「おかねの作文コンクール」
第37回「おかねの作文」コンクール(中学生)(平成16年)
おかねを上手に使うって?
「かしこいお金の使い方」
秀作・毎日中学生新聞賞
山口県 長門市立仙崎中学校 3年 中谷 将大
この間、テレビのニュースで、一等の二億円の宝くじを台風六号の被災者のために使って欲しいと、福井県知事あてに匿名で送られてきたという話を聞いた。ぼくはびっくりした。ぼくだけではなく、きっと世の中の人みんなが驚いたと思う。せっかく当たったくじを丸ごと寄付してしまうなんて。それもわずかな額のものではなく、二億だ。
あまりに大きな金額で、当たってもどう使っていいかわからないかもしれない。でも、二億円あれば車でも家でも買えるし、世界旅行にもいける。どんな夢もかなえられる。何も全額寄付しなくても、まず自分のために使って、それから残りを寄付するだけでも十分じゃないかと思った。
でも、この人は名のることもなく、全額を寄付した。何て人だろう。台風の豪雨で被害にあった多くの人々の力になりたいという気持ちをそのまま行動にうつしたのだ。すばらしいお金の使い方だと思う。自分の欲望のために使い、なくなっていたかもしれない大金が、すばらしい発想で、本当に役に立つ使い方ができた。このできごとは、自分のお金の使い方を考えてみるいいきっかけになった。
ぼくの部屋を見わたしてみると、いろんな物があふれているという感じがする。マンガ本はどんどん増えて、本棚には入りきらずに積まれている。おまけのフィギュアもつい集めていつの間にかすごい数になってしまった。どれだけのお金がかかったのか計算していると何だかちょっと後悔した。
どうしても必要なものだったのだろうか。買う前にもっと考えればよかったかもしれない。買うまでは欲しくてたまらなかったものが、手に入れてすぐにどうでもよくなるということもあった。何でも簡単に手に入る時代だからこそ、買わないでがまんすることも必要なのではないかと思う。
ぼくは、毎月決まった額のこづかいをもらっている。その中から、時どき本を買ったりCDを買ったりしている。あまり使わないから、いつも残って、どんどんたまっていく。前にMDウォークマンが欲しくて、お金を貯めたことはあったけど、それ以外はあまり計画的にお金を使ったことはないような気がする。
今はまだ、親と一緒に生活しているので、食費や、洋服代や、学用品代など、生活するために必要なものは、すべて親が払ってくれる。だから、自分のこづかいは、自分の趣味などに自由に使うことができる。もし、足りなくなっても、親に出してもらえばいいという甘えもある。真剣に考えたり、悩んだりしてお金を使わなければいけないという状況になることもない。
でも、あと四年もすれば、大学に入って、一人暮らしをしているかもしれない。親からの仕送りの額は決まっていて、その中で生活していかなければならない。知り合いのお兄さんも、それだけでは足りないので、バイトをして、生活のたしにしているそうだ。
一人暮らしとなると、毎日の食事も自分で作らなければならない。自分で買い物に行って、少しでも安くて良い品物を選ぶことが必要だと思う。今は、親と一緒にスーパーに行っても、自分が行くのはお菓子売り場ばかりで、野菜や魚や肉がどれくらいするのか、全くわからない。
大学生になって困らないように、少しずつ勉強しておこうと思う。勉強というのはおおげさだけど、日頃からそういう売り場に行ってみるだけでも違うと思う。いつか、かしこい消費者になるためにも、物の値段をよく知り、慎重に買い物をしようと思う。
ぼくたちが生活していくにはお金が必要だ。お金があれば、欲しい物を手に入れることもできるし、心も豊かになる。でも、欲求のままに行動していれば、お金をむだに使ったり、お金にふりまわされたりしてしまう。だから、お金の大切さを十分理解し、きちんとした目的をもって、本当に必要なことにお金を使うように心がけたいと思う。
二億円の当たりくじを寄付した人、どこのだれかはわからないが、本当にすごい人だ。見事なお金の使い方だと思う。ぼくも、この人に少しでも近づけるように、自分なりに考えて、お金と上手につきあっていきたいと思う。