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2017年度 先生のための金融教育セミナー

【高等学校・大学向け】

3.分科会(金融教育の事例紹介とワークショップ)

高等学校分科会2

進行・コメント:
岐阜大学教育学部 大藪 千穂 教授
実践発表およびワークショップ(1)

「ひとり暮らしの生活費をシミュレーションしてみよう」(1年 家庭基礎)
宮崎県立日南高等学校 中山 知子 教諭

実践発表

平成26年度から28年度の3年間の取り組みと成果についてお話します。3年間の大きなテーマは「連携」でした。平成24年度に消費者教育推進法が施行されましたが、平成25年度に、家庭科の小中高の教員でチームを構成し、消費者教育の研究をスタートしました。まずは小中高の生徒約1,000名に、消費行動や環境保全に対する意識などについてアンケート調査を行いました。その結果から、「年齢が上がるにつれてお金の貸し借りが増える」、「大事な買い物をするときはインターネットで調べてから買い物をする」などの特徴が見えてきました。研究テーマは、「もの・お金・資源を大切にする心を育む」としました。「金銭の使い方」をテーマに、小学校では、必要な物があるとき、購入するかどうかを考える、中学校では、日々の消費行動を振り返る、高校では、社会人を想定し、ひとり暮らしをした場合のお金の使い方を考える、というように段階的にテーマを広げていきました。また、「衣食住における実践」をテーマに、小学校では、調理実習に必要な材料を選ぶ、中学校では、衣服を購入する時に確認すべきことは何か考える、高校では、ひとり暮らしの部屋を借りる時の優先条件などを考える、というように時間軸を広げて研究していきました。高校での授業では大学卒業後の社会人1年生が、どれくらいの収入と支出で暮らしているのかを知り、シミュレーションシートを用いて、グループ演習を行いました。生徒にとっての成果は「自分の自立度を認識できた」、「日頃からお金を意識する大切さを実感した」などが挙げられます。

平成27年度には、小中高の家庭科教員、社会科教員、教育委員会指導主事が連携して、研究会を組成しました。研究テーマは、「主体的に考え、行動することができる消費者を育てる」としました。前年度の実践では、生活に必要な物の値段を知らない生徒が多かったので、授業がなかなか進まないという反省がありました。そこで、事前に価格を調査する課題を出したり、演習は「ひとり暮らしの生活費シミュレーション」に絞ったりと、生徒が理解しやすいように工夫しました。シミュレーションでは給与明細を使って、所得税や社会保険の説明をして、家庭経済と社会経済の繋がりを意識させました。支出の記入欄には被服履物費や任意保険料の項目を作り、将来を見通してどんな生活がしたいのかについて、様々な視点から学習できるようにしました。

平成28年度は、家庭基礎の授業で「日南市での暮らしの課題を見つけ、その解決方法を提案する」ことを実践しました。公民との連携授業では「消費者の視点から考えた企業の社会科的な役割と課題に対する理解を深める」ことを目標に学習しました。こうした活動を通して、他教科や他校と連携することで、各教科で学んだことが繋がり、生徒は自ら考える力がつくようになったと思います。

ワークショップ

グループ毎に、東京に住む場合と、宮崎県日南市に住む場合で「ひとり暮らしの生活費シュミレーション」を行いました。各グループによる発表では、「特別支援学校の場合は、障害基礎年金をどのようしたらもらえるのかということも教える必要があると感じました」、「高等学校で授業をする場合、公民科の先生にチェックをしてもらうのは理想的だと思うが、現実的には難しい面もあると思います」、「いろいろな価値観が話し合える授業だなと思います。生徒にとっては、自分が当たり前だと思っていたことがそうではないことに対する気づきに繋がると思いました」といった感想が聞かれました。

コメント

大藪千穂先生より、次のコメントがありました。

中山先生の発表で一番大切なのは「連携」で、それが小中高の連携と、家庭科と他教科の連携だったところです。私自身も中学と高校の家庭科と社会科の連携を進めているところですが、校長先生を通さないと進まなかったりと、現実には難しい面が多々あります。中学と高校の先生が会う時間を作って、ひとつのことをやる時間は取り難いですし、同じ学校の教員同士でも苦手意識があって交流がなかったりだと思います。しかし、中山先生がやってらっしゃることは難しいけれども、意味があることだと思います。

グループで実践すると他人の価値観がわかるというメリットはありますが、本当の自分ではない平均像を作り上げてしまうデメリットもあります。そこでまずは自分一人でやってから、その後にグループで話し合った方がよいかもしれません。また、社会に出た場合のお金の出入りを考えることに繋がりますので、初任給を設定されたのが良い視点だと思いました。「主体的に考える」とは、教えてもらったことを疑うことも含まれます。実際の生活でも、家計が赤字になることもあります。ゼロやマイナスになることがいけないのではなく、赤字になった時にどう生きていくのかを考えられたら、それで良いと思いました。

高等学校分科会2の模様①

実践発表およびワークショップ(2)

「お金はゆたかな暮らしのパートナー 〜特別支援学校高等部でのお金の学習〜」(特別支援学校高等部)
東京学芸大学附属特別支援学校 小金井 俊夫 副校長

実践発表

本校では金融教育の研究を「特別支援教育における金融教育の検討」という名称で行っています。特別支援学校の対象には知的障害や肢体不自由などがありますが、本校は知的障害のある生徒の学校です。生徒たちの障害の種類や程度によって、授業の内容、教材、方法を変えなければいけないのが特別支援学校の特徴です。授業内容をどうしようか、どういった教材を作り、それを使って授業した結果、こうなった、ということを検証するのもこの研究の狙いでした。その中で、金融教育の指導内容を検討し、「わたしたちのくらしとお金」としてまとめました。この指導内容は「くらしとお金」(お金を使う、貯めるなど)、「仕事とお金」(給料明細、離職した時の対応など)、「社会と経済」(税金、年金など)の3領域で成り立っています。

金融教育では収支がマイナスに陥らないためにということが頭をかすめますが、我が校の生徒たちには、お金は友達や自分の生活を豊かにするもの、お金があれば自分が好きなことができる、というプラスの視点から研究を続けています。実際に授業を行うと、生徒たちが見聞きしている情報は、正確なものではなく、間違っていることが多いのが実態だと分かりました。そのため、その知識や情報の交通整理をしてあげることが必要だと考えています。授業づくりにおいては、「お金を得る(稼ぐ)」、「お金を使う」、「お金を貯める」、「お金を管理する」の4つの行動で見ていこうと考えています。いつも行っているのがレクチャー方式です。生徒にいろいろなことを問いかけて、途中でワークシートを記入してもらい、なぜそうなるかを考えさせ、最終的にまとめに持っていきます。また、行動や活動をパターン化する、例えば、近くのスーパー、コンビニで自分の顔を覚えてもらい、支援を受けながら、そこへ行けば物が買える、という実態を作りたいと考えています。

収入、支出、金銭管理は、生徒にとって経験のないことです。何を教えるのか、授業計画をしっかり立てる必要があります。

ワークショップ

「カードについて」、「収入、支出、金銭管理」のいずれかのテーマを参加者が選び、授業を考えてみました。授業対象の生徒を明確にした後に、話し合いを行いました。「カード」をテーマに選んだグループからは、「授業は3回構成で、1回目が種類について、2回目が使い方と仕組み、3回目が困った時はどうするとしました。クレジットカード風にラミネートした20種類くらいのカードを1枚ずつ提示して、分類することから始めます」との発表がありました。「仕事でもらった給料を管理する」をテーマとしたグループからは、「お金を一覧表に従って分けていく作業をすることによって、何にお金をかけるのか、自分と友達で違うところなども気づかせたいと思います」などの授業の提案が発表されました。

コメント

大藪千穂先生より、次のコメントがありました。

金融教育で、一番難しいのは高齢者と障がい者への教育だと言われています。まだテキストが少ない中で、小金井先生たちの研究グループが障がい者向け金融教育のテキストを作られたのは大きな貢献だと思います。先生のお話の中で、お金に対してマイナスのイメージを持たないのも大切なことだなと思います。小金井先生が先ほど、「生徒が経験していないことを教えるのは難しい」とおっしゃいましたが、授業で扱うほとんどのことは生徒が経験していないことです。ここで、「難しい」というのは、「なかなか想像ができない」ということだと思います。最近、私が重要だと思っているのは、心理学者ウォルター・ミシェルのマシュマロ・テストで、衝動や感情をコントロールできるかどうかの実験です。これは、幼児の前にマシュマロを置いて、先生が部屋に戻ってくるまで食べるのを我慢すれば2個もらえる。子供たちは舐めてみたり、歌って関心を違うことへ向けたりして食べることを我慢します。我慢やセルフコントロールができるかということがその後の成長や将来の成功にも影響すると言われています。私は障がい者の方々にこのことを教えるのが重要だと思っています。

金融教育において情報処理能力を身につけることも重要です。情報処理能力には収集、蓄積、活用、発信の4つがありますが、いかにこの力を身につけられるかがポイントです。通常でも自己責任で情報を処理することが難しいのに、障がい者になればなおさら難しくなります。そこをサポートできる人たちが必要になるわけですが、支援する人たちだけに任せるのではなく、子どもたちがサポートできるようになり、その輪が広がっていけばいいなと思っています。

高等学校分科会2の模様②

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