ナビゲーションをスキップして本文へ

これより本文です

金融教育公開授業

2019年度 金融教育公開授業

山梨県金融広報委員会
中央市立玉穂南小学校
金融広報中央委員会

山梨/中央市の実施報告

「金融教育公開授業 in 山梨(中央市)(玉穂南小学校)」(11月14日開催)

中央市立玉穂南小学校は、開校27年目の学校です。中央市の教育の基本『まごころ』を踏まえつつ、『個性豊かで、心身ともにたくましく生きぬく』を教育目標として、一人ひとりの個性を尊重し、きめ細かい教育を行っています。

山梨県金融広報委員会より平成30・令和元年度の金銭教育研究校の委嘱を受け、11月14日(木)に金融教育公開授業を開催し、1・4年生を対象とした公開授業のほか、研究発表およびダニエル・カール氏による講演会を行いました。

▼ 参加者内訳:

児童52名、教員30名、保護者18名、教育委員会5名、他校教員44名、地域の方々4名、合計153名

1.公開授業

(1)「もったいないって どんなこと」(1年生 道徳科)

事前に行ったアンケートでは、多くの児童が「物を大切にしている」と回答しました。しかし、実際には、落し物が多くあるなど、物を粗末にしている実態があります。こうした状況を先生が説明し、「物の使い方についてもう一度考えていこう」という問いかけから授業が始まりました。
まず、もったいないことをしていると、「もったいなーい」と言いながら、どこからともなくやってくる「もったいないばあさん」の紙人形とかるたを使い、「食べ残しをしている場面」、「水を出しっぱなしで歯磨きをしている場面」、「みかんの皮を捨てている場面」をみて、もったいないばあさんが現れるかどうか、考えてみました。また、現れる理由や、現れた後は自分たちがどのような行動をとるのがよいかを考えました。
最後に、自分の生活を振り返って、「もったいない」ことはないか話し合い、「テレビのつけっぱなし」、「食べ物を賞味期限切れで捨てる」、「本を最後まで読まない」などの、もったいないかるたを作りました。
児童からは、「もったいないので残さず食べる」、「むだづかいをしない」などの感想がきかれました。児童の物やお金を大切にしようとする心情を育てることにつなげることができました。

写真1:1年生の授業「もったいないって どんなこと」の模様


(2)「わたしを ささえてくれたもの」(4年生 特別活動)

3学期に計画されている2分の1成人式を前に、自分が10年間生活してきた中で、洋服、ご飯、お菓子、ゲーム、習い事などに約1,000万円のお金がかかっていること、そのお金は家の人が働いて得たものなどであることを学んできました。

授業では、はじめに日常生活の中で物やお金を大切にしていないことがないか、話し合いました。児童からは、落し物や食べ残しが多い、電気をつけっぱなしにする、塾をさぼる、などの意見が出されました。

次に、先生が本物のお金を使い、今までの落とし物などの値段分を、透明な袋のお財布から貯金箱に入れていくと、お財布のお金が無くなってしまうことを児童に示しました。児童は、お金には限りがあり、大切にしなければならないことに気がつきました。

最後に、児童は、物やお金を大切にするため、自分の普段の生活を見直しながら、自分にできることについてアクションプランを作り、グループで意見交換を行いました。

児童からは、「親が働いて稼いだお金で買ってくれたものだから、大切に最後まで使いたいです」、「両親が働いたお金を、私のために使ってくれていることに感謝したい」といった感想が聞かれました。

写真2:4年生の授業「わたしを ささえてくれたもの」の模様

2.研究発表

金融教育研究校の委嘱を受け、研究主題は「生き生きと学び合う子供の育成~自分の考えを深め、判断するための工夫を通して」としました。
本年度は、自分の考えを深め、判断することに焦点をあてた研究を続け、互いの意見の交流などの学び合いを通して最終的に自己決定していけるような金銭教育を行うことを目指してきました。

現時点までの本校の校内研究の成果は、以下の4点です。
(1)金融教育・金銭教育に関わる教育課程の洗い出しを行うことにより、見通しを持って金融教育に取り組むことができたこと
(2)全校児童を対象にした「お金に関するアンケート」を実施したことにより、児童のお金に関する実態が明確になり、研究を進めるうえで役に立ったこと
(3)キャリア教育、環境教育などや各教科を、金融教育と関わりを持たせながら取り組むことができ、より広い視野で金融教育を行うことができたこと
(4)金融教育を通して、主体的に取り組み、思考力や判断力を高め、より良い解決に向けて自己決定する力を伸ばすことができたこと

課題は、以下の3点です。
(1)平成30年度の研究では、教科を絞らず金融教育を取り入れた実践を行ったが、教科の目標と金融教育の目標の両方を達成できるように進めることが難しかったこと
(2)教育課程において金融教育を取り入れていくことになったが、時間数が限られている関係もあり、金融教育をどのように取り入れていくのかが難しく、検討が必要なこと
(3)各家庭において、お金に関する価値観の違いがあり、子供たちが同じ認識で授業に参加できないこと

これまでの取り組みの中で、「学校で発達段階に応じた金融教育をしていくことが将来社会を担っていく子供たちにとって重要であり、継続した取り組みが必要だ」と感じました。

写真3:研究発表の模様

3.講演会

ダニエル・カール氏から、「金融教育を考える ~日米の生活体験を通じて~」というテーマで保護者と教員を対象とした講演が行われました。

まず、ダニエル氏は、17歳で初めて日本に来たとき、食べ物や習慣の違いなどに驚いたエピソードを話されました。中でも、下宿先の子どもが親に「お金ちょうだい」と手を出すだけでお金がもらえたシーンを目にしたとき、とても不思議な国だなと思ったそうです。なぜなら、ダニエルさんの父親は倹約家で、口癖は「お金はもらうものではねえ。汗をかいて稼ぐもの」だったからです。

続いて、6歳の時のエピソードを話されました。ダニエル氏は、1ドルの真っ赤な自動車のおもちゃが欲しくてたまらず、思い切って父親に相談したところ、「Chore(家の中の仕事)をすれば、時給でお金を支払う」と言われたそうです。その時の「Chore」は簡単なものでなく、大量の庭の落ち葉を掃除する仕事でした。やっと仕事を終え、稼いだ1ドルを握りしめてお店に向かい、真っ赤な自動車のおもちゃを買おうとした時、お店の人に「このおもちゃは1ドルではなく、消費税込みで1ドル8セントだよ」と言われてしまいました。消費税のことを知らなかったダニエル少年は、愕然としたそうです。父親からは「税金はいやだと思うけど、みんなが払わなければならないんだ。税金はみんなが使うものに使われるんだ」と教えてもらったそうです。

Choreを続けたダニエル氏が、1ドル8セントを手に再びお店に向かい、欲しくてたまらなかった真っ赤な自動車のおもちゃを目の前にしたとき、「あの車のおもちゃは、Choreで苦労して稼いだお金に見合った価値があるのか」と考え、結局は買わなかったそうです。この経験から、ダニエル氏は、買い物はよく考えてするものだと学んだそうです。

Choreのほかにも、ダニエル氏は父親から賃金交渉、契約書、人のために働くことの意味など、お金に関する様々なことを教わったそうです。

さらに、ダニエル氏は、「日本では、概して、お金についての話は、タブー(話してはいけないもの)のように扱われています」、「経済大国といわれる日本ですが、クレジットカード、サラ金、電子マネーなどお金にまつわるトラブルが多く、関わった人の人生を狂わせてしまった話は尽きません」と語り、「こうしたことから、若者のお金の使い方に関する知識や判断力は乏しいものと思います」と話されました。

そして、「学校でお金について学ぶことも大切ですが、まず家庭でお金について学ぶことが大切です。子どもと一緒にお金の使い方について考えたり、お金の取引の現場に立ち会わせたりしてあげることが有効です。親は、良いことばかりでなく、失敗談を包み隠さず伝えてあげることも大事です」と締めくくりました。

参加者からは、「さまざまな角度からお金について考えることができた」、「家庭と学校の役割の大切さを学びました」、「金融教育の大切さを感じました」といった感想が聞かれました。

写真4:講演「金融教育を考える ~日米の生活体験を通じて~」の模様

4.プログラム

13:50~14:35
公開授業
(1)「もったいないって どんなこと」(1年生 道徳科)
(2)「わたしを ささえてくれたもの」(4年生 特別活動)
14:50~15:00
開会挨拶
中央市立玉穂南小学校校長 平井昌秀
15:00~15:15
研究発表
「生き生きと学び合う子供の育成
~自分の考えを深め、判断するための工夫を通して~」
発表者:中央市立玉穂南小学校教諭 古屋聖子
15:20~16:20
講演「金融教育を考える ~日米の生活体験を通じて~」
講師:ダニエル・カール氏
16:25~16:30
閉会挨拶
山梨県金融広報委員会事務局長 大森忠明

著名人・有識者が語る一覧をみる

  • 日本文学研究者・早稲田大学特命教授 ロバート キャンベルさん
  • 歌手・タレント・女優 森公美子さん
  • 映画字幕翻訳者 戸田奈津子さん
  • タレント つるの剛士さん
  • テレビ東京報道局キャスター 大江麻理子さん
  • 落語家 春風亭一之輔さん
  • 教育評論家 尾木直樹さん
  • タレント はるな愛さん
  • 俳優 高橋克実さん
  • 料理コラムニスト 山本ゆりさん
  • ヴァイオリニスト 宮本笑里さん
  • デザイナー・アーティスト 吉岡徳仁さん
  • タレント デヴィ・スカルノさん
  • デジタルクリエーター・ITエバンジェリスト 若宮正子さん
  • 元新体操選手・タレント 畠山愛理さん
  • 俳優 内野聖陽さん
  • 歌手・俳優 石丸幹二さん
  • 俳人 夏井いつきさん
  • 女優 山村 紅葉さん
  • 料理研究家 土井 善晴さん
  • IT企業役員・タレント 厚切りジェイソンさん
  • プロサッカー選手 中村 憲剛さん
  • 脳科学者 中野 信子さん
  • 作家 上橋 菜穂子さん
  • 落語家 林家 たい平さん
  • 劇作家 演出家 女優 渡辺 えりさん
  • 青山学院大学陸上競技部監督 原 晋さん
  • 東京女子医科大学 先端生命医科学研究所教授 清水 達也さん
  • 元スピードスケート選手 長野五輪銅メダリスト 岡崎 朋美さん
  • 工学博士 石黒 浩さん
  • 日本体育大学教授 山本 博さん
  • 編集者 評論家 山田 五郎さん
  • 作家 荒俣 宏さん
  • 医学博士 日野原 重明さん
  • 山形弁研究家 タレント ダニエル・カールさん
  • 公認会計士 山田 真哉さん
  • タレント パトリック・ハーランさん
  • 精神科医 立教大学教授 香山 リカさん
  • 野球解説者 中畑 清さん
  • 順天堂大学准教授 鈴木 大地さん
  • 昭和女子大学理事長・学長 坂東 眞理子さん
  • プロスキーヤー クラーク記念国際高等学校校長 三浦 雄一郎さん
  • 明治大学文学部教授 齋藤 孝さん
  • マラソンランナー 谷川 真理さん
  • 数学者 秋山 仁さん
  • TVキャスター 草野 仁さん
  • サッカー選手 澤 穂希さん
  • ピアニスト 梯 剛之さん
  • 女優 竹下 景子さん
  • 食育研究家 服部 幸應さん
  • おもちゃコレクター 北原 照久さん
  • 宇宙飛行士 山崎 直子さん
  • 早稲田大学名誉教授(工学博士) 東日本国際大学副学長 エジプト考古学者 吉村 作治さん
  • 工学博士 淑徳大学教授 北野 大さん
  • 登山家 田部井 淳子さん
  • 音楽家 タケカワ ユキヒデさん
  
  • Let's チョイ読み!

おすすめコンテンツ

  • くらし塾 きんゆう塾
  • 刊行物のご案内
  • 金融経済教育推進会議
  • ナビゲーター
  • 伝えたいこの一言~生きるために大切な力
  • 金融リテラシー 講師派遣・講義資料・講座