金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2010
暮らしに役立つ講演会
講師 : 和泉 昭子 氏 (FP/生活経済ジャーナリスト)
「老後を安心して暮らすために」
年金、医療、介護の仕組みを知り、お金の活用法を考える
老後を安心して暮らすためには3つの「キン力」、①家計管理、資産運用などの「金力」、②健康、生きがいなどの「筋力」、③地域のネットワークの「近力」が必要ですが、今日はその中の「金力」についてお話しします。
老後の3大不安は、年金と医療と介護です。年金を増やすコツは、長く働き、給料を高くして保険料をたくさん納めること。また、長生きできると思う人は受給開始を遅らせるのも一法です。なんと、1年遅らせると本来もらえる額より8ポイントも増えます。一般に女性のほうが長寿なので、夫婦であれば妻の分を1、2年遅らせるとよいでしょう。
高齢者は医療費負担が増えますが、「高額療養費制度」があります。70歳以上の一般的な所得の場合、1カ月に6万2,100円(外来+入院、世帯ごと)を超えてはかからないので、医療のためのお金として年間100万円くらい用意しておけば、ひとまず安心でしょう。
介護保険にも「高額介護サービス費」という制度があって、自己負担限度額は3万7,200円です。医療と介護の両方で負担が大きいという家庭に対しては、さらに「高額医療・高額介護合算制度」があり、世帯単位で1年間の医療保険と介護保険の自己負担額の合計が一定額以上になれば、超過分が払い戻されます。ただし、自分で手続きしないと払い戻しを受けることができないので、負担が大きいと感じたら、積極的に役所に相談しましょう。
老後のお金は、使う時期によって大きく①短期(1年以内に使うお金)、②中期(2年~5年くらいで使う予定のお金)、③長期の3つに預け分けて下さい。①は普通預金、②は定期預金や期間の短い債券などを使うといいでしょう。これら①②の資金は、リスクが伴う値動きする商品には向きませんので注意が必要です。
最後に、「金融商品取引で後悔しないための7カ条」を挙げておきます。
- 投資は5年以上使う予定のない、余裕資金の範囲で。
- 気をつけよう「絶対もうかる」「あなただけ」「今だけ」の勧誘文句。
- 人生はすべて“トレード・オフ”(何かと引き換え)。
なぜ、金利が高いのか、もうかる可能性があるのか確認しよう。 - 仕組みを理解できない商品には手を出すな。
- 他人がもうかった話は参考にしない。
- 同じ種類の商品には多額の投資をしない(投資先の分散)。
- 一度にまとめて投資をしない(時間の分散・積立の活用)。
プロフィール
出版社、放送局勤務を経てフリーのキャスターに転身。平成7年にCFP®取得。以来、メディアへの出演や講演、個人相談などを通じて、マネー&キャリアに関する情報を発信中。