金融教育公開授業

平成18年度金融教育公開授業（全国リレー講座）

金融広報中央委員会
島根県金融広報委員会

島根の実施報告

「金融教育公開授業 in 島根（東陽中学校）」（11月22日開催）

11月22日（水）午後、島根県益田市立東陽中学校において金融教育公開授業が行われました。島根県での公開授業は、同校が初めての開催です。

島根県の西部に位置する東陽中学校は、平成17年度より金融教育研究校として、子どもたちへのお金に関するさまざまな教育に取り組まれています。今回の公開授業は、外部の講師をお迎えして保護者の皆様や地域の方々、また県下の教育関係者に金融教育の具体的な内容をご紹介し、その意義や重要性を認識して頂くために開催されました。

▼　参加者内訳：

生徒（3年生）61名、開催校教員13名、開催校保護者7名、教育委員会関係者等17名、島根県金融広報委員会関係者等3名、一般参加者12名　合計113名

１．公開授業

講師のいちのせかつみ氏による「知らんとあかん！ちょっと怖～いお金の話」というテーマの公開授業が、3年生の生徒を対象に行われました。まず、コンビニエンスストアなどでの品物の配置やスーパーマーケットのチラシを例に、売る側は買う側の本能に訴えて買ってもらおうとしてくるので、何も考えずに受動的に買い物をすると無駄遣いしてしまうと話されました。

公開授業の模様次に携帯電話について、インターネット接続など、使うと料金のかかる機能も多いし、「ダウンロード無料」と大きく書いてあっても下にスクロールしていくと小さく「2曲めから3,000円」と書かれていることもある、と注意を促しました。「どの機能を、いつ、誰と、どれだけ使うか」をあらかじめ決めておき、かつ利用料金を自分のこづかいから払うことが、使いすぎを防ぐために大切であると述べ、通話料やパケット代は後払いなのでその分お金を借りていると考えるべきと説明されました。生徒たちは、講師のユーモアを交えた語り口や具体的な話に、時折笑い声をあげながらも興味深そうに聞き入っていました。

続いて、「怖～い悪徳業者の手口」として、オークション詐欺や、「今日は楽しかった」という電子メールを突然送りつけて返信させ個人情報を入手する手口などを紹介し、「『いらん』とはっきり言う」、「ヤバいと思ったらすぐ相談」などを実行することが、自己責任を持って賢くお金を使うために必要と話されました。

生徒からは、「携帯電話のダウンロードで思わぬお金がかかるおそれがあることがわかった。今後の参考になった」、「携帯電話の賢い使い方がわかってよかった」といった感想が寄せられました。

２．講演

澁谷校長先生の、「金融教育の取り組みの一環として、将来に亘って携帯電話トラブルやクレジットカード破産などに陥ることがないよう、本日は私たちも学び、生徒に伝えていこうと思います」との挨拶に続いて、「子どもはお金が好きやねん！今、金融教育が必要なワケ」というテーマで、保護者や教育関係者などを対象にいちのせ氏による講演が行われました。

まず、今は昔と違って給料日にお父さんが現金を持って帰らないので、子どもに働くことと自分や家族の生活とを結びつけて考えるように意識的に促していかないといけない、また、とくに都市部以外の子どもたちは、進学などで親元を早めに離れることも多いので、お金と向き合うことを早めに教える必要がそれだけ強いとのお話がありました。

講演の模様次に、子どもがお金について賢くなるためには、まず大人が必要な知識をもっていなければならないとして、参加者にクーリングオフ制度についてのクイズを出したところ、予想外に正解者が少なく、会場からは苦笑いが漏れていました。いちのせ氏は、金融教育にはしつけと知恵の2つの側面があり、しつけについては家で親が自分の行動をもって示すことが大事だが、知恵の面では家庭と学校の両方で子どもに教えていくべきと話しました。また携帯電話については、子どもにとっては電話ではなくおもちゃとしての機能が主な用途になりかねないことを知っておくべきと説明しました。

続いて、お金については、稼ぐ、貯める、殖やす、使う、貢献するなどのバランスをとることが大切であり、こづかいのあげ方については、子ども一人一人の性格をみながら、貯めるだけでなく賢く使うよう促すことも含めて考えていくべきと、ご自身のお子さんについての経験も織り交ぜながら話されました。

閉会に当たり、島根県金融広報委員会の大枝事務局長より、「金融教育については誤解されることも多いが、私達は消費者教育やキャリア教育も含めて幅広く捉えており、金融教育は子どもたちの『生きる力』の育成と密接に関わっています。金融教育に関する取り組みを続けてこられた東陽中学校に感謝します」との挨拶がありました。