金融教育公開授業
2020年度 金融教育公開授業
福岡県金融広報委員会
大川市立大野島小学校
金融広報中央委員会
福岡/大川市の実施報告
「金融教育公開授業 in 福岡(大川市)(大野島小学校)」(11月13日開催)
大川市立大野島小学校は、福岡県の南西、佐賀県との県境に位置し、筑紫次郎の名で知られる筑後川河口の大野島北部にあります。明治6年に「江南小学校」として創立され、2021年に140周年を迎えます。
学校の教育目標として「志を持って意欲的に学び、心豊かに、たくましく生きる子どもの育成」、今年度の重点目標として「進んで発信しようとする子どもの育成」を設定し、豊かな自然の中で、一人一人の主体性の育成を目指した教育を行っています。
11月13日(金)に「金融教育公開授業」を開催し、全学年を対象とした公開授業、研究発表、いちのせかつみ氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1)「冬野さいをそだてよう」
自分たちで育てた採れたて野菜や、これまでの野菜づくりで学んだことをまとめた「野菜の育て方」本などを「お店ごっこ」で販売する活動を通して、友達と協力しながら頑張れたことや自分自身の成長に気づくことができることをねらいとして授業を行いました。
「お店ごっこ」体験を通して、子どもたちは、物を購入するときにはお金が必要であることを学びました。また、長い間一生懸命にお世話をして育てた無農薬の野菜をお客様に知ってもらい、喜んで買ってもらうことを通じて、販売する喜びを感じました。さらに、食べ物を大切にする気持ちを持つことの大切さに気づくこともできました。
(2)「あきとなかよし」
自分のお気に入りの秋の植物を使って、その植物の種類や数、大きさなどの特徴を活かしたおもちゃを作り、自分なりの遊び方を考えました。また、友達のアドバイスをもとにして遊び方を考え直したりすることで、遊びを工夫する面白さに気づくことができました。
お互いに教え合う活動を取り入れたことで、子どもたちは友達と協力し、楽しく遊んでいました。
(3)「農家の仕事~武下さんのいちご作り~」
いちご農家の武下さんの話を聞き、自分の考えを表現することを通じて、武下さんのいちごの生産の工夫や努力はお客さんの願いに沿っていることを理解することをねらいとして授業を行いました。
子どもたちは、自分たちが調べてわかった武下さんのいちご作りのこだわりについてそれぞれ発表し、こだわりの理由について話し合いをしました。その後、武下さんから詳しいお話を伺うことにより、いちご作りの工夫や努力について理解することができました。また、武下さんから伺った内容を図式化することを通じて、武下さんの工夫や努力はお客さんの願いに沿っていることを理解することができました。
(4)「ごみはどこへ」
大川市の生ゴミの量と処理費用が増加し続けたのは、人々の生活の変化によるものであることに気づくとともに、ゴミ袋の有料化で「お金を払うことでゴミを減量してほしい」という市の願いと、「衛生的な生活を維持したい」という地域住民の願いが同じであることを理解することをねらいとして授業を行いました。
まず、子どもたちは、大川市のゴミ問題に対する様々な宣言や、ゴミ袋が有料であることについて、自分の考えや疑問点を資料にまとめて友達に伝えて話し合い、考えを深めました。その後、市の職員の方からお話を伺い、市が取り組んできた清掃センターの建設・運営・維持や、ゴミ袋の有料化などには、それぞれに市としての願いがあることを理解しました。また、市と地域住民の願いを図式化することにより、市と地域住民の願いは同じであることを理解することができました。
(5)「伝えよう わたしたちの三色米」
前時までの学習(三色米を販売する武下さんへのインタビューや地域住民へのアンケート)をもとに、自分が考える三色米の価格を友達に伝え合い、消費者や生産者の立場で価格を考えることをねらいとして授業を行いました。
まず、子どもたちは、自分が考えた三色米の販売価格と、その価格とした理由をカードに書いて、お互いに説明し合いました。その後、価格を高く設定すること、低く設定することの長所と短所について、消費者や生産者の立場から話し合いました。最後に、先生から販売者が価格を下げすぎて失敗した例を教えてもらったうえで、自分たちが出し合った考えを見直し、価格設定で大切なことを整理しました。
(6)「大川の未来を伝えよう」
友達の提案を聞きながらみんなでよりよい内容をつくることをねらいとして授業を行いました。広域的な産業振興・観光振興拠点として「大川の駅」を整備する計画が進んでいます。子どもたちは、これまで、「大川の駅」推進室の方から整備計画の内容のお話を伺ったり、大川市のことを調査したりしてきました。整備計画の構想に役立ててもらうため、「人・動物・自然」の安心・安全と集客の観点から、自分たちの考えをグループごとにまとめてきました。
当日の授業では、2グループから提案された内容の良い点と課題について話し合うとともに、課題に対するアドバイスを伝え合いました。良い点と課題を黒板に書き出して構造的にまとめることを通じて、課題とその改善案のかかわりを理解することができました。また、お互いの意見を伝え合うことにより、友達と協力するよさを実感することができました。
2.研究発表
金融教育研究校の委嘱を受け、研究主題を「主体的に課題を解決する子どもを育てる学習指導法の研究」とし、副主題を「金融教育の視点を加味した『F・O(ふるさと大川・大野島の略称)学習』を通して」をテーマとして研究にこれまで取り組んできました。当日は、地域の「人・もの・こと」を活かし、子どもが主体的に問題を解決していく学習指導のあり方と授業の実際を中心に発表しました。
3.講演会
いちのせかつみ氏による「今、金融教育が必要なワケ」と題する講演が行われました。
初めに、生涯賃金や著名人の年収、資産、ライフイベントとマネーなど、人生とお金について話されました。次に、企業が商品を売るために利用している様々な法則等(バンドワゴン効果、プライミング効果、リトルの法則、ピークテクニックの法則、アンカリングの法則、つい買ってしまう法則)を教えてくださいました。最後に、「自分を主役にし、世界に一つだけの話を、人生ドラマのシナリオを作ってください。そのためには、今、何をやるべきか考え、生きる力で未来を開いてください」と結ばれました。お話の間にクイズも取り入れ、楽しく、ときおり、笑いもある、ためになる講演でした。
参観者からは、「お金は幸せになるための道具だとわかった」「知っているようで、知らないこと(法則)がたくさんあることに気づいた」「お金の正しい使い方を考えることは大切なことだと改めて感じた」「子供たちにも正しい知識をつけさせることが必要だと思った」などの感想が聞かれました。
4.プログラム
- 13:35~14:35
- 公開授業Ⅰ
(1)「冬野さいをそだてよう」(2年生 生活科) - 13:50~14:35
- 公開授業Ⅱ
(2)「あきとなかよし」(1年生 生活科)
(3)「農家の仕事~武下さんのいちご作り~」(3年生 社会科)
(4)「ごみはどこへ」(4年生 社会科)
(5)「伝えよう わたしたちの三色米」(5年生 総合的な学習の時間)
(6)「大川の未来を伝えよう」(6年生 総合的な学習の時間)
- 14:50~15:05
- 開会行事
挨拶
大川市立大野島小学校長 下坂浩二
大川市教育委員会教育長 内藤妙子 - 15:05~15:35
- 全体行事
研究報告及び授業の実際
発表者:大野島小学校教諭 研究主任 井口翔太
〃 研究副主任 森田恭子
講評
福岡県教育庁南筑後教育事務所 指導主事 今村洋氏 - 15:40~16:40
- 講演「今、金融教育が必要なワケ」
講師:いちのせかつみ氏 - 16:40~16:50
- 閉会行事
挨拶
福岡県金融教育広報委員会事務局長 下河邉芳久
閉会挨拶