「おかねの作文コンクール」
第34回「おかねの作文」コンクール(小学生・中学生)(平成13年)
おかねをたいせつにつかっていますか? ものをだいじにしていますか?
「私のお小遣い」
秀作・毎日中学生新聞賞
愛知県 木曽川町立木曽川中学校 3年 篠原 菜月
「お父さん、今月もお小遣いありがとう。」
電話口で、父はいつものように「オゥ。」と、照れくさそうに返事をした。
私の家では、父の給料日が私の小遣い支給日になっています。お金を渡してくれるのは母ですが、必ず父に感謝の気持ちをこめて、お礼を言うことになっています。父は今、石川県珠洲市に単身赴任して5年になります。離れて暮らすようになってからも、必ず小遣いをもらった日には、電話をして「ありがとう。」の気持ちを伝えています。
私が小さい頃から、母は口癖のように「お父さんが一生懸命働いたお金だから、大事に使うのよ。お父さんに感謝しようね。」と言っています。
幼稚園の頃は、給料日に母とスーパーへ行って、1個だけ好きなお菓子を買ってもらいました。私の家は普段、母の手づくりおやつか、添加物の入っていない自然食品ばかりでした。味はおいしいのですが、見た目は地味で、スーパーで売っているカラフルで、おまけやシールのついたお菓子が欲しくてしかたありませんでした。
だから給料日が楽しみで、1個のお菓子を選ぶのに、ワクワクドキドキしながら、自分の中で本当に欲しいものを一つ選びました。
小学生になってからは、お金に変わりました。金額は学年×100円+100円。例えば、2年生だと300円です。お金を握りしめてスーパーや文具店に買いに行きました。お店にはおいしそうなお菓子や、かわいいグッズがたくさん並んでいますが、小さい頃から本当に欲しい物を一つ選ぶ習慣ができているため不思議とあれもこれも欲しいと思いません。
一つ買ったら残りはいくら。引き算の練習のように残りの金額だけで買えるものを捜したり、少し高いものは二ヵ月分を貯金して本当に手元にあるお金だけで買ってきました。
私は物やお金はたくさんあればいいというものではないと思います。不要な物は、ただのゴミになってしまうし、たくさんのお金はムダに使ってしまいお金の価値が分からなくなってしまいます。
物やお金にあふれてしまうと自分にとって本当に大事なものが分からなくなってしまう気がします。それはお金だけでなく、自分が今何をするべきか、生き方そのものにも関わってくると思います。
「何を選ぶのか」「何にお金を使うのか」を考えることが大切です。
父や母は、私に小遣いの与え方で、お金の大切さや使い方そして自分で物事を考えることを教えてくれました。子供の頃からの習慣は、心や体にしみわたり、大人になってからも実行することができるので、私は父や母に感謝しています。
私の机の上に今でも並んでいるおまけのおもちゃたちが「ありがとう。」と言っているような気がします。
お金の価値について考えよう
- 欲しいものがあった時、すぐに買ってしまったということはありませんか。よく考えると買わなくてもすんだ物ではありませんでしたか。
- あなたはお小遣いをもらう時、何と言いますか。「もらって当たり前だ」と思いますか。それとも「ありがたいなあ」と感謝しますか。
- 物やお金があふれると大事なものが見えなくなってしまう・・・。「私」は、お金を使うことを通して物の考え方や人としての生き方学んだのですね。