金融教育公開授業
平成19年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
金融広報中央委員会
京都府金融広報委員会
京都府立京都すばる高等学校
京都の実施報告
「金融教育公開授業 in 京都(京都すばる高等学校)」(2月6日開催)
京都府立京都すばる高等学校は、文化と自然に恵まれた京都市伏見区に所在し、平成18-19年度に京都府金融広報委員会から金融教育研究校の委嘱を受けて金融教育に取り組んでいます。2月6日(水)には、同校教諭による公開授業と外部講師による講演が行われ、新聞社2社が取材に訪れました。
▼ 参加者内訳:
生徒480名、開催校教員48名、開催校保護者等一般参加者52名、合計580名
1.公開授業
公開授業は、会計科の1年生を対象にパソコン教室で行われました。将来の結婚や住宅購入などの「人生のイベント」を考慮に入れたライフプランの「未来予想図」(表計算ソフトのファイル)を作成するものです。前の時間でイベントとそれに必要な支出金額を記入したのに続き、60歳の時に老後生活の資金として預金残高3千万円を確保することを目標として、支出割合(収入のうち通常の支出に回す割合)や各イベントの費用を見直しました。
見直しの前には、人生の途中から預金残高が大幅なマイナスとなってしまっていた生徒も、自動車の購入費用を見直すなどしてやり繰りを試みました。一方、子どもの高校の授業料を1年分しか計上しておらず、担当教諭に指摘される生徒もいました。
預金にも借入れにも利息がかかり、一般に借入れ金利は預金金利よりも高いとの説明を受けて、生徒たちは、60歳の時に3千万円を手許に残すために必要な預金金利(資産運用の利回り)がいくらになるかを計算し、資産の運用次第で状況が大きく変わることを実感していました。
授業の終了時に、生徒から「3千万円を確保するためには当初のプランから結婚費用や支出割合を変える必要があることが分かり、勉強になった」といった感想が聞かれました。
(公開授業の模様)
2.講演会
開会に当たり、的場校長が「これから社会に巣立つ皆さんにとって有意義な知識や考えを学んでほしい」、京都府金融広報委員会の國光事務局長が「お金を通して身近な生活を考えて下さい」と挨拶しました。
講演では、住田弁護士が「身近に潜む金融・消費者トラブル」というテーマで約1時間半に亘りお話されました。契約は当事者の意思が合致して初めて成立すると説明したうえで、さまざまなケースについて、時おり生徒たちに問いかけながら解説していきました。
住田氏は、相槌の「はい」は承諾の「はい」と受け取られかねないし、断るつもりで「結構です」と返事をしても、承諾の意味の「結構です」だったと主張されてしまうことがあるので、断るときは曖昧な返事をせずに「要りません」とはっきり言うべきであると述べました。また、値札の値段を読み間違えて「買います」と言ってしまっても、読み間違えたことについて「重大な過失」がなければ注文を無効とすることができるが、どういうケースが「重大な過失」になるかについては専門家でも意見が分かれるので、注意が必要だと話されました。このほか、浄水器の訪問販売に根負けして契約書に判を押しても8日以内ならクーリング・オフ制度により取り消すことができるが、業者が逃げてしまったら支払った代金は返ってこない、と注意を促しました。
多重債務の問題については、「1回借りた人のうち7年後に完済できた人は4割しかいない」とデータを示したうえで、「クレジットカードの分割払いやリボ払いで買い物をすることは借金にほかならない」と警鐘を鳴らしました。
最後に、「皆さんにとって一番いい投資先は、自分自身です。資格を取るのもいいし、学校活動などでリーダーとして活躍することも自信につながりますので、自分自身を磨いていって下さい」と生徒たちにエールを送られました。
講演終了後、的場校長より「大人になると罠が多いことを教えていただきました。これを肝に銘じて生活していってほしい」との挨拶があり、閉会となりました。講演の参加者からは、「事例が豊富で大人にも高校生にも分かりやすかった」、「帰宅後に子どもともう一度話し合いたい」との感想が寄せられました。
(講演会の模様)
3.プログラム
- 8:35~ 9:40
- 公開授業「私たちの生活と金融」
講師:京都府立京都すばる高等学校教諭 西尾秀樹 - 9:55~10:00
- 開会挨拶 京都府立京都すばる高等学校校長 的場敏信
- 10:00~10:05
- 主催挨拶 京都府金融広報委員会事務局長 國光幸人
- 10:05~11:35
- 講演「身近に潜む金融・消費者トラブル」
講師:住田裕子氏 - 11:35~11:40
- 閉会挨拶 京都府立京都すばる高等学校校長 的場敏信