金融教育公開授業
平成19年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
富山県金融広報委員会
立山町立立山北部小学校
金融広報中央委員会
富山の実施報告
「金融教育公開授業 in 富山(立山北部小学校)」(11月14日開催)
立山町立立山北部小学校は、富山県金融広報委員会より金銭教育研究校の委嘱を受け、生活科や社会科、総合的な学習の時間、道徳、特別活動などの学習を中心に、家庭、地域社会と連携しながら金融教育に取り組んでいます。
11月14日(水)に開催しました公開授業及び講演、講義には、6年生26人のほか、学校関係者、保護者及び地域の皆様など多くの方々にご参加をいただきました。また、テレビ局(1社)、新聞社(1社)も取材に訪れました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
公開授業は、6年生の教室において金銭教育指導者団体「マネーじゅく」代表の陣内恭子氏による「お金と世界とわたしの生活」というテーマで行われました。
5~6人でグループを編成し、カレーライス屋さんを経営するという設定のシミュレーションゲームで、主な内容は、「カレーライスの材料や人件費を各班で話し合ったり、じゃんけんをしたりして決める。」「かかった費用を計算し、価格を決める。」「PRの言葉を考え、参観者にカレーライスを買ってもらう。」というものでした。
例えば、食材は、高級なものや地場産のもの、手ごろな値段のものの中から、話し合いで決める。高いけれどおいしいカレーライスを売るか、手ごろな値段のカレーライスをたくさん売るか。話し合いを通して、自分たちの経営方針を明確にし、価格を決定するという体験をしました。
子どもたちは、1杯のカレーライスができるまで様々な過程があることを、授業を通して学ぶことができました。また、経営者と消費者の両方の視点で物事を考えることができました。
(公開授業の模様)
2.講演会
公開授業の後、陣内恭子氏による講演「こころを育てるお金のはなし~金銭教育の視点で選択と責任を子どもに伝える~」が行われました。
公開授業のねらい
講演では、まず、公開授業の学習のねらいと授業を通して子どもたちに身に付けさせたい力について説明されました。「カレーライス店を経営し、食材の選定や人件費・価格を決定、販売するシミュレーションゲームを通したワークショップでは、グループで協力し合って計画・実践する力や他者とかかわり合うコミュニケーション能力などが養われます。学校や家庭において、金銭にかかわる学習や体験を通して金銭感覚を磨くことで、将来における家計の管理や適切なお金の遣い方などが身に付きます。」と話されました。
学校、家庭の役割
続いて、学校、家庭の連携について、説明されました。
「金銭教育は、特に家庭教育が大切です。例えば、お小遣いは教材になります。家庭では、1年生からでも定額のお小遣いを与え学ばせることができます。何か欲しいものがある時、どうすれば手に入るかを考え、自分で買うか、親に頼むかなど方法の選択や交渉する力を身に付けていきます。親は、子どもに信用を得るような生き方を自分自身が手本になるように見せてほしいです。子どもは、信用がなければ、仕事を得ることやものやお金を借りることができないことを学んでいきます。
学校教育は、世の中のことにもっと関心をもたせ、自立と自律を身に付けさせる教育になるといいです。
一生懸命働いて稼いだお金をどう使うか考える学習が大切です。子どもたちに命の話をすることもお金の教育の中でできます。働くというのは人の時間を使うことです。時間の積み重ねが命でもあります。その時間(命)を使って作り出したお金をどう使うか、これは命を大切に使うかどうか、ということでもあります。『世の中の役に立つ(仕事を稼ぐ)、お金を得る、仕事をして得たお金を上手に使い生活する』このような生きることの一連の営みを子どもにしっかり説明することです。そして、このとき、生産者、経営者の複数の目線でも同時に考えることができるよう多面的に捉える訓練ができると、賢い消費者としての目が育ちます。
定額のこづかいとお小遣い帳は、親子のコミュニケーションに役立ちます。買った時のうれしさや失敗など会話のきっかけになります。大人から見て無駄使いと感じても怒ったりせず、自分の買いものを省みるように促すことが、自分の行動から学ぶことにつながります。何が大事か、価値観の物差しは人によって違います。一人ひとりを大切にしていけば、それぞれに合わせたお金の教育が見えてきます。」と締めくくられました。
(講演会の模様)
講演に引き続き、金融広報中央委員会事務局金融教育プラザリーダー園田耕三による講義「学校における金融教育について」が行われました。
当委員会が全国の児童生徒に対して行った「子どものくらしとお金に関する調査」(平成18年5月公表)に基づき、(1)ほとんどの子どもがおこづかい帳をつけていないことや、(2)携帯電話等の普及からネットショッピングやオークションに参加し、トラブルに巻き込まれる可能性が高まっていることなどから、早いうちからお金について考えさせる必要があることが話されました。
また、これまではお金に関する教育は、どちらかと言えば家庭での躾と考えられてきたが、これからは、人々が共通に経験する学校教育に中でも、積極的に取り上げていくことが期待されていること、そして学校での授業実践に役立つように「金融教育プログラム」を作成し、全国の学校に配付していることが紹介されました。
こうした金融教育は、社会の中で生きる力を育むもので、学校、家庭、地域が連携して取り組んでいくことが大切だと話されました。
(講義の模様)
3.プログラム
- 13:15~14:00
- 公開授業「お金と世界とわたしの生活」
講師:陣内恭子氏 - 14:15~14:30
- 開会挨拶
富山県金融広報委員会副会長(日本銀行富山事務所長) 野村幸司
激励の言葉
富山県教育委員会小中学校課主幹 斉藤清貴氏
立山町教育委員会教育長 高野實氏 - 14:30~15:40
- 講演「こころを育てるお金のはなし~金銭教育の視点で選択と責任を子どもに伝える~」
講師:陣内恭子氏 - 15:40~16:20
- 講義「学校における金融教育について」
講師:金融広報中央委員会事務局金融教育プラザリーダー(日本銀行情報サービス局企画役) 園田耕三 - 16:20~16:25
- 閉会挨拶 立山町立立山北部小学校校長 西野清紀