金融教育フェスタ
金融教育フェスティバル2010
暮らしに役立つ講演会
講師 : 山田 真哉 氏 (公認会計士・税理士)
「お金の壷~家計管理のコツ」
一般思考と会計思考を併せ持って賢くためる
お金は「加える」「減らす」「動かす」の3つの動きしかなく、それをする人が、それぞれ労働者、消費者、投資家と呼ばれます。今日は、主に消費者へのアドバイスとして、貯蓄、節約、家計簿、会計センスの4つをお話しします。
貯蓄は、1日1回、財布の中を見ることから始めて下さい。自分を含めた家族全体で把握する必要があります。収入から支出を引いた残りを貯蓄するのではなく、貯蓄の公式は「収入-貯蓄=支出」です。定額でも定率でもいいので天引きすること。更に貯蓄を増やすには、節約して無駄な支出を減らすことです。
節約するには、1カ月分の領収書、レシートを「必要経費」と「不必要経費」に分け、「必要経費」から「固定費」を、「不必要経費」からは旅先やお祭りなどで「せっかくだから……」と景気よく使ってしまった「非日常のワナ」を抜き出し、これら大量出費源を見直します。ほかにも、「ここだけは使ってもいい」という“聖域”を無くし、インターネットやテレビなどの無料でできる趣味を持つとか、「限定5割引き」等の売り文句に惑わされないよう出費額で常に考える、などの鉄則があります。
大量出費する弱点を減らすには家計簿をつけて分析することです。いま、世界の潮流は、従来型の「支出家計簿」ではなく、残高だけを記録する「残高家計簿」です。任意の日付での残高を記録していって、増減要因を考え、家計管理に役立てます。通帳や証券会社からの残高報告書があれば過去の分もできます。カフェ代など1回分は少額でも習慣化した出費「ラテマネー」や、コピー機のトナー代など資産のように見えて実は支出がかさむ「見えない負債」を減らすためには、それらの支出リストを作ることから始めて下さい。
(1)1,000円の物を500円で買う、(2)101万円の物を100万円で買う……、どちらが得ですか? 一般的にはたぶん(1)が正解ですが、会計思考では(2)。感情より勘定、絶対額で考える金額重視主義です。
(1)年収が500万円から600万円になったサラリーマン、(2)2億円から800万円になったプロ野球選手ではどちらが幸せですか? 増えた(1)ですよね。だから金額重視主義は幸せとは無関係。賢い消費者は普通の感覚と会計の視点を併せ持って頂きたいのです。
プロフィール
兵庫県出身。公認会計士二次試験に合格後、中央青山監査法人(現・みすず監査法人)入社。2002年「女子大生会計士の事件簿」を出版し、小説家デビュー。2005年に出版した、簿記、会計学を身近な話題から探求する「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」が160万部を超える大ヒット。「食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字」など著書多数。テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍中。