わが家の味方「生命保険」
1.保険に関する素朴なQ&A
Q5.保険会社がつぶれたら加入している保険はどうなりますか?
A5.保険会社がつぶれた(破綻した)場合、保険契約は別の(救済)保険会社にひきつがれるのが原則です。引き継ぐ保険会社が現れなかったときは、生命保険契約者保護機構にひきつがれます。契約が消えてしまったりすることはありませんので、まずご安心ください。
ただし、契約が引き継がれるときに、次の3つの条件が付きます。
1)責任準備金(*1)が最大で10%減らされる。
2)予定利率(*2)が破綻時点から引き下げられる。
3)破綻後、一定期間は早期解約控除(*3)がもうけられる。
*1:集めた保険料の中から、将来の保険金支払いのために積み立てている金額。積立金。
*2:契約者から集めた保険料を何%で運用できるか予想し、その分保険料を割引くときの率。保険料を決める時の基準のひとつ。
*3:解約返戻金から一定割合が差し引かれること。
これによって、貯蓄性の高い保険(年金保険、終身保険、養老保険など)、特に予定利率が高い時期に加入していたものは、保険金額や年金額が、契約時よりも大きく減ってしまう可能性があります。一方で、定期保険や医療保険などの掛け捨てタイプの保険は、あまり影響を受けません。
このように保険金額がいくらになるかは、加入した時期や保険の種類によって異なります。
もし加入している保険会社が破綻したら、自分のケースはどうなるかを、まずきちんと確認することが大切です。破綻後すぐの解約は、解約控除があるために、特に損が大きくなります。冷静に対処しましょう。
また、保険会社がつぶれそうといううわさをきいて、あわてて他社の保険に乗り換えるのも、得策ではありません。
今の保険を解約して新たに加入すれば、予定利率の低い保険に加入することになります。また契約年齢も高くなるため、同じ内容で加入し直せば、保険料は前より高くなります。保険の内容によっては、解約すると解約返戻金が払われますが、それは責任準備金(あるいは積立金)から手数料等を差し引いた金額ですから、解約したことで責任準備金が減らされたようなものです。
ですから、契約内容に問題がないなら、他社で新規加入するメリットはほとんどありません。多くの場合、そのまま続けた方が有利です。
新たに入り直した方がいいのは、今加入している保険の保障内容が自分に合わないというケースです。こういうケースでは、保険会社がつぶれそうかどうかにかかわらず、見直すべきです。見直しとリフォームの方法については、「(6)失敗しない保険のリフォーム」を参考にしてください。
6.失敗しない保険のリフォーム
破綻生保名 | 破綻年月日 | 責任準備金 削減率 |
変更後の 予定利率 |
早期解約 控除期間 |
早期解約 控除割合 |
---|---|---|---|---|---|
日産生命* | 1997.4 | 0% | 2.75% | 7年 | 15~3% |
東邦生命 | 1999.6 | 10% | 1.50% | 8年 | 15~2% |
第百生命 | 2000.5 | 10% | 1.00% | 10年 | 20~2% |
大正生命 | 2000.8 | 10% | 1.00% | 9年 | 15~3% |
千代田生命 | 2000.10 | 10% | 1.50% | 10年 | 20~2% |
協栄生命 | 2000.10 | 8% | 1.75% | 8年 | 15~2% |
東京生命 | 2001.3 | 0% | 2.60% | 10年 | 20~2% |
*日産生命の処理は「生命保険契約者保護機構」の設立前