金融教育公開授業
平成18年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
金融広報中央委員会
山口県金融広報委員会
山口/光市の実施報告
「金融教育公開授業 in 山口(室積小学校)」(10月18日開催)
10月18日(水)午後、山口県光市立室積小学校において公開授業が行われました。同校は明治6年創立で130年を超える歴史を誇る小学校で、道徳性の涵養とことばの教育を柱として教育活動を展開しています。当日は、当校の根宜淳子教諭が1年1組の30名に道徳の時間で「かぞくの心~ものやお金や心の大切さを学ぶ~」をテーマとする授業を行った後、関西学院大学教職教育研究センター教授の横山利弘氏から県内の先生方向けに「道徳教育と金銭・金融教育-重要性と取り組み方」と題する講演を行いました。
▼ 参加者内訳:
公開授業70名(うち児童30名、学校関係者40名)
講演77名(山口県小学校道徳教育研究会など学校関係者及び保護者)
公開授業「かぞくの心~ものやお金や心の大切さを学ぶ~」
「おかあさんのつくったぼうし」と言う話を題材に、母の愛情とともに、ものの大切さについて考える機会を与えることを狙いとした授業でした。子どもたちは実際に手編みの帽子やそれに見立てた体育帽を使って、主人公になりきって王様に扮した先生と役割演技をしました。王様は、主人公のかぶっているお母さんが作った帽子が大層気に入り、ご馳走や王様の冠と交換しようと持ちかけますが、主人公は「おかあさんが自分のために作ってくれた帽子は、世界に一つしかないので絶対に換えられない」と言って断りました。そのやり取りは微笑ましく、帽子に託された母の子どもへの愛情を気付かせていました。
また、授業を見学された県内の小学校の先生方からは、最近は家族に買ってもらった文房具を落としたり、なくしたりしても平気な子どもも少なくないので、買ってくれた人の気持ちにも思いが向かうようにして、ものを大切にする気持ちを育てていきたいと話されていました。
学校関係者向け講演「道徳教育と金銭・金融教育-重要性と取り組み方」
公開授業の後、学校関係者向け講演「道徳教育と金銭・金融教育-重要性と取り組み方」が、約1時間半に亘り行われました。
講演では、金銭・金融教育は生き方教育そのものであると話されました。人の一生をみると、生まれた時から出産費用が掛かり、亡くなった後にも葬祭費用や年忌の法事費用が掛かる。人とお金の関係をみると、幼少時は親の庇護の下で、もらう、使うしかないが、いずれ一人立ちして、親から精神的に自立するとともに、経済的にも自分で稼ぐという局面に変化し、いずれ親となり子を育てていくこととなる。また、一人立ちとは、社会の一員として役割を引き受けることでもある。具体的には、職業を通して社会的な役割を果たすとともに、収入を得ることになる。こうしてみてくると、学校教育とは、人が一人立ちしていくのを助けること、すなわち生きる力を身に付けさせる、生き方教育であると金銭・金融教育の重要性を説かれました。
ただ、道徳教育面では、社会的に共通した規範がなくなってきていることや、子どもの態度の変化――つい先頃までは、子どもの行動や言葉から、その心が推察できたが、現在は、行動から子どもの心がみえてこない――から、指導が難しくなってきている。これまでの固定観念や特定の価値観から子どもを指導しようとしても、ついてこない。教師は、子どもの心を開くよう積極的に働き掛けて自ら善悪の判断を考えさせる必要性が高まっていると話されました。また、金銭・金融教育も含め地域社会を巻き込んでの教育も重要性を増していると指摘されました。