金融教育公開授業
2021年度 金融教育公開授業
山梨県金融広報委員会
甲府市立甲府商業高等学校
金融広報中央委員会
山梨/甲府市の実施報告
「金融教育公開授業 in 山梨(甲府市)(甲府市立甲府商業高等学校)」(12月16日開催)
甲府市立甲府商業高等学校は、明治34年に県内初の商業高校として開校しました。「質実剛健」「不撓不屈」「士魂商才」の校訓のもと、「学力向上」と「人づくり」を教育の柱として、文武両道を図りながら、様々な行事や体験的・実践的な学習を通して、知・徳・体のバランスが取れた人材育成、これからの社会で活躍できるビジネスリーダーの育成に取り組んでいます。
12月16日(木)に金融教育公開授業を開催し、1・2・3年生の8クラスを対象に公開授業と、竹内薫氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1)「金融機関のビジネス~銀行の役割(紙幣が変わる2024)」と題して、金融の重要性、分類方法、金融機関の種類について学ぶ授業が行われました。金融機関の、預金業務、貸付業務、為替業務が、私たちの日常生活やビジネスを展開するうえで必要不可欠であることについて学びました。また、2024年度に発行予定の新銀行券等について掲載された新聞を取り上げ日本銀行の役割についても考えました。
(2)「日本銀行の役割とマネタリーベースコントロール」と題して、準備預金制度の必要性と役割、信用創造の仕組みについての授業が行われました。準備預金制度が預金者保護の目的から金融調節の手段として活用されていることや、信用創造の過程を、銀行券を用いながら説明し、金融機関自らが創出した信用であることを学びました。
(3)「お金に振り回されない素敵な人生を送るには…」と題して、生涯を見通した家計管理やライフプランに合わせた資産形成に関する授業が行われました。人生の三大出費を概算し家計管理の必要性を知り、資産形成においては「長期・積立・分散」によりリスクを抑えることが大切であることを学びました。また、投資詐欺の事例や資産形成をする際には、金融商品の特徴や投機と投資の違いについて知り、お金と上手に付き合うことの大切さを実感しました。
(4)「はじめて学ぶ金融商品取引法」と題して、金融取引には、外国為替取引、商品先物取引、デリバティブ、外国為替証拠金取引などがあることや取引にはリスクが伴うことを学び、リスクや複雑さが伴う金融取引は投資者保護の必要性があること、バブル経済崩壊後に資産を貯蓄から投資へ向けさせるために、投資環境の整備と市場の国際化を目的に包括的な規制として金融商品取引法が制定されたことを学びました。
(5)「アイデア勝負!高校生が考えるビジネスプランニング」と題して、これまで学習してきたITを活用した様々なビジネスの取引や決済方法の知識を生かし、「高校生ビジネスプラン・グランプリ」を参考に、各自のビジネスプランをパワーポイントで作成し、プレゼンテーションを行いました。
(6)「チャレンジ高校生”銘柄発掘のたたかい”」と題して、今までに学習したマーケティングや簿記等の知識を活かして、模擬投資先企業を選定する株式学習の授業が行われました。インターネットや新聞等から適切な情報を集め、環境問題や国際情勢など多彩な視点を持って企業分析をチームで行い、銘柄選定計画書を作成しました。
(7)「クラウドファンディングを学ぶ」と題して、クラウドファンディングの成功した実例についてその目的と意義、成功した理由を学んだ後、グループに分かれて自分たちがやってみたい事業とそれに必要な資金をシミュレーションし、そのためのクラウドファンディング計画をまとめ発表しました。
(8)「食を通してアジアの経済を考える」と題して、タイの猫缶工場を取り上げた評論文を読み、日本とタイの労働の格差や日本のペット産業やアジア諸国との関係に関する問題について考えました。問題の解決策を模索し、グループディスカッションを通して現代社会における経済格差や自分たちの生活について考えることで、視野を広げました。
2.研究報告会
金融教育研究校の委嘱を受け、金融教育の一環として課題研究において、商業高校の学習内容を総合的に活かせる株式学習に取り組んできました。1年目の年度初は、新型コロナウイルスの広がりによる休校状態で、思うような運営ができるのか不安なスタートとなりましたが、1年次に経済系科目を受講し、2~3年次にかけて経済・経営を学び、3年次の課題研究において株式投資を学ぶことで、単なる金融知識の習得にとどまらず、これからの時代を生きていくうえで必要な力を身につけられます。株式投資は模範解答がなく不確実性が高いことから抽象力と論理性が必要とされるため、通常の授業では容易にできる活動ではなく、これから役立つ「力」が複合的に身につく良い機会となりました。
証券投資教育を受けた経験のある人は「証券投資が必要であると思う」割合が高くなるという外部機関の調査結果もあり、金融教育の一環としての証券投資教育は大切であり、実施した効果が期待できることから相当の意義がある、と報告しました。
3.プログラム
- 13:00~13:50
- 公開授業
(1)「金融機関のビジネス~銀行の役割(紙幣が変わる2024)」(1年生 商業科・ビジネス基礎)
(2)「日本銀行の役割とマネタリーベースコントロール」(2年生 商業科・ビジネス経済)
(3)「お金に振り回されない素敵な人生を送るには…」(2年生 家庭科・家庭総合)
(4)「はじめて学ぶ金融商品取引法」(3年生 商業科・経済活動と法)
(5)「アイデア勝負!高校生が考えるビジネスプランニング」(3年生 商業科・電子商取引)
(6)「チャレンジ高校生”銘柄発掘のたたかい”」(3年生 商業科・株式学習))
(7)「クラウドファンディングを学ぶ」(3年生 公民科・時事問題)
(8)「食を通してアジアの経済を考える」(3年生 国語科・現代文B) - 14:10~14:15
- 開会挨拶
甲府市立甲府商業高等学校校長 武藤秀樹 - 14:15~15:15
- 講演「AIの普及と経済社会の変容」
講師:竹内薫氏 - 15:30~15:45
- 研究報告会
「金融教育研究取り組みの概要」
発表者:甲府商業高等学校教諭 藤田雅仁 - 15:45~15:50
- 閉会挨拶
山梨県金融広報委員会事務局長 主藤和巳