金融教育公開授業
2013年度 金融教育公開授業
長野県金融広報委員会
諏訪市立諏訪南中学校
金融広報中央委員会
長野の実施報告
「金融教育公開授業 in 長野(諏訪南中学校)」(11月6日開催)
諏訪市立諏訪南中学校は「夢叶うまで挑戦~感謝、協調、創造~」を学校教育目標に掲げ、「思いやり」をもち「自己更新」に向かって意欲的に取り組める生徒の育成を目指しています。
諏訪市では、平成20年度から「相手意識に立つものづくり科」(通称「ものづくり科」)の学習を開始しています。「ものづくり科」学習は、ものづくり学習に「だれ」に対して「何を」作ってあげるのかを明確にした「他者への思いやりの心の学習」を加えたものです。
同校は、生徒の自立する力や社会とかかわる力の育成を支援する金融教育の研究校として、また「ものづくり科」の学習の一環として販売体験活動に取り組んできました。
11月6日(水)に金融教育公開授業を開催し、1年生を対象に「ものづくり科」での公開授業とダニエル・カール氏による講演会を行いました。
▼ 参加者内訳:
1.公開授業
公開授業では、「自分にできることで地域の方の役に立とう~相手意識に立ち、学んだ知識や技術を活用したものづくりを通して~」と題し、福島大学人間文化学類の角間陽子准教授にご指導いただきながら、商品にふさわしい価格について考えました。
まず、「お店で売られている商品の価格に含まれているものは?」との質問に対し、生徒たちは、材料費、人件費、電気・ガス・水道代、運送費、建物賃料・土地代、消費税、固定資産税、商品開発費、利益などを挙げました。
次に、4種類のコースターのそれぞれの商品の特徴と価格が示され、生徒たちは価格から消費者が持つと思われるイメージや気持ちを考え、購入する理由と購入しない理由を列挙して意見交換をしました。そして、消費者がその商品にふさわしい価格であると何を根拠に判断するかについて意見を出し合い、4種類のコースターを購入する理由はそれぞれ異なること、その商品ならではの良いところ、すなわち付加価値(コースターの使い勝手や見た目、素材、柄、丈夫さなど)によって価格が変わることを学びました。
授業を終えて、生徒からは「自分は何を見て何を考えて物を選んでいるのかを改めて考えることが出来た。これからも買い物をするときは、安いからだけではなく、どのようにして作られているのか、違いはどうかなど、いろいろ考えて買おうと思った」、「このことを思い出して自分たちの商品(販売活動に向けて製作したもの)にも値段をつけていこうと思った」といった感想が聞かれました。
2.講演会
公開授業の後、ダニエル・カール氏から、「金融教育を考える~日米の生活体験を通して~」と題する講演が行われました。
ダニエル氏は、高校時代に日本に留学した際、ホームステイ先の子供が親に向かって「お金をちょうだい」と手を出し、親がお金を与えるとお礼も言わずに買い物に行ってしまった姿を見て大変驚いた、と話されました。ダニエル氏自身は6歳のころから“chore”(家事労働)をして自分のお金を得ていて、労働の対価として得た金銭の重みとその後の管理の重要性などについて体験を通して学んできたと語られました。
10代になると父との間で契約書を交わし、契約の意味とその大切さ、クレジットの怖さ、住宅ローンの仕組み、貯蓄・投資の仕方などについても全て父から学んだと話されました。続いて、日本ではお金のことを話すのはタブー視されているが、社会に出た時に狙われないようにするには正しい金銭感覚が必要であり、お金のことを知るうえで一番勉強になるのは親からの話、とくに失敗談を聞くことだと語られました。
最後に、親子でお金についていろいろと話し合って健全な金銭感覚を養うことの重要性を強調し、締めくくりとしました。
参加した保護者からは、「親の子を思う気持ちや、家族とお金についてもっと深く話し合うことの大切さを伝えていただいてありがたかった」との声が聞かれました。また、生徒からは、「お小遣いをもらうのは当たり前だと思っていたが、これからは親が一生懸命働いて手に入れた大切なお金なので感謝してもらいたい」「親からよく『そんなもの、本当に必要なの?』と聞かれることがありましたが、親がそう言ってくれていたのは、せっかく自分たちが稼いだお金を無駄なことに使ってほしくなかったことと、正しいお金の使い方を学んでほしかったからなのだと思いました」などの感想が寄せられました。
3.プログラム
- 13:30~14:20
- 公開授業
「自分にできることで地域の方の役に立とう」~相手意識に立ち、学んだ知識や技術を活用したものづくりを通して~(1年生・ものづくり科)
授業者:諏訪市立諏訪南中学校教諭 小口博子 - 14:45~14:50
- 開会挨拶
諏訪市立諏訪南中学校校長 平田孝司
- 15:00~16:00
- 講演「金融教育を考える~日米の生活体験を通して~」
講師:ダニエル・カール氏 - 16:00~16:05
- 閉会挨拶
- 長野県金融広報委員会事務局長 新免博之