金融に関する消費者教育の推進に当たっての指針(2002)
4.わが国の金融に関する消費者教育の望ましい姿
(4)教育の場(どこで)
金融に関する消費者教育は、学校教育、社会教育、家庭教育の3つの場を最大限に活用して行われることが望ましい。学校教育は、わが国に在住する対象年齢の児童・生徒の大半を対象とすることができるメリットを有するが、すでに社会に出ている人々の直面する諸問題に鑑みると、社会教育の場を通じて金融に関する消費者教育を推進する必要がある。また、家庭においても金融に関する知識等を身に付けさせることができるよう支援していくことが望ましい。
(5)教育手段
金融に関する消費者教育の手段としては、地域のグループ学習や学校教育のサポート(指導者向けセミナーの実施、教材の提供等)、通信講座・公開講座の開設、講演会の開催、インターネット上の情報提供等、さまざまなものが考えられる。これらを複合的に活用し、多様な形態・ルートで教育活動が行われることが必要であるが、その際、上記の学習内容の基準を意識して、それぞれの活動内容が全体の体系の中に明確に位置付けられ、相乗的な効果を上げることが望ましい。特に、インターネットによる情報提供は、学校教育、社会教育、家庭教育のいずれをも強力にバックアップするツールとなりうることから、有効な活用が望まれる。
第1回「金融に関する消費者アンケート」(平成13年)で、金融に関する知識・情報がどのようなかたちで提供されるのが好ましいかを尋ねたところ、(1)「新聞・雑誌やテレビ等マスメディア」(79.2%)、(2)「パンフレット、冊子、ビデオ」(44.6%)とする回答が多く、(3)「インターネットなどIT(情報技術)の活用」(27.5%)とする回答がこれに続いた。
(6)推進主体
すでに指摘したように、わが国の金融に関する消費者教育をより効果的かつ効率的に実施していくためには、関連するさまざまな省庁・機関・団体が連携を強化して進めていく必要がある。
こうした連携を進めていく上では、平成12年6月の金融審議会答申において、「先ずは、業界、消費者団体、地方公共団体、関係省庁等が参加する貯蓄広報中央委員会・都道府県貯蓄広報委員会のネットワークを活用して消費者教育を体系的・効率的に実施することが重要である」と指摘されたように、金融広報中央委員会が当面の間、要の役割を果たすことが期待されていると考えられる。
「団体・有識者アンケート」において金融広報中央委員会に期待する役割について質問したところ、(1)「中立・公正な立場を生かした、金融に関する公的な消費者教育機関としての役割」(66.4%)、(2)「業界横断的な立場を生かした、銀行、証券、保険等業態横断的な金融知識・情報等の提供機関としての役割」(66.4%)を挙げる回答者が多かった。
また、同アンケートで金融広報中央委員会に強化を期待する活動内容を尋ねたところ、「各種金融商品・サービスについての銀行、証券、保険など業態横断的で中立・公正な金融関係資料の作成・配付」(73.3%)、「文部科学省等と連携した子どもたちへの基礎的な金融教育の普及」(66.4%)、「金融に関する諸制度(預金保険制度、金融商品販売法、年金・保険制度等)の普及」(55.2%)を挙げる回答者が多かった。
一方、第1回「金融に関する消費者アンケート」(平成13年)においては、金融広報中央委員会に期待する役割について、国民に対し中立公正な立場から金融に関する広報・消費者教育活動を行うことを通じて(1)「さまざまな金融トラブルから消費者を守る消費者保護機関としての役割」(53.9%)、(2)「中立・公正な立場を生かした、金融に関する公的な消費者教育機関としての役割」(45.2%)を挙げる回答が多く、(3)「各界を網羅した立場を生かした、銀行、証券、保険などの業界横断的な金融知識・情報等の提供機関としての役割」(33.2%)との回答がこれに続いている。