金融教育公開授業
平成21年度金融教育公開授業(全国リレー講座)
金融広報中央委員会
佐賀県金融広報委員会
佐賀県立唐津商業高等学校
佐賀の実施報告
「金融教育公開授業 in 唐津(唐津商業高等学校)」(7月9日開催)
唐津商業高等学校は、経済社会のさまざまな分野で貢献しうる人材の育成を目標に、「挑戦 誠実 品格」を掲げて、人づくりに力を注いでいます。生徒たちは、ビジネス人として巣立つ際に役に立つ資格の取得に励む一方、部活動にも熱心に取組み、心身を鍛錬しながら文武両道を目指して、日々活動しています。
7月9日(木)の金融教育公開授業では、会計科(3年生)の生徒を対象に、民間の銀行員を外部講師として招き、金融商品の特徴とリスクについての解説を聞いたり、パソコンを利用して金利の複利計算を行ったりする授業の後、1・3年の生徒を対象に、細野真宏氏にご講演いただきました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
まず、「ファイナンシャルプランナーから見た金融商品の実態~金融商品の正しい見方を身につける~」と題して、糸山幸久氏(佐賀銀行福岡本部 チーフ・ファイナンシャルアドバイザー)が金融商品の3つの特徴である安全性・流動性・収益性について解説し、これら3つをすべて満たす金融商品はないため組み合わせて資産運用することが重要であること、使ってもなくならないお金などはないと話されました。
また、生徒に対して、会社の経営者と従業員のいずれになりたいのか、株主として配当を受け取るのと債権者として貸付金利息をもらうのではどちらがいいか、お金を運用するなら株式と定期預金のいずれを選択するかを聞いたところ、多数が比較的堅実な結果が予想される選択肢を選んでいました。これに対し、それぞれの特徴やリスクを把握して行動することが重要であること、また、仕組み預金や仕組み債といった複雑な金融商品に関して、一部で巨大な損失が生じたと報道されていることからわかるように、知らないものには手を出さない、などの心構えを示されました。
次に、「エクセル関数を利用した簡単な意思決定」と題し、パソコンを用いて金利や期間を変えて、複利終価を計算する授業が行われました。エクセル関数は情報処理の授業で学習していましたが、将来、資産の運用相談などの際に活用することもできる有益なツールとして、生徒たちは改めて認識したようです。
2.講演会
公開授業の後、細野真宏氏から「金融・経済を学ぶ」と題する講演が行われました。新聞やテレビのニュースを読んだり見たりするときに、解説などを鵜呑みにせずに、どうしてなのか、なぜそのようにいわれるのかを自分で考えてみることが大事であると話されました。
テーマとして、財政赤字や年金問題などを取り上げられました。まず、日本の財政赤字は諸外国と比べると非常に多額であり、1分間で発生する利子を考えてみても相当の規模になること、一方で、国が財政破綻するということの意味を、企業の破綻と比べてみたり、ロシアが1998年に破綻したときの金利と現在の日本国債の金利を比較して、現在のように低金利で資金が調達できている現状は破綻しているとはいえず、それを決めるのはマーケットであることを理解してほしいと話されました。
また、少子高齢化は日本の構造的な問題となっており、日本経済におけるこれからの課題としては年金・医療・介護があるが、とくに医療・介護は喫緊の課題となっていること、医療崩壊などが深刻化しているが仮に社会保障が現在の水準を維持するとの前提であっても少子高齢化の影響で増税は必要となると解説されました。さらに、消費税の引上げについては、消費税の引上げ分を医療・介護といった社会保障の目的税と位置付けて増税分を政府がすべて国民のサービスに使うことによって経済を下支えできること、消費税のアップによって社会保障が充実していけば将来不安が減っていくことで消費の拡大が期待できること。そして食料品といった生活必需品に軽減税率を適用することで消費税アップの負担は所得の高い人ほど多くなる一方で、受けられる社会保障のサービスは平等なため、消費税アップによって社会的弱者に配慮する社会が可能になるという考え方、そして、年金破綻論の誤解などについて話されました。ニュースを理解するうえで本日の話がきっかけとなり、自分なりに考え続けていってほしいと伝えました。
3.プログラム
- 13:30~14:00
- 公開授業「ファイナンシャルプランナーから見た金融商品の実態」
講師:糸山幸久氏(佐賀銀行チーフ・ファイナンシャルアドバイザー) - 14:00~14:20
- 公開授業「エクセル関数を利用した簡単な意思決定(複利終価)」
唐津商業高等学校教諭 御厨久充 - 14:30~14:35
- 開会挨拶 唐津商業高等学校校長 峰松藤一郎
- 14:35~15:25
- 講演「金融・経済を学ぶ」
講師:細野真宏氏 - 15:25~15:30
- 閉会挨拶 佐賀県金融広報委員会事務局