金融教育公開授業
2012年度 金融教育公開授業
岐阜県金融広報委員会
岐阜県立岐阜各務野高等学校
金融広報中央委員会
岐阜の実施報告
「金融教育公開授業 in 岐阜(岐阜各務野高等学校)」(12月4日開催)
岐阜県立岐阜各務野高等学校は、強くたくましい心身と豊かな人間性・社会性を持つとともに、社会の要請に対応する高い専門性を有する人材の育成を目指し、一人一人の自己実現ができる基礎的な能力や態度の育成に努めることを教育目標に掲げています。生徒たちは、ビジネス科・情報科・福祉科の3つの専門分野のスペシャリストを目指して学習しながら、部活動も活発に行っています。
12月4日(火)に金融教育公開授業を開催し、ビジネス科の生徒を対象とする公開授業と、全科の生徒を対象とする洞口勝人氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.研究事例発表「本校金融教育研究の取組」
2年間にわたり取り組んできた金融教育に関する研究授業について報告を行いました。
新学習指導要領の「商業」の目標でとりあげられている「ビジネス経済分野」の内容を研究授業にどのように盛り込んだら良いかとの視点に立ってテーマを検討し、経済や金融に関する正しい知識の習得に力点を置くこととしました。「お金を使う」「貯める」「運用する」ことに重点をおいて、主に課題研究・総合実践の授業を中心として、経済や金融に関する学習に取り組みました。
具体的には、全国銀行協会、日本証券業協会、金融広報中央委員会等のテキストを利用して、授業を進めてきました。また、教員セミナー等も利用し、金融教育を推進してきました。取り組みの過程においては、前年度の反省から、短い時間の中で進めていくよりも、時間をかけて進めていく方が、生徒たちが経済の仕組みをより理解すると思われたため、そのように取り組んだところ、結果的に生徒たちの興味や関心が高まったように感じられる、との報告がありました。
2年間金融教育に取り組んできた成果としては、教員が金融教育を理解し、生徒たちの金融経済への関心意欲を高める指導方法を確立できたことです。一方、各科目に金融経済に関する内容を取り入れて、金融経済を学習することの大切さを体験的な学習を通じて生徒たちに認識させていくことが、今後の研究課題となりました。
2.公開授業
(1)「株主総会を開こう」(3年B組 総合実践)
起業、新商品開発から株主総会までを体験的に学習するように取り組んできました。公開授業当日は、各グループがこれまでの成果を「株主総会」という形で発表しました。発表するグループは会社側、その他の生徒たちは株主として模擬株主総会に参加しました。発表者は株主総会の意義を理解し、礼法等にも気をつけながら発表を行いました。発表者以外の生徒は、自分たちが株主であることを自覚し、発表したグループに対し、参考となる部分や企業における課題を見つけ出せるように気を配りながら質疑を行いました。生徒たちは、株主にとって株主総会は会社の経営に参加する重要な機会であること、企業は株主の理解を得るために会社の状況について説明する責任を負っていることを理解しながら、授業に取り組みました。
(2)「株式学習ゲームのまとめ」(3年C組 課題研究)
実際に上場している株式のデータを利用して架空で投資するプログラムを用いて授業を進めてきました。投資を行うためには、投資したい企業をしっかり分析するほか、経済状況等の外部要因も影響することを理解する必要があるため、着眼点を以下の3点に絞って投資先の企業を選択してきました。
1)これから6ヶ月の間に起こりうる経済事象を予測する。
2)5年間、1年間の株式チャートの見方を指導する。
3)知っている企業及びネット上で株価上昇が予測されている企業について調査する。
投資後、選択した企業の株価が6ヶ月の間にどのような動きをするかを予測するとともに、投資している期間の経済情勢を理解し、最後に結果を分析することを目標に取り組んできました。投資した結果について考察し、グループごとに発表しました。
3.講演会
公開授業の後、洞口勝人氏による「金融と経済に関する知識を深め、人生設計を立てる」と題する講演を行いました。洞口氏は、生徒と同じフロアに立ち、生徒たちに質問をしながら講演をされました。日本と世界の人口の推移、平均年齢、3つの自給率(食料、資源、エネルギー)、自動車の普及率、インフレ、工場で働く人の時給など、様々な国と比較し、日本の現状を具体的な数値を交えて「見える化」して語られました。興味を覚えた国について具体的に調べてみることを勧め、その上で将来、どこで、誰のために、何をしたいのか考えてほしいと生徒たちに話されました。
生徒たちは考えながらレジュメに数値を記入したり、周囲と相談しながら洞口氏の質問に回答したりしました。講演後、生徒から「参加型だったため理解しやすかった」という声が多数ありました。また、「日本と世界を比較することで日本の現状がよくわかった」「自分が社会のことをいかに理解していないかよくわかった」「金融についての話は難しいと思いがちだが、実際にはとても楽しく日本のことや世界のことを学ぶことが出来た」といった感想が聞かれました。
4.プログラム
- 12:20~12:50
- 開始式挨拶
岐阜各務野高等学校校長 塩谷章
岐阜県教育委員会課長補佐 乙津真由美
研究事例発表「本校金融教育研究の取組」
発表者:岐阜各務野高等学校教諭 服部幸広 - 13:00~13:50
- 公開授業
(1)「株主総会を開こう」(3年B組、総合実践)
(2)「株式学習ゲームのまとめ」(3年C組、課題研究)
(3)「信用販売」(2年A組、マーケティング)
(4)「財務諸表の見方」(2年B組、会計)
(5)「社債の記帳方法」(1年C組、簿記)
(6)「代金の決済方法」(1年D組、ビジネス基礎) - 14:20~15:15
- 講演「金融と経済に関する知識を深め、人生設計を立てる」
講師:洞口勝人氏 - 15:20~15:30
- 閉会挨拶
岐阜県金融広報委員会事務局長 園部佳要子