合い、自分たちの働きが人の役に立ったか、コミュニケーションがとれていたかなどを考えました。これらを通じて、働くことの価値はお金を得るだけでなく、人や社会のために役立ち、その喜びが人としてのよりよい生き方につながることを学び、自分の将来を考えるきっかけとなりました。
2.研究発表
当校では、研究主題を「ものやお金を大切にする心豊かな子どもの育成~金銭教育カリキュラムの実践を通して~」としました。地域の実態(商店が少なく、欲しいものを探したり計画的におこづかいを使ったりする経験ができない)から、現行の学習内容に金銭教育の視点を加え、子どもたちの発達段階に応じた独自の「金銭教育カリキュラム」を作成し、1.ものやお金の価値認識、2.計画性・判断力、3.労働観、の3項目の指導内容を設定して取り組みました。
生きていく上でものやお金とかかわりを持つことは必要不可欠であり、子どもたちにお金の価値を実感させ大切にする態度を育むことはよりよい生活や生き方をしていく礎となりよりよい社会を築く上でも意義深いと考え、積極的に体験的活動を取り入れた実践報告を行いました。
3.講演会
公開授業と研究発表の後、あんびるえつこ氏による「一緒に考えよう!子ども達の生きる力と『お金』教育」と題する講演が行われました。
あんびる氏は、子どもを取り巻く消費社会は一昔前の環境とは違うことを解説されました。すなわち、1.少子化により父母・祖父母・叔父叔母からお金が流れ込み、おこづかいが形骸化している、2.電子化によりお金の流れが見えにくく管理が困難になっている、3.巧妙に子どもの購買意欲をあおる宣伝等により欲望のコントロールが効かなくなっている、などです。
また、大人が上記のことを認識した上で、「学校」と「家庭」で基本的な判断基準や意思決定の方法などを実践の中で教えることが望ましい、と話されました。これらを通して、自分だけでなく世の中がよりよくなることを考えて実行する「生かす力」を持つことができることを説明されました。
講演に参加された方は、「普段あまり考えないようなことや難しいことをかみくだいて話していただき、とても勉強になりました」、「なかなか子どもたちにお金の大切さを伝えきれていないと感じています。今回の講演のようにゲームを取り入れながら金銭感覚を培っていかなければと思いました」といった感想が寄せられました。
4.プログラム
- 13:30~14:15
- 公開授業
(1)「やさいを育てよう(2)」(たんぽぽ学級 生活単元学習)
(2)「みんな みんな 大すきだよ」(1年生 生活科)
(3)「しごとをがんばろう」(2年生 道徳)
(4)「1年生となかよし集会をしよう(3年生 学級活動)
(5)「がい数で計算しよう」(4年生 算数科)
(6)「お米販売プロジェクト」(5年生 総合的な学習の時間)
(7)「わたしたちのハローワーク!「働く」ことの価値をみつけよう」(6年生 総合的な学習の時間) - 14:30~14:50
- 主催者挨拶
八女市立黒木西小学校校長 桐明利玄
来賓挨拶
八女市教育委員会教育長 西島民生 - 14:50~15:10
- 研究発表
「ものやお金を大切にする心豊かな子どもの育成~金銭教育カリキュラムの策定と実践を通して~」
発表者:黒木西小学校研究主任 廣田知良 - 15:15~16:35
- 講演会「一緒に考えよう!子ども達の生きる力と『お金』教育」
講師:あんびるえつこ氏 - 16:35~16:40
- 閉会挨拶
福岡県金融広報委員会事務局長 髙山浩之