わが家の味方「生命保険」
7.加入例の診断
この章では、ここまでの生命保険の考え方、加入方法にしたがって、実際に生命保険を見直してみましょう。子どものいる夫婦、結婚間もない夫婦、独身者の3つのケースを取り上げてみました。
夫が死亡後の妻の生活資金を
ケース(1) 子どもが2人いる共働き家庭
夫が定期保険特約付き終身保険(以下定期付き終身保険)に加入しています。これは、ほとんどのサラリーマンが加入している保険です。一生涯つづく死亡保障(終身保険部分)は450万円、59歳までは定期保険特約1,550万円が付いて2,000万円の保障となっています。そのほかに、妻の個人年金(65歳から年金80万円が15年間払われる)、次男の学資保険(18歳満期、保険金額300万円)、長男が被保険者の養老保険(10年満期、満期保険金500万円)があります。
ケース(1) 子どもが2人いる共働き家庭(埼玉県)
まず、夫の保険をみてみましょう。年収1,000万円に対して、死亡保障額2,000万円というのは、かなり少なめです。ほとんどのサラリーマンが年収の10倍くらいの保障の保険に入っていますから、稀なケースといっていいでしょう。これまで何もなかったからよいようなものの、もし子どもが小さいころに夫が亡くなるようなことがあったら、とてもこの保険金額では不足だったでしょう。この方が、もし30代なら、すぐに保障の増額をお勧めするところです。しかし、本人はすでに50歳。2人の子どももすでに大学2年と高校2年と独立間近です。妻も6年ほど前から仕事を始め、正社員として働いています。この年齢になれば、万一の場合の死亡退職金も相当の額が期待できるでしょうし、遺族厚生年金も支払われます。今なら2,000万円の死亡保障で十分です。
心配は、むしろ老後のことです。老後のためには現在、妻が65歳からの年金保険に加入しています。年金額は80万円。退職後の資金設計をするには、
(1)退職後にどのくらいの生活費がかかるか、
(2)退職金がどのくらいもらえるか、
(3)年金がどのくらい受け取れるか
などを考えて、それだけでは不足する分を、貯蓄や年金保険で補うことになります。
夫の退職金や公的年金がどのくらいなのかをまず調べてみましょう。妻も現在、正社員として働いていますから退職金があるでしょうし、老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金が受け取れます。こちらの額も調べてみましょう。共働きですと、夫婦ともに退職金や公的年金があるので、それほど老後を心配する必要はありません。
ただし、妻が夫より6歳若いので、それぞれ平均寿命まで生きるとすると妻が夫より10年以上長生きすることになります。その際に、夫が妻に十分な生活資金をのこしたいのであれば、その額に相当する終身保険に加入する方法があります。または、年金保険に加入する場合、契約者と保険金受取人を夫とし、被保険者を妻とした終身保険に加入するのもいいでしょう。夫が先に亡くなっても、被保険者である妻が生きていれば、保険契約は有効で妻が生きている限り年金が支払われます。
また、妻に医療保障がないのが気になります。現在加入している年金保険に、入院給付金日額5,000円の医療特約を付ける方法もありますが、その場合、年金の支払が終わる75歳で医療保障もなくなってしまいます。別に終身保障の「医療保険」に加入すると、保障が生きている限り続くので安心です。
まもなく満期の学資保険、貯蓄代わりの養老保険は、このまま継続してかまいません。
[まとめ]夫の保険はこれで十分です。老後の心配は特にありませんが、退職金や年金額を調べた上で、必要ならば年金保険などを検討しても。妻が長生きをする確率が高いので、妻が被保険者となる年金契約も有効です。または、夫が終身保険に加入する方法もあります。