「おかねの作文コンクール」
第34回「おかねの作文」コンクール(小学生・中学生)(平成13年)
おかねをたいせつにつかっていますか? ものをだいじにしていますか?
「母が私にくれたもの」
秀作・毎日中学生新聞賞
鹿児島県 知覧町立知覧中学校 2年 石津 奈弥
私は小さい頃から習い事をしています。水泳とピアノは今はやっていませんが、習字は現在も続けています。4才の頃、テレビ番組がきっかけで私は母にピアノを習いたいと言いました。
数週間して、保育園から帰ってみると、誰もいない部屋に大きなピアノがデーンと置いてあったのです。「誰のだろう」と不思議に思った程で、自分のものとは思えませんでした。それは、祖父母が私のために、買ってくれたものでした。その時の喜びは今でも覚えています。
小学4年生の時、両親が離婚してから、我が家の家計は、全て母の肩にかかってしまいました。慣れない会社勤めを始め、私たち兄弟3人のめんどうも見なくてはなりません。
これまでは父がしていた地域の仕事も母がしなくてはならなくなりました。
父がいなくなってからも母は、私の習字の月謝や学校で必要なお金も嫌な顔もせず出してくれます。
きっと、私たちにお金のことで心配をかけないようにがんばってくれているのでしょう。
いつも一生懸命仕事をこなしている母がすごくかっこよく見えるときもあり、弱音をはかずに明るい母を見習わないといけないなと思っています。私自身、それまでのように我がままを言わなくなったような気がします。
私も中学2年生になり、進路を考えなければいけない頃になりました。このごろ母が、
「資格を持っていると、自分できちんと生きていけるのよ。それを考えて進路を決めなさいね。」
と言います。
その母の言葉を聞いた時、経済的に大変なのに何も言わず習い事をさせてくれていた母の気持ちが分かったような気がしました。きっと母がいましている苦労を、私にさせないようにという気持ちからだったのでしょう。
これまで私がやってきたことは、無駄ではなかったようです。今はまだ見えない私の将来にたくさんの選択肢があるような気がしてきました。そして、それは母のおかげであるということにも気がついたのです。
習字で賞をもらったりすると、祖父母は、
「おめでとう、すごいね。」
と言いながらお小遣いをくれます。
それも、お年玉と一緒に自分の通帳に入れるようにしています。
他にも、おつりでもらった1円や5円の小銭も貯金箱に入れています。その重みを確かめるのも、このごろ楽しみです。
今、私が一番欲しいものは「パソコン」で、それを目標に貯金しています。自分で買った「パソコン」で、また自分の夢が広がっていくといいなあと思っています。
お金は、意味のある使い方をすれば、自分の将来を豊かにします。母が私にくれたもの、それは広がる私の未来です。
お金の役割について考えよう
- お母さんの「お金のことで子どもに心配させたくない」という姿が、子どもたちにお金の大切さを教えていたのですね。
- あなたは貯金をしていますか。どんなことにお金を使うか考えて貯金をしていますか。目標があると夢も大きくふくらみますね。
- 現代は、お金があれば何でも買うことができるような気がする時代です。しかし、こんな時こそ、むだ使いに気をつけなければいけないのですね。