金融教育公開授業
2016年度 金融教育公開授業
香川県金融広報委員会
綾川町立陶小学校
金融広報中央委員会
香川の実施報告
「金融教育公開授業 in 香川(綾川)(陶小学校)」(9月28日開催)
綾川町立陶小学校は、「すてきな笑顔があふれる陶小学校」を合言葉に、「自ら考え、心豊かでたくましい子どもの育成」を教育目標に掲げています。
9月28日(水)に金融教育公開授業を開催し、平成27・28年度の2年間金銭教育研究校として金銭教育に取り組んできた成果を全学年で発表したほか、ダニエル・カール氏による講演会を開催しました。講演会の後、他校の教員や学校関係者等にご参加いただき、金銭教育協議会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
当日行われた公開授業のうち一部を紹介します
(1)「みんな かぞく~さやかさんのおにぎりづくり~」
けがをした祖母の代わりに「さやかさん」がどんな気持ちでおにぎりを作ったのかについて考えました。自分の考えをもとにみんなで話し合い、「さやかさん」はいつもお世話になっている家族のことを思っておにぎりを作ったことに気付きました。友だちとの対話を通して、どの児童も「さやかさん」と同じようにいつも家族に支えてもらっていることがわかりました。そして、家族に宛ててこれからどんなふうにお手伝いをするか手紙を書き、家族のために自分にできることを実践しようという意欲を高めました。
(2)「じぶんで できる しごと~おふろばそうじ~」
「あきら」がお風呂掃除を毎日続けることができたわけについて考えました。多くの児童は家族に褒められるからと考えましたが、話し合いを進めるうちに、「おふろがピカピカになったことがうれしい」とか「家族を喜ばせたい」など、自分自身が成長した喜びや、相手のことを思いやる意見に変わっていきました。お風呂掃除をやらされているという気持ちから、本当にお風呂掃除が好きになる「あきら」の気持ちの変化に気付くことができました。
(3)「店ではたらく人」
陶校区のスーパーマーケットで働いている人たちが工夫したり努力したりしていることについて話し合いました。「売り場コース」と「バックヤードコース」の2つのグループに分かれて見学しました。グループの中でも仕事の内容ごとに5つの班に分かれ、しっかり観察しました。自分たちの班が見つけたことを、同じコースのみんなに紹介しました。これらの活動を通して、仕事の内容が違っていても、お客さんが気持ちよく買い物ができるように、たくさんの工夫や努力をしていることに気付くことができました。
(4)「ごみのしょりと利用」
これからの生活で自分が取り組めそうな「ごみ減らし作戦」について考えました。自分が考えた作戦をグループ内で話し、グループの代表作戦を選び、発表しました。それぞれの作戦を3R(リデュース<ごみを減らす/出さない>、リユース<繰り返し使う>、リサイクル<再び資源に使う>)に分類し、よりごみが減らせそうな作戦がどれなのかを考えました。比較検討した結果、3Rの中でもごみを出さないリデュースがごみを減らすために有効であることを知りました。ゲストティーチャーから作戦への評価を受け、作戦をやってみようという気持ちが高まりました。
(5)「めざそう買い物名人」
買い物をするときに大切なことは何かについて考えました。買い物に出かけ、予定外のものが欲しくなった場面を設定し、自分だったら「買う」か「買わない」かを考えてみました。これにより適切な買い物の仕方についての意識が高まりました。その後、「買う」か「買わない」かの判断基準についてグループで話し合い、買い物の際の5つの判断基準をまとめました。この基準をもとに再度一人ひとりが検討し、判断結果と理由をワークシートに記入しました。全体で交流する場では、一人ひとり立場や状況によって判断基準に違いはあっても、「欲しい」から買うのではなく、「本当に必要なものかどうか」を検討することが、買い物名人の第一歩であることに気付くことができました。
(6)「働く喜び~土に生きる母~」
天災(突然のひょう)にも負けず、再び野菜作りに精を出すことができた母の姿から、勤労の意義について考えました。金銭のためだけではなく、大切に育てた作物を出荷できることが母の仕事の「やりがい」であることに気付くことができました。その後、自分たちの学校での役割である委員会や係活動での働きぶりについて振り返りました。自分が働くことが学校や人の役に立っていることを再確認したことで、みんなを笑顔にしたいという思いが高まり、自ら進んで人のためになることをしたいという意欲をもつことができました。
2.研究発表
研究を担当した鳥居久宮子先生より、金融教育の実践事例について次の通り発表が行われました。
当校の児童をみると、素直で明るく、真面目という良い特性をもつ一方、自分の考えで主体的に動くという点ではまだまだ向上の余地があると感じていました。こうしたことから、当校では、「主体的に判断し豊かに表現する子どもの育成」という研究主題を掲げ、それぞれの学年に応じて、自ら考え行動する力を育む金銭教育に取り組んできました。
その際、常に「何を狙いとして授業を行うか」を深掘りし、目的を明確にすることで、より高い成果をあげられるよう工夫してきました。また、「修学旅行の際のお金の使い方を考える」といったような通常の教育課程と金銭教育をうまくマッチングさせた取り組みを行ってきました。この結果、多くの児童がこれまでより、ものやお金を大切にするようになったほか、自ら進んで係の仕事を引き受けるといった主体性をもつようになるなど、相応の成果を得ることができたと感じています。
今後も保護者の理解と協力を得ながら、より実生活に役立つような教育プログラムの充実に取り組んでいきたいと思います。
3.講演会
研究発表の後、ダニエル・カール氏から、「くらしとおかねのお役立ちヒント~日米の生活体験を通して~」と題する講演が行われました。
ダニエル氏は、まずはじめに、幼少時代、父親から「お金はもらうものではなく自分で稼ぐもの」だと教えられ、家事などを手伝うことでお小遣いを得ていた、と話されました。自ら働いた対価としてお小遣いを得ることによって、買い物をするときには、「自分にとって本当に必要なものか」を常に考えたうえでお金を使うようになったそうです。
また、中学、高校と年齢が上がっていくなかで、父親からクレジットカードや小切手の使い方、契約書の書き方など、より幅広い金融教育を受け、お金を正しく使うことの大切さをより深く学んでいったと話されました。
最後に、アメリカにおいては自分が経験したような実践的な金融教育が広く浸透している一方、日本では親子の間でお金の話をあまりしない傾向があり、今後金融教育を日本でも広めるためには親子の間でお金の使い方などについてもっと話し合う機会を作ることが良いと思う、と話を締めくくられました。
受講者からは、「日米の考え方の違いが聞けてよかった」、「家庭でも金銭教育をとり入れていきたい」といった感想が寄せられました。
4.金銭教育協議会
講演会の後、他校の教員や学校関係者等にご参加いただき、公開授業や研究発表・講演会に関する意見や感想等について話し合いました。
他校の教員からは、「学校の普段の授業の中で、金銭教育の要素を取り込んだ授業を行うことによって、児童の『ものを大切にしようとする心』や『自分から進んで行動する気持ち』が育っていくと感じた。今後の授業にとり入れていきたい」といった声が聞かれました。
5.プログラム
- 13:00~13:45
- 公開授業
(1)「ひろがれ えがお ~かぞくのえがお だいさくせん~」(1年松組 生活科)
(2)「みんな かぞく ~さやかさんのおにぎりづくり~」(1年竹組 道徳)
(3)「じぶんで できる しごと ~おふろばそうじ~」(2年松組 道徳)
(4)「はたらく よさ ~さつまいもばたけ~」(2年竹組 道徳)
(5)「店ではたらく人」(3年松・竹組 社会科)
(6)「ごみのしょりと利用」(4年松組 社会科)
(7)「家族のために ~パン屋の仕事~」(4年竹組 道徳)
(8)「めざそう買い物名人」(5年松・竹組 家庭科)
(9)「まかせてね 今日の食事」(6年松組 家庭科)
(10)「働く喜び ~土に生きる母~」(6年竹組 道徳) - 14:00~14:05
- 開会挨拶
香川県金融広報委員会会長 菱川功 - 14:05~14:15
- 研究発表
「主体的に判断し豊かに表現する子どもの育成」
発表者:綾川町立陶小学校現職教育主任 鳥居久宮子
- 14:15~15:15
- 講演「くらしとおかねのお役立ちヒント~日米の生活体験を通して~」
講師:ダニエル・カール氏 - 15:15~15:20
- 閉会挨拶
綾川町立陶小学校校長 西吉政和 - 15:30~16:00
- 教育関係者による金銭教育協議会