金融教育公開授業
平成20年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
兵庫県金融広報委員会
神戸市立伊川谷小学校
金融広報中央委員会
兵庫の実施報告
「金融教育公開授業 in 兵庫(伊川谷小学校)」(11月20日開催)
神戸市立伊川谷小学校は、神戸市の西端に位置する自然環境に恵まれた緑豊かで、文化財も多い西区に在り、来年度、学校創立100年目を迎える歴史豊かな学校です。同校は兵庫県金融広報委員会より金銭教育研究校(19-20年度)の委嘱を受け、「お金・もの・人を大切に ~モッタイナイは未来へのたから物~」を研究テーマに学校ぐるみで熱心に取り組んでいます。
11月20日に「伊川南区域別学校園人権教育推進協議会」を兼ねて金融教育公開授業が開催されました。全学年38クラスの授業を近隣校の先生方に公開した後、いちのせかつみ氏による講演会が実施されました。当日は、地元の新聞社が取材に訪れました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
実施された公開授業の一部をご紹介します。
(1) 1年生「人・物を大切にする心を育てる」
図工の時間に折れたクレパスをお道具箱に放り込み、なくなってしまうという「おれたクレパス」の紙芝居を見て、クレパスや鉛筆、消しゴムはなんと言っているかを考え、自分達の身の回りの物を大切にするにはどうすればよいかみんなで話し合いました。
(2) 2年生「人・物を大切にする心をもつ」
お小遣いの使い方を3つの例((1)綺麗なのでほしくなった。(2)お腹が空いていたから。(3)お小遣いを上手に使いたい)をあげ、それぞれの使い方について意見を出し合った後、買う前に良く考えなければいけない、無駄遣いしないようにするなどお金はどのように使うべきかを話し合いました。
(3) 3年生「身近な環境についてかんがえよう」
200円で買えるものを発表し合い、だいたいの計算で買い物ができるよう、また、早く間違いなくできる計算方法をみんなで考え、班ごとに発表しました。
(4) 4年生「環境とくらしについて考えよう」
題材は、人々の幸せを壊す戦争の悲惨さや残酷さと、戦争という状況でも強く生きる人間の強さや美しさ、家族の深い愛情を考えることを通して、命や平和の大切さとは何かを問いかける作品「一つの花」。主人公の気持ちになって書いた手紙をグループ内で発表し、クラス全体に感想を伝え合いました。
(5) 5年生「広めよう『ありがとう』のWA!」
日本の食料廃棄量が何故多いかについて考え、無駄を減らすために自分たちに何ができるかを考えました。
(6) 6年生「感謝の気持ちをもって共に生きよう」
税について知っていることを自由に話し合い、大人になればたくさんの税金を払うことになるが、税金がなければどうなるか、身の回りで税金が使われ自分達の暮らしを支えているということを学びました。
(7) なかよし・みどり学級「ものを大切にしよう・人を大切にしよう」
土と親しみながら作物を育て、収穫の喜びが体験できる学習園での栽培活動のまとめとして“おいもパーティー”を友達と一緒に楽しみました。
2.研究経過報告
保護者と子供たちに金銭に関するアンケートを取った結果、保護者は工夫して毎日の生活をしているが、反面、子供たちは、頭の中では分かっていても実践となると中々出来ていない。このような実態を踏まえて、職員は研修を進めてきた。1年目は、金銭教育をしていく中で、学校だけでなく保護者の協力が必要であるということから、シンポジウムという形で授業を保護者に公開。その後、6年生と保護者を対象に講演会を行なった。今年度は先生方に授業を公開することとした。金銭教育は指導者が意識を持って指導することが一番大切なことである。今後は、このような機会を活かし、子供たちが身近な小遣いやリサイクルなどに関心を持ち、人との信頼を持って善悪の判断ができる賢い消費者となるよう、育てていきたいと考えている。
3.講演会
研究経過報告の後、いちのせかつみ氏から、「子どもはお金が好きやねん!今、金銭教育が必要なワケ!」と題する講演が行われました。
まず、クーリングオフについてのクイズから始まりました。最初は元気良く手を上げていた参加者も、なかなか正解が出ず、徐々に手が上がらなくなりました。いちのせ氏は、クーリングオフの意味(頭を冷やし考える時間を得ることで契約の意思を再確認できる)を子供たちに教えてあげてほしいと話されました。
次に、お金の教育は道徳教育であるとして、金利のクイズを交えながら、貯める時は長く、借りる時は出来るだけ短くすることが基本、子供たちには時間という財産があるので、お金をコツコツ貯めることが大事。お金だけでなく健康や人間関係にも時間をかけながら、財産作りをさせてあげてほしい。また、金融・金銭教育は、しつけと知恵の2つの習得を目的としており、しつけについては、家でしっかり教えてほしい。子供は親の姿を見て成長するので、意識して行動することが大切。また、知恵の習得については、親と先生方が一体となり教えていかないといけないと説明されました。
続いて話は携帯電話に移り、携帯電話は便利だが、持っているがために犯罪も起きる。携帯電話を子供に持たせるのであれば無条件で渡すのではなく、家庭でルールを決めることが必要であると話されました。
最後にご自身の家庭でのお小遣いの与え方について話され、「子供をしっかり見て、子供にあった渡し方をすることが必要、また、携帯電話については、ご家庭で使わなくなった携帯電話があるならば、これで機器が備えている機能について学ばせることも良いと考える。いずれ、使うことになる携帯電話の効果的な使い方が分かるようにもなるから・・・。子供たちにとっても大人にとっても複雑で分かりにくい時代になった。だからこそ親子、先生方と子供たち一体となってお金のことに向き合って頂きたい」と締めくくられました。
参加者からは、「身近な話が多くおもしろかった。携帯や小遣いの話は勉強になった。」、「携帯電話、お小遣い、お金の大切さ等、学校の授業で活かせる話でした。」などの感想を頂きました。
4.プログラム
- 13:40~14:25
- 公開授業「お金・もの・人を大切に」
講師:神戸市立伊川谷小学校 教諭
(1) 1年生「人・物を大切にする心を育てる」
(2) 2年生「人・物を大切にする心をもつ」
(3) 3年生「身近な環境についてかんがえよう」
(4) 4年生「環境とくらしについて考えよう」
(5) 5年生「広めよう『ありがとう』のWA!」
(6) 6年生「感謝の気持ちをもって共に生きよう」
(7) なかよし・みどり学級「ものを大切にしよう・人を大切にしよう」 - 14:45~15:00
- 開会挨拶 神戸市立伊川谷小学校校長 嶋岡弘光
主催者挨拶 兵庫県金融広報委員会 成毛建介
研究経過報告 神戸市立伊川谷小学校 教諭 荒木雄二 - 15:00~16:20
- 講演「子どもはお金が好きやねん!今、金銭教育が必要なワケ!」
講師:いちのせかつみ氏 - 16:20~16:30
- 閉会挨拶 神戸市立伊川谷小学校校長 嶋岡弘光