金融教育公開授業
平成21年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
山梨県金融広報委員会
身延町立下山小学校
金融広報中央委員会
山梨の実施報告
「金融教育公開授業 in 山梨(下山小学校)」(10月14日開催)
身延町立下山小学校は、山梨県南部の富士川沿いに位置し、近くには日蓮宗総本山久遠寺や国民保養温泉地に指定されている下部温泉があり、自然に恵まれた歴史と伝統のある学校です。平成19年に現在地に新築移転された校舎は、バリアフリーやエネルギー教育にも配慮され、明るく快適な学習環境を生み出しています。
同校では、平成20・21年度に山梨県金融広報委員会から金銭教育研究校の委嘱を受け、「一人ひとりがかかわり合い、学び合う学習の展開<お金を通して社会を考える金銭教育の授業を通して>」をテーマとして研究に取り組んでいます。10月14日(水)には、同校教諭による全学年の公開授業と外部講師による講演が開催されました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1) 「つくってワクワク あそんでワイワイ」(1・2年生)
公開授業では、これまで実施してきた町探検(見学)でのインタビューを基に、お店に大勢のお客さんが来てもらうための工夫について、児童達が話し合いました。今後は、児童が自分達でお店を運営する「チビッコまつり」開催に向けて準備を進めていきます。こうした取組みを通じて、人との関わり方や相手の立場に立って考えることの大切さ、お金を得ることの大変さについて、児童達に気付きを与えたいと考えています。
(2) 「見直そうわたしたちのくらし」(3年生)
児童達が「消費者としての自分」について意識を深め、賢い消費活動ができるようになることを目的に、「自分達がどこでどのようなものを購入しているのか」など買い物について調べたり、スーパーマーケットを見学してお店が商品を売るために行っている工夫などについて調査してきました。今回の公開授業では、商品陳列の方法や店内レイアウトの工夫など、スーパーマーケットを見学した際に気付いたお店の取組みについて、児童一人ひとりが発表しました。
(3) 「健康なくらしと町づくり~水はどこから~」(4年生)
私達の日常生活の中で当り前のように使っている水道水は、ただではなく、多くの人々の努力やみんなの負担(水道使用料や税金等)で成り立っていることを学ぶため、水道事業の仕組みや実情について学習してきました。今回の公開授業では模型等を使って、日々の生活の中で使用する水の量や学校と家庭での使用量の違いについて児童達が話し合い、水の大切さについて一人ひとりが考えました。
(4) 「情報の価値について考えよう~コンビニの店長になってみよう~」(5年生)
現代社会において、お金や物と同様に情報も重要な意味を持っていることを理解するため、児童達がコンビニ店長を擬似体験する授業を実施しました。具体的には、児童達がコンビニ店長として、天気予報や過去の販売実績といった情報を基に、お弁当をどれくらい仕入れたら利益を確保することができるのかといったシミュレーションに、取り組みました。
(5) 「お金とは何か考えよう~日本のお金の歴史をさぐろう~」(6年生)
社会でのお金の役割について考えるため、お金の持つ意味や働き、その成り立ちなどに関する歴史的な出来事(「日本で初めてお金が作られたのはいつか」、「お金の単位が円に変わったのはなぜか」など)について、グループ研究を進めてきました。今回の公開授業では、この研究成果についてクイズを交えるなど工夫して、各グループが発表しました。
3.講演会
公開授業の後、田中優氏から「お金の使い方を考える」と題する講演が行われ、下山小学校の児童(4~6年生)および保護者、地元教育関係者などが参加しました。
講演は、児童に対する「100円はよく使うよね、では、この100円で何が買えるかな?」との投げかけから始まりました。
日本では100円でガムしか買えないけれど、お金の価値は、日本と他の国とではだいぶ違います。例えば、タイのゴミ捨て場でゴミ拾いをしている人は1日かけて使えそうな物を拾い集めても100円しか稼げないこと、油ヤシのプランテーションで働く子どもは貧しいため、学校に通うことができず、プランテーションでの生活から抜け出せないこと、アフリカでは、カカオ工場で奴隷として働かされている子どもや僅か1,800円で売買されている子どもがいること、南アフリカでの人種差別の話などについて、音楽や映像を交えながら話されました。
このように、私達が豊かに暮らしている向こう側では、1日に100円を稼げるかどうかといった生活を強いられている人達がいることを知ると、私達が今使っている100円と彼らがやっとのことで手に入れた100円とが同じ価値とは到底思えないと、思いを述べられました。
次に、私達のお金が自分の意に反して戦争や地球温暖化を推進していく方向に用いられてしまう事例をあげ、自分のお金(預金)がどこに使われているのか知り、人を傷つけるためや環境破壊のためではなく、いろいろな人達を助けるために使うことができるよう、また、地球の滅亡を回避し、私達が生き続けることができる地球を保持するため、私達のお金の使い方を変えていこうと、訴えられました。
自分達のお金の使い方を変える試みとして、市民が自分達のために創った銀行、すなわち、環境、福祉、起業目的だけに融資を行う「NPOバンク」について具体的な融資案件をあげて紹介されました。
最後に、お金は、それ自体が悪いものではなく、その使い方に問題があると話され、未来をダメにするお金の使い方を止めて、未来を豊かにするお金の使い方に変えていけば、社会を良い方向に変えていくことができること、みんなの未来を暗いものとしないため、是非お金の使い方を考えて欲しい、みんなにしかできない何かを見つけて欲しいと、締め括られました。
4.プログラム
- 13:50~14:35
- 公開授業 「一人ひとりがかかわり合い、学び合う学習の展開 <お金を通して社会を考える金銭教育の授業を通して>」
(1)「つくってワクワク あそんでワイワイ」(1・2年生)
(2)「見直そうわたしたちのくらし」(3年生)
(3)「健康なくらしと町づくり~水はどこから~」(4年生)
(4)「情報の価値について考えよう~コンビニの店長になってみよう~」(5年生)
(5)「お金とは何か考えよう~日本のお金の歴史をさぐろう~」(6年生) - 14:50~15:00
- 開会挨拶 身延町立下山小学校 校長 岩崎啓治
主催者挨拶 山梨県金融広報委員会 事務局長代理 角倉伊織 - 15:00~16:00
- 講演「お金の使い方を考える」
講師 田中優氏 - 16:00~16:05
- 閉会挨拶 身延町立下山小・中学校PTA 会長 羽賀勝之