住宅購入資金 ~ローンの選び方、そのポイントとは?
I.マイホーム購入計画
1.購入と賃貸を比較してみよう
マイホームを購入するかどうかを検討する前に、そもそも住宅は所有するのがよいか、賃貸がよいかで迷う人もいるでしょう。それぞれの特徴やメリット・デメリットから、どちらが自分の生活スタイルに合うのか考えてみましょう。
(1)所有と賃貸、それぞれの特徴
所有するメリット・デメリット
住宅を所有するメリットとしては、資産となることで子どもや家族に財産として残せる、間取りや内装・インテリアを自由にアレンジできる、自分の城という安心感、老後の住まいの心配がないなど、不動産としての資産性や、住居利用の自由度が高い、安心感が大きいことなどが挙げられます。
一方で、所有することにより、固定資産税、修繕や建て替えなどの維持コストがかかります。また、ライフステージや家族構成によって、必要な広さや便利な場所などが変わりますが、実際には住み替えは簡単ではありません。購入する場合には、所有後のコスト、そして、どのような住居をどこに構えるのか、いつまで居住するのかなど、を慎重に検討する必要があります。
賃貸のメリット・デメリット
賃貸のメリットはなんといっても転居がしやすいことです。家族構成や、勤務先、子どもの通学先などに合わせて、場所や広さをその時々で選べる魅力があります。一方で、勝手に内装を変えられない、壁などに穴をあけられないなど、利用上の自由度は制限されます。コストの面では、固定資産税がかからない、設備については修繕は家主の負担であるなど、家賃以外の負担はほとんどありせん。やはり気軽さ、身軽さが賃貸の特徴と言えるでしょう。
(2)費用とお金がかかる時期からの比較
総コストに大きな違いはない
「住居費」と考えた場合、所有と賃貸ではどのくらいの違いがあるのか見てみましょう。
図の例では、50年間の住宅費の総額は、購入で約8,200万円、賃貸は約8,600万円。その差はさほど大きなものではありません。賃貸は将来の賃料相場がどうなるのか、所有していても固定資産税や修繕費がどのくらいかかるかなど不確定要素が多く、どちらが少なくて済むかを予想するのは難しいと言えます。
賃貸の場合には、老後の住居費準備が課題
購入した場合と賃貸との比較で、大きく異なるのは、前半にかかる金額と後半にかかる金額です。購入した場合は、購入当初に頭金や諸費用などまとまった金額を支払い、多くの場合は定年退職までに住宅ローンを支払い終えるため、前半に支払う金額が多くなります。一方、賃貸の場合には、リタイア後も賃料をずっと支払い続けるため、後半の支出も多くなります。つまり、ずっと賃貸でいくのであれば購入した人よりも多くの老後生活資金を準備しておく必要があるのです。総額としてはあまり変わりなくとも、計画的な貯蓄力も必要というわけです。
このような視点からも、自分にはどちらが合っているのかを考えてみるのも良いでしょう。
前提条件
<購入>
3,500万円の物件、頭金500万円、諸費用180万円
3,000万円借入れ、3.0%全期間固定、30年返済 毎月返済額 約15.6万円
管理費・修繕積立金 毎月2万円(修繕積立金のみ5年毎2割アップ)
固定資産税・都市計画税 毎年15万円
50年間の間に、室内の修繕費300万円がかかるものとする
金額は変動しないものとして計算
<賃貸>
家族構成などにより、引越しを行う
賃料
当初4年間 毎月10万円
5~26年目 毎月15万円(この間に一度引っ越し)
27年目以降 毎月12万円
入居時 敷金、礼金、仲介手数料 4か月分、引越し費用30万円
更新料、2年ごとに1ヶ月分
金額は変動しないものとして計算