10代のためのマネー入門
―お金と消費生活の知識―
Step2.マネー
Q2.お札(紙幣<日本銀行券>)の通用力(つうようりょく)
Q2.の正解は、「法律によって、お札に強制通用力が与えられているから」
解説
たとえば、1万円札を印刷するのにかかる費用は、1万円よりはるかに小さいでしょう。その1枚の紙自体にはそれほど価値がないのに、なぜ、1万円の買い物ができるのでしょうか。それは、法律で1万円として使えることを定めているからです。これによって、お札はだれでも、国内のどこでも、あらゆる取引の支払いに、お札に印刷されている金額(券面額)どおりに無制限に用いることができ、また、その支払いをだれも拒(こば)むことはできません。
このような法律で保証されているお札の大きな力は、ややむずかしい言葉ですが、「強制通用力」と呼ばれています。
ところで、わが国では、中央銀行である日本銀行がお札を発行していますが、もし何の制約もなく発行しすぎると、たちまちお札の価値が下がって信用を失ってしまいます。そこで日本銀行は、銀行券の価値の安定について、金融政策を適切に行うことによって確保しています。
ちょっとむずかしかったかな。
お札の偽造防止
お札の信用を維持するためには、ニセ札(偽造[ぎぞう]券)を防止することも大切です。最近では、パソコンや高性能のカラーコピー機を使ったニセ札事件が問題となっています。そこで偽造を防ぐ対策として、日本のお札には、
(1)角度を変えると画像の色や模様が変化して見えるホログラム、
(2)光に透かすとすき入れられた縦棒が見えるすき入れパターン、
(3)お札を傾けると文字が浮かび上がる潜像模様、
(4)お札を傾けると左右の余白部にピンクの色を帯びたパール光沢のある半透明な模様が浮かび上がるパールインキ、
(5)肉眼では見えないほどの小さな文字を印刷するマイクロ文字、
(6)表の印章(日本銀行総裁印)に紫外線を当てるとオレンジ色に光るほか地紋の一部が黄緑色に発光する特殊発光インキ、
(7)従来のお札よりもインキが表面に盛り上がるように印刷されている深凹版印刷、
(8)目の不自由な方が指で触って識別できるように「深凹版印刷」によるマークの識別マーク(深凹版印刷)などの最新技術が施されています。