金融教育公開授業
平成19年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
島根県金融広報委員会
金融広報中央委員会
島根/海士町の実施報告
「金融教育公開授業 in 島根(海士小学校)」(11月6日開催)
海士町は島根半島の沖合い約60kmの日本海に浮かぶ隠岐諸島の中ノ島にあり、日本海の荒波がもたらす豊かな自然に囲まれています。また、後鳥羽上皇流刑の地としても知られ、文化遺産が数多くあります。平成の市町村合併の折には単独町政を選択し、町の生き残りをかけた取り組みは全国の注目を集めています。明治6年に開校された海士小学校は現在、児童数47名の小規模校ですが、平成18・19年度の金銭教育研究校として、先生・児童・保護者・地域の方が一体となって金銭教育に熱心に取り組んでいます。
▼ 参加者内訳:
1.研究発表
教務主任の平田教諭から、研究主題である「正しい知識を身につけ、自ら考えよりよく生きようとする児童の育成」について、海士小学校では(1)「ものの価値に気づき、ものを大切にする子」、(2)「周りの人に支えられていることに気づき、人を大切にする子」、(3)「勤労の尊さを知り、進んで働く子」をめざし、3つの部会(授業研究部、生活環境部、家庭・地域連携部)を設け、研究実践を進めていることを発表。参加者からは「2年間の取り組み状況がよく分かり、発表がとても聞きやすかった」、「具体例があり、取り組みの様子が分かりやすかった」等の感想が寄せられました。
2.公開授業
(1) 2年生(道徳)
「おばあちゃんのお手玉」(東京書籍)を題材に、ものを最後まで大切に使うことを学びました。先生の「大切に使っているものに何がありますか」などの問いかけに対し、子供たちは元気に発表していました。
(2) 3・4年生(社会科)
住みよいくらしをつくる「ごみの処理と利用」をテーマに、ごみの出し方・処理や再利用の方法などについてグループ発表を行い、たくさんのアイディアが出されていました。
(3) 6年生(総合的な学習)
「海士町のエネルギー、あまっちょう?」と題し、海士町のエネルギーのあり方について、2グループに分かれて発表していました。ゲストティーチャー(数名)の助言に加え、友達から多くの意見が出され、活発な議論が行われました。 授業に参観された方々からは、「子供たち一人一人が自分なりの考えを持って授業に参加していて良かった」、「様々な提案を今後の生活に活かしてほしい」などの意見が寄せられました。
3.PTA実践発表
開会にあたり、濱田学校長が「今日の金融・経済、インターネットや携帯にかかわる事件・トラブル、ニートやフリーターの増加の問題などをみると、小学生のときから、お金やものを大切に思う気持ち、進んで働く態度や職業観を養うのは必要なこと。金銭教育2年目を迎え、児童・保護者の意識・行動が変わろうとしている。今日は金銭教育を理解していただくために、PTAの実践発表やあんびる先生の講演を参考にしていただきたい」と挨拶されました。続いて、PTAを代表して中川氏が「もったいない生活への取り組み」を発表されました。もったいない生活レシピ集を作成し、各家庭で実践されていること、これらの取り組みを地域に広げていきたいと話されました。
4.講演
生活経済ジャーナリストのあんびるえつこ氏が保護者や教育関係者、地域の方を対象に「子どもの金銭感覚を養う“お金”の教え方」と題した講演を行いました。
最初に、子どもたちがこれから直面する世界は「昔とは金融・経済環境が変化し、自己責任が問われるところ」、「少子化により今や8つのポケットを持つと言われる子どもたちを顧客にしようとする企業の目があるところ」、「インターネットとのつきあい方やクレジットカードによる多重債務の問題について考えなければならないところ」とデータを基に話されました。また、「ニートやフリーターの増加が問題視されているが、将来は勤労意欲を持って働き、金融知識を持って資産管理をしていかなければならない。何でも満たされている今と、厳しい環境の中で生きていかなければならない将来の間にあるギャップを如何に埋めていくか、何を教えればよいかゲームを通して学習しましょう」と呼びかけられました。
カレー作りゲームやフィッシャーマンゲームなどを通して、「お金(収入)は限られていること=希少性」、「何かを買ったら何かが買えなくなること=トレード・オフ」について、丁寧に説明された後、「選択の際に良い点と悪い点を比較したり、目的を考えて自分の意志で選ぶことや、計画的に上手にお金を使うことを学ばせるために、おこづかいの管理を子どもに行わせることは金銭教育においてよい教材になる」と話されました。また、「自分の利益ばかりを考えるのではなく、大きな目を持って意志決定をしてほしい」と呼びかけられました。
参加者からは「ゲームを通してお金のことを楽しく勉強できた」、「子どもへの教え方などについて大変参考になった」、「分かり易かったので、子どもにも聴かせたかった」などの感想が寄せられました。
(講演会の模様)
閉会にあたり島根県金融広報委員会の臼井事務局長が「自分の身を守りながら生きていくときにお金とのかかわりは大事です。今日の授業を拝見して、先生と生徒の間でフェイス・トゥ・フェイスによる対話式の授業が行われており、少人数ながらも活き活きとした教育が行われていることに感激しました。この2年間で培われたノウハウをぜひ地域や他校にも広めていただきたい」と挨拶しました。
5.プログラム
- 9:00~9:20
- 研究発表 海士町立海士小学校教務主任 平田
- 9:30~10:15
- 公開授業
(1) 2年生 道徳 上手に使う「節度ある生活態度」
(2) 3・4年生 社会科 住みよいくらしをつくる「ごみの処理と利用」
(3) 6年生 総合的な学習 海士町のエネルギーあまっちょう? - 10:25~10:30
- 開会挨拶 海士町立海士小学校校長 濱田
- 10:30~10:50
- PTA実践発表「もったいない生活への取り組み」
海士町立海士小学校PTA 中川氏 - 10:50~12:00
- 講演「子どもの金銭感覚を養う“お金”の教え方」
講師:あんびるえつこ氏 - 12:00~12:10
- 閉会挨拶 島根県金融広報委員会事務局長 臼井