金融教育公開授業
2011年度 金融教育公開授業(全国リレー講座)
東京都金融広報委員会
渋谷区立広尾小学校
金融広報中央委員会
東京/渋谷区の実施報告
「金融教育公開授業 in 東京(渋谷)(広尾小学校)」(1月21日開催)
渋谷区立広尾小学校は、東京都金融広報委員会より金銭教育研究校の委嘱(平成22年度から23年度)を受け、「お金や物を大切にする生活」などを研究テーマとして生活科および社会科を中心に学級活動や道徳においてその実践に取り組んできました。
当日は、金融教育公開授業を各学年(クラス)で行った後、生活経済ジャーナリストのあんびるえつこ氏による講演会を開催しました。児童および教職員のほか、保護者、近隣の教育関係者など、多くの方々にご参加頂きました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
(1)「おみせやさんごっこをしよう」(1年1組・国語)
「いらっしゃいませ」、「○○はいかがですか」と一所懸命に声を出して商品を売り、店の仕事をきっちりしないとお金がもらえないことを学びました。また、買い物体験を通して、お金は、無駄遣いしないで計画的に考えて使わなければならないことを学びました。保護者からも「お買い物の時の店員さんとのやりとりや、お釣りの意味がわかってきたところなので、今回の授業はちょうど良いタイミングの学びとなった」との声が聞かれました。
(2)「お金に へんしん」(1年2組・学級活動)
お札やコインの種類のほか、教室にある物を取り上げて、古いものでも値段がつく(お金に換算できる価値がある)ことを学びました。また、物を大切に使うための方法について、みんなで話し合いました。保護者からは「子どものお金や物に対する考え方が今回授業を受けたことで大きく変わったようで有難いです」との声が聞かれました。
(3)「使い方を考えて『かいもの』」(2年1組・道徳)
子ブタのトンタ、ブンタ、ノンタが100円のおこづかいを工夫して使う話を取り上げました。トンタ、ブンタ、ノンタの立場で100円を使ってみてその感想を話し合い、物やお金を大切にすることや正しいお金の使い方を学びました。保護者からも「低学年の児童に対する金銭教育は難しいのではと思っていたが、楽しんで遊びながらの学びであったので、家庭でも是非取り入れようと思いました」との声が聞かれました。
(4)「おこづかい帳を記録してみよう」(3年1組・学級活動)
おこづかいやお年玉でどんなものを買っているのか、どんな時にもらっているのかなどについてみんなで話し合いました。また、金融広報中央委員会の金融教育教材「おかねのね(小学3・4年生)」を利用して、おこづかいやお年玉で買った物を欲しいものと必要なものに分類し、おこづかい帳に記録することを通して、お金の使い方について学びました。
(5)「知りたいな 広尾Tシャツのひみつ」(4年1組・総合的な学習の時間)
PTAの保護者をゲストティーチャーとして招き、PTAオリジナル販売グッズである広尾Tシャツの歴史や販売の仕組みについて話をしていただきました。Tシャツの値段は製作にかかる費用(材料費や人件費など)や利益によって決まっているといった販売の仕組みや、その利益は何に使われているのかなどについて学びました。
(6)「お金ってなんだろう」(5年1組・社会科)
お金のない時代に欲しいものを手に入れるために行われていた物々交換を体験しました。一回の物々交換で欲しいものを手に入れる児童もいれば、何度も物々交換を繰り返してやっとの思いで欲しい物を手に入れる児童もみられました。こうした体験を通して現在のお金の役割や便利さについて理解を深めました。
(7)「わたしたちの願いを実現する政治」(6年1組・社会科)
地域に身近な公共施設を取り上げ、こうした施設が国民から集めた税金で建てられていることや、税金がどうやって集められているかについて学びました。そのうえで、児童たちが考えるより良い税金の集め方について討議しました。保護者からは「税金を分かり易く理解できるように授業が工夫され、児童たちも税金の大切さを理解することができ良かった」との声が聞かれました。
2.講演会
生活経済ジャーナリストのあんびるえつこ氏に、「『カレー作りゲーム』で考える自分づくり 社会づくり」と題して講演していただきました。
カレー作りゲームで、まず、児童たちは、1)家の人を喜ばす、2)家の人はカレーが好き、3)特にビーフカレーが好き、4)お金は限られているといった条件で、カレーの材料を考えながら買うことを体験しました。あんびる氏は、児童たちに「お金をどう使ったのか」を問いかけたうえで、「お金には限りがあり(希少性)、何かを買ったら何かが買えなくなる(トレードオフ)こと、買い物の時はその目的を考えたり、どういう方法があるかなどの判断材料を集めたりすることが大事」と強調されました。
このほか、10人の児童に好きなだけキャンディーをとっても良いことを条件に、キャンディー10個入りの袋を順番に渡すキャンディーゲームを行いました。最後の児童に袋が回ってきた時にはキャンディーがなくなっていました。これに対し、あんびる氏は「みんなが欲しいと思う“限りのあるもの”は、欲望のまま消費していくと足りなくなる性質がある」ことから「“限りのあるもの”であるお金や地球の資源も、自分だけでなく他人のことも考えて大切に使っていかなければならない」と話されました。
講演会終了後、保護者からは、「子どもたちはお金との関係をわかりやすく学ぶことができたと思う」「親としてお金の教育を考える良い機会になった」などの声が多く聞かれました。
3.プログラム
- 8:45~9:30
- 公開授業(1校時)
(1)「おみせやさんごっこをしよう」(1年1組・国語)
授業者:塩谷牧子
(2)「お金に へんしん」(1年2組・学級活動)
授業者:角屋亮介
(3)「使い方を考えて『かいもの』」(2年1組・道徳)
授業者:杉本遼
(4)「おこづかい帳を記録してみよう」(3年1組・学級活動)
授業者:坪倉一雄 - 9:35~10:20
- 公開授業(2校時)
(5)「知りたいな 広尾Tシャツのひみつ」(4年1組・総合的な学習の時間)s
授業者:佐久間満里
(6)「お金ってなんだろう」(5年1組・社会科)
授業者:螺良幸生
(7)「わたしたちの願いを実現する政治」(6年1組・社会科)
授業者:酒井志朗 - 10:40~10:50
- 開会挨拶
東京都金融広報委員会事務局長 岩渕仁志
渋谷区教育委員会教育長 池山世津子 - 10:50~11:50
- 講演「『カレー作りゲーム』で考える自分づくり 社会づくり」
講師:あんびるえつこ氏 - 11:50~12:00
- 閉会挨拶 渋谷区立広尾小学校校長 熱田和彦