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先生のための金融教育セミナー

平成22年度教員のための金融教育セミナー

2.分科会(金融教育の事例紹介とワークショップ)

分科会1(小学校)

進行およびコメント:
国士舘大学体育学部 北 俊夫 教授

実践報告およびワークショップ(1)

「工夫しよう!かしこい生活~お金の上手な使い方を考える~」(5年 家庭)
佐賀県唐津市立大良小学校 高橋 幸信 教頭

実践報告

金銭教育は人間形成の土台を作ることです。大人になる前に、お金を大切に使う金銭管理能力を育てることが大切です。

まず、子どもたちを取り巻く状況を実態調査したところ、「ものやおかねの大切さについて十分認識しているとはいえない」、「見通しを立ててお小遣いを計画的に大切に使う経験が不足している」という問題点が浮かび上がりました。また、佐賀県金融広報委員会から金融広報アドバイザーを派遣してもらい、どんな授業をすればよいかについて意見をいただきました。すべての学年で金銭教育のカリキュラムを作成し、職場訪問などを行ったり、お小遣い帳をつけてお小遣いの使い方を考えたりしました。

金銭教育研究校の委嘱を受けた2年間を通じて、子どもたちに、自分のお金の使い方を振り返り、お金を計画的に使おうとする意識を持たせることができました。今後は、本校児童の課題をよりよく反映させたカリキュラムに改善するとともに、家庭との連携をさらに進めていく必要があると考えています。

ワークショップ

まず、お小遣い帳を使った「おこづかいゲーム」を行いました。お小遣いのもらい方(一度にもらうか分けてもらうか)を決め、サイコロを振って金銭の出入りをお小遣い帳に記入していきます。その後、お金の使い方を振り返ります。お金の上手な使い方を考え、計画的に使うことの大切さを理解することがゲームの目的です。その後、「おこづかいゲーム」の改善点や実践する場合の留意点、お小遣いを管理させることに関する注意点等について話し合いました。

コメントおよび質疑応答

北先生より、「この実践では、全校で取り組むことにより、金銭や金融に関する取り組みがどの学年の、どの教科の、どの単元や題材にかかわっているかを明らかにしている。また、お小遣い帳を利用してお金の有限性を理解させ、自己管理能力を身につけさせるという目標を達成した」、「子どもに大事なことを学ばせる時には、子どもの実態を把握し、教材を工夫することが大切である」とのコメントをいただきました。

本実践事例は、金融広報中央委員会の『はじめての金融教育-ワークシート付き入門ガイドと実践事例集-』で紹介されています。
はじめての金融教育-ワークシート付き入門ガイドと実践事例集- 2.金融教育の実践事例集(2)小学校における実践事例

分科会1(小学校)の模様(1)

実践報告およびワークショップ(2)

「自己資金で科学の祭典を開催しよう~働くことの意味を考える~」(6年 総合的な学習の時間)
武庫川女子大学 藤本 勇二 講師

実践報告

6年生の児童が、科学実験を下級生に紹介する授業を発展させ、地元の科学館で説明することとし、実験のための費用を自分たちで調達することに取り組みました。

子どもたちは、夢を実現するためにアルミ缶のリサイクルや古紙回収などを行い、その対価としてお金をもらい、稼いだお金を適切に管理するということを学んでいきました。また、表現力を育てるためにさまざまな教科等でポスターセッションや発表の機会を設けました。

アルミ缶の回収等の活動は翌年度以降も継続し、金融広報中央委員会等主催の金融教育公開授業では、外部講師を招き、お金の大切さなどに関する公開授業や講演を行いました。

ワークショップ

「販売」をテーマに企画書を作成しました。グループごとに話し合って販売するものを決め、販売の目的や方法に関する各自の意見を付箋に書いて模造紙に貼っていきます。その後、学校の立地や具体的な学年を想定しつつ、付箋を整理しながら話し合いで意見をまとめ、最終的に企画書を作成しました。参加者からは、「ワークショップを通じて企画のまとめ方がよく分かり、授業で行う際の参考になった」といった感想が聞かれました。

コメントおよび分科会総括

北先生より、このワークショップについて、(1)金銭教育はキャリア教育にもかかわるものであることを示している、(2)子どもがものを売るという活動には発展性がある、(3)情報を収集・分析する能力やコミュニケーション能力などを育てるための教育としても位置付けられているといった評価をいただきました。

また、分科会の総括に当たり、金融教育を実践する際の留意点として、(1)先生方が負担感をもたないようにするためには、これまで実践してきた消費者教育、キャリア教育、環境教育などと関連づけ、「金融教育の視点」を明確にして指導する、(2)小学校の6年間を通して児童に身につけさせる目標を明確にして取り組む、(3)学校内はもとより、地域の住民や関係機関と連携し共通理解を深める、(4)事後的には、外部からも評価を受けるようにするとよいといったことを挙げていただきました。

本実践事例は、金融広報中央委員会の『はじめての金融教育-ワークシート付き入門ガイドと実践事例集-』で紹介されています。
はじめての金融教育-ワークシート付き入門ガイドと実践事例集- 2.金融教育の実践事例集(2)小学校における実践事例

分科会1(小学校)の模様(2)

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