金融教育公開授業
平成17年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
金融広報中央委員会
広島県金融広報委員会
広島の実施報告
「金融教育公開授業in広島(戸山小学校)」
(11月7日開催)
戸山小学校は、広島県金融広報委員会より、金銭教育研究校(15-16年度)、「くらしと金融の学習研究校」(17年度)の委嘱を受けて、金銭教育に積極的に取り組んでいます。林校長先生は、開会挨拶で、「テレビでは頻繁に消費者金融のCMが流れている。金銭感覚に乏しい大人が多い中、子供たちには、しっかりと健全な金銭感覚を身に付けさせることが重要だ」と話しました。
当日は、児童のほか、学校関係者、保護者、広島県および広島市教育委員会関係者等約20名が参加。また、テレビ局が取材に訪れました。
公開授業「おじいちゃんを元気づけよう大作戦」(5、6年生特別活動)
~自分で判断して、上手なお金の使い方を考えよう~
(指導者 山城美和教諭、小室信也教諭、小田美智子教諭)
公開授業は、5、6年生36名合同で行われました。「お金の使い方」に重点を置き、限られた予算の中で必要な物を選んで買い、自分で判断する力を育てるとともに、何かを買ったら何かが買えなくなることを理解させることを目的として題材を取り上げました。課題の予算金額を、10日後に控えた5、6年生の修学旅行のおこづかいと同額に設定することで、お小遣いを計画的に使うことを意識させるきっかけとしたい、とのねらいもあります。
授業では、風邪を引いて寝込んでいる大好きなおじいちゃんを元気づけるために、予算内で必要な買い物をする、という設定で、4千円の使い方(交通手段、買い物の内容、選んだ理由)等について、ワークシートを使って各自検討し、グループ討議で意見交流を行った後、代表者が発表を行いました。
授業の冒頭には、先生方が寸劇を演じて本時の課題を提示するなど、児童の興味を引くための工夫がなされていました。最後に、自分で考えてお金を計画的に使うことが大事であることにふれ、修学旅行のお小遣いを計画的に使うよう助言が行われて、授業は終了しました。
本時の課題(児童に配布したワークシートより抜粋)
大好きなおじいちゃんが、風邪をひいて寝込んでいます。熱は高くないけれど、のどが痛くて鼻水が出て、体がだるいそうです。かかりつけの病院には、明日行くことになっています。家族のみんなは出かけていて、頼れるのはあなたしかいません。さあ、おじいちゃんのために、買い物をしてきてください。お金は4,000円ありますが、絶対にオーバーしてはいけません。行き先は、高取にある「なんでもマート」です。おじいちゃんがどうしてもいるものは、薬・くだもの・マスクです。ちなみにおじいちゃんは、お酒が大好物です。
(公開授業の模様)
講演会「こどものマネー教育への学校・家庭・地域の取組みのあり方」
(講師:陣内恭子氏)
会場を図書室に移して、金銭教育指導者団体「マネーじゅく」代表でCFPの陣内恭子氏による講演が行われました。
まず、公開授業について陣内氏は、「児童が楽しんで取り組むための工夫がされていた。上手なお金の使い方の『上手』とは、どのようなことを意味するのかを、しっかり考えることが重要だ。おじいちゃんが苦しんでいるから、交通費がかかっても自転車ではなく電車を使って急いで行く方がよいとか、お酒が好きでも、風邪を引いているから今日は買わないなど、理由付けがしっかりできている子は、何が重要かを理解できている」と、感想を述べました。
お金の教育は、心を育てる教育でありたい
講演の冒頭、陣内氏は、子供の発達段階に応じて、金銭教育、金融経済教育、投資教育と、段階を踏んでお金の教育を行っていくことの重要性について触れました。そして、「土台作りとして、小学校の時期は、特に家庭の役割がとても重要だ。子供は親の姿を見て育つので、親もお金に関するしっかりとした価値観を持って子供に接していく必要がある。お金に関する教育は、知識を与えるだけでなく、心を育てる教育でありたい」と話しました。
おこづかいは、金銭教育の重要なツール
そのうえで、「おこづかいは、金銭教育の有効な道具。文房具を自分のおこづかいから買わせることで、子供たちは文房具を無駄にしなくなり、物を大切にするという会話が増える。年齢や学年に関わらず、子供に任せる範囲(おこづかいで買わせる範囲)で金額を決めると良い。ある程度貯金ができて、大きな金額の物も、自分で計画を立てて買うことができる程度の金額に設定することもポイント。失敗しても良い経験になる」と話しました。
地域で働く経験を
さらに、地域の役割に関して、「働くこととお金を連動させることができるのが、地域。戸山小の児童の家庭は農家が多いそうだが、農作業のお手伝いや祭りのお手伝など、地域がアルバイトの場を提供できるといいのではないか」と提案しました。
(陣内氏の講演)