金融教育公開授業
2016年度 金融教育公開授業
宮崎県金融広報委員会
小林市立南小学校
金融広報中央委員会
宮崎の実施報告
「金融教育公開授業 in 宮崎(南小学校)」(2月1日開催)
小林市立南小学校は、「自ら学び、自ら思いやり、自ら鍛える子どもの育成」を教育目標に掲げています。金融教育を通じて児童の「生きる力」を育むことができるよう、学び合いや体験活動を活かしながら「ものやお金を大切にする」指導の充実を図ってきました。
2月1日(水)に金融教育公開授業を開催し、全学年を対象に公開授業と、ダニエル・カール氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1)「ものを大切に ~ランドセルは十二さい~」

主人公のかなは、姉から譲り受けたランドセルを、悩みながらも小学校卒業まで使い続けました。この話をもとに、ものを大切に使うことのよさについて考えました。授業では、役割演技(ロール・プレイング)を取り入れることにより、児童は、ランドセルになりきって、ランドセルの気持ちについて真剣に考えていました。授業の最後には、本校の先生方の愛用品を紹介し、児童は身近にものを大切に使っている人がいることを知ることができたようです。さらに、保護者から児童にあてた手紙(ものやお金に対する思いをつづったもの)を読むことを通して、児童は保護者の思いを受け止めながら、今後、ものを大切に使っていこうという意欲をもつことができました。
(2)「えんそくのおやつを買おうⅡ(買う前の準備編)」
授業では、子どもたちが実際にお金を使う生活場面として、「遠足のおやつの買い物」を取り上げました。まず、これまでの買い物の仕方についてふり返りました。「自分たちは、自分のおやつを選ぶだけで、お金の用意や支払いは親に任せていることが多い」という現状に対し問題意識をもちました。友だちとの話し合いを通して、「買い物をする前に『買いたいもの』『必要なお金の用意』『買い物に行く日』を自分で考え、家の人に買い物に一緒に行ってもらえるようお願いする」ということになりました。今回の体験的な学習活動が、児童の金融感覚の素地づくりにつながりました。
(3)「買い物の仕方を考えよう ~クッキングパーティーの材料を選ぼう~」

国際交流員(国際交流活動に従事する外国青年)とのクッキングパーティーに向けて食材を選ぶ、という学習をしました。ここでは、与えられた予算の範囲内でスープの材料を決定するゲームを通して、お金には限りがあること(希少性)、何かを選択すれば何かをあきらめなければならないこと(トレードオフ)について学びました。児童は、選んだスープの材料を発表し合い、材料の選択には様々な理由があることにも気付きました。授業を通して、友だちの考えを肯定的に受け入れる姿勢も学びました。いま自分が買いたいものについて考え、買い物をしたらお金はなくなることを踏まえ、よく考えて決定することが大切であることを学びました。
(4)「お金の使い方」
最近買った品物名を書いた付箋を「無駄遣いだったもの」と「無駄遣いではなかったもの」に分類し、「無駄遣いだった」に分類した理由を考えました。そして、買い物をする時に気を付けることについて考え、お金を大切に正しく使うための具体的な方法をグループで話し合いました。その方法の一つとして、小遣い帳の付け方を学びました。教師がお金の出入りを物語風に提示し、児童がそれをお小遣い帳に書き込む練習をすることにより、お金の出入りを視覚的に捉えることができました。授業後は、家庭と連携し、小遣い帳を使ってお金の管理を経験し、お金を大切に使おうという意識を一層高めることができました。
(5)「じょうずに使おう お金と物」
お金やものの大切さ、目的に合った買い物の仕方について学習しました。授業では、調理実習に向けて、品質や価格などの情報を活用し、調理実習に必要な材料を選ぶ活動を通して、上手な買い物の仕方について考えました。みそ汁の具を選ぶ際、「値段」「分量」「産地」をよく見て買い物をすることの大切さを押さえたうえで、児童に材料を選ばせました。その後、選んだ材料について選んだ理由をグループの友だちと伝え合い、グループとして買う材料を決定しました。これからは広告や品物の状態などの情報を調べ、計画的に、目的や条件に合った選び方をすることが大切であることを学びました。
(6)「ライフ・夢プラン」
小学校卒業を前に、自分の将来についてじっくり見つめる学習を行いました。児童は、実際に働いている方々へのインタビュー動画を視聴し、自分のよさや興味、趣味、特技、性格が、就いた職業に生かされていることが大切だと実感することができました。そこで、前回の授業で作成した自分のプロフィールと、自分たちで調べた職業を分類した仕事カテゴリー表を使い、自分の個性に合う職業について考えました。様々な職業があることについても知ることができ、自分の性格や興味に合った職業、自分のよさや能力が生かせる職業を選択することの大切さを学びました。自分のよさを見つめ、将来の自分の姿を真剣に思い描く時間になりました。
2.講演会
公開授業の後、ダニエル・カール氏による、「くらしとおかねのお役立ちヒント ~日米の生活体験を通して~」と題する講演が行われました。
ダニエル氏は、高校生の頃、日本に留学した際に、ホームステイ先の親が子どもに対して簡単にお小遣いをあげている様子を見て驚いたそうです。アメリカでは、父親から「お金はもらうものではなく自分で稼ぐものだ」と教えられ、家事などを手伝うことによってお小遣いを得ていた、と話されました。自ら働いた対価としてお小遣いを得ることによって、買い物をするときには、「自分にとって本当に必要なものか?」と常に考えたうえでお金を使うようになったそうです。
また、中学、高校と年齢が上がっていく中で、父親からクレジットカードや小切手の使い方、契約書の書き方など、より幅広い金融教育を受け、お金を正しく使うことの大切さをより深く学んでいったと話されました。
最後に、アメリカにおいては自分が経験したような実践的な金融教育が広く浸透している一方、日本では親子の間でお金の話をあまりしない傾向があり、今後、金融教育を日本でも広めるためには、親子の間でお金の使い方などについてもっと話し合う機会を作ることが良いと思う、と話を締めくくられました。
参加者からは、「日米の考え方の違いが聞けてよかった」、「家庭でもお金について話し合っていきたい」といった感想が寄せられました。
3.プログラム
- 14:15~15:00
- 公開授業
(1)「ものを大切に ~ランドセルは十二さい~」(1年生 道徳)
(2)「えんそくのおやつを買おうⅡ(買う前の準備編)」(2年生 学級活動)
(3)「買い物の仕方を考えよう ~クッキングパーティーの材料を選ぼう~」
(3年生 学級活動)
(4)「お金の使い方」(4年生 総合的な学習の時間「こすもす科」)
(5)「じょうずに使おう お金と物」(5年生 家庭科)
(6)「ライフ・夢プラン」(6年生 総合的な学習の時間「こすもす科」) - 15:20~15:25
- 開会挨拶
小林市立南小学校校長 浦田修治 - 15:25~16:25
- 講演「くらしとおかねのお役立ちヒント ~日米の生活体験を通して~」
講師:ダニエル・カール氏 - 16:25~16:30
- 閉会挨拶
宮崎県金融広報委員会副会長 宮阪隆彦