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金融商品を巡る環境の変化と自己責任時代
金融商品に関する消費者保護

(平成23・24年用)
金融商品を巡る環境の変化と自己責任時代
金融商品購入に関する消費者保護
金融商品販売法の3つの柱
近年、さまざまな金融商品が身近な商品として提供されるようになっていますが、消費者に対して、金融商品の販売や勧誘を行う際、金融商品販売業者の説明が不十分だったことが原因で、たとえば元本割れが生じた場合などにトラブルにつながるケースが少なくありません。このようなトラブルから消費者を保護するため、「金融商品の販売等に関する法律」(以下、「金融商品販売法」といいます)が施行されています。金融商品販売法に定められている主要な点は以下の3点です。

重要事項に関する説明義務
この法律では、金融商品販売業者が金融商品の販売を行う場合は、その商品が持っているリスクなどの重要事項について、消費者にきちんとした説明を行わなければならない旨が定められています。具体的には、以下の重要事項について説明義務が生じます。
| 重要事項 | 元本割れのおそれがあることとその要因 元本を超える損失が生ずるおそれとその要因 (要因)金利、為替、有価証券などの相場変動 (例:外貨預金、投資信託) (要因)金融商品販売業者や社債発行企業の業務または財産の状況変化 (例:社債)など |
|---|---|
| 金融商品の権利を行使することができる期間の制限や解約期間の制限 (例:投資信託で一定期間解約できないタイプ) |
金融商品販売業者
次の対象金融商品を取扱っている金融機関などをさします。
対象金融商品
この法律は、以下のとおり幅広い範囲の金融商品が対象となっています。
対象となる金融商品の例
預貯金、定期積金、金銭信託、公社債、株式、投資信託、保険・共済、抵当証券、商品ファンド、デリバティブ(金融派生商品)、外国為替証拠金取引など
個人情報保護法
平成17年4月から個人情報保護法が完全施行されました。これは、個人情報を5,000件以上管理している金融機関などの個人情報取扱い事業者に対し、「生存する個人に関する情報で特定の個人を識別可能なもの」について、本人の了解なしに流用や売買・譲渡することを規制する法律です。金融機関に提供する個人情報も、当然この法律の保護の下にあり、この法律を守らない金融機関は届出や訴えにより法律で罰せられます。
個人情報を第三者が利用する場合には、本人の同意が必要です。
利用方法による制限
第三者は利用目的を本人に明示しなければなりません。
正確性の確保
個人情報を利用する第三者は常に正確な個人情報を保つようにしなければなりません。
安全性の確保
流出や盗難・紛失を防止して個人情報の安全性を確保しなければなりません。
透明性の確保
本人が閲覧可能であること、本人の申し出により訂正を加えること等の透明性を確保することが求められます。
金融機関に財産などに関する個人情報を提供する場合は、以上のような点を金融機関が守って業務を行っているかによく注意しておきましょう。
損害賠償の請求
上記の重要事項の説明がなかったことによって、消費者が損害を被った場合、金融商品の販売業者に対して損害賠償の請求が可能です。
これまではこうしたトラブルを原因とする損害賠償は、民法709条の不法行為に基づいて請求しなければなりませんでした。この場合、
- 金融商品販売業者が金融商品のリスクや取引の仕組みの重要部分などについて、顧客の知識・経験・財産の状況や取引の目的に照らして、十分な説明をする義務があること、不確実な事項について断定的判断を提供しないこと、
- 金融商品販売業者が1.に違反したこと、
- 消費者に損害が発生したこと、
- その損害と説明義務違反との間に因果関係があること、
のすべてについて、消費者側に立証責任がありました。
金融商品販売法の施行により、1.の金融商品販売業者の説明義務等が明確になったほか、3.の損害は元本割れとなっている額相当であること、4.の損害と説明義務違反には因果関係があることがそれぞれ推定されることになりました。したがって、消費者側の立証責任は、2.の金融商品販売業者が説明義務に違反したことのみとなり、これまでに比べて負担が軽くなりました。
勧誘方針の公表
また、金融商品販売業者はそれぞれが販売における勧誘方針を定めて、これを公表しなければならないことになりました。具体的な勧誘方針は以下のとおりです。

金融商品販売業者がこれに違反した場合は、過料に処されることになります。また、勧誘方針の公表は、勧誘の適正さを確保するだけでなく、その内容を消費者や消費者団体などに評価されることになるので、業者間の競争促進、ひいては消費者へのサービス向上につながることになります。
金融商品販売法と消費者契約法
「金融商品販売法」とあわせて「消費者契約法」が同時に施行されています。消費者契約法は、消費者と事業者との間で締結される契約のすべてを対象としています。事業者が、契約を結ぶ際に重要な情報を伝えなかったり、「再三訪問したうえ、契約するまで居座る」などの消費者を困惑させる行為を行った場合、消費者はその契約を取消すことができるとされています。
金融商品販売法と消費者契約法は、下記のように要件が異なりますので、金融商品の販売にはその両方が適用されます。

金融商品を購入する際のチェックポイント
これらの法律は、消費者の利益を確保するために定められたものです。しかしながら、消費者自らも、金融商品を購入する際には、重要と思われる事項や理解できない事項については、納得できるまで金融商品販売業者に質問する、契約前には必ず勧誘時の説明内容と契約内容に違いがないかなどをしっかりと把握することにより、トラブルを未然に防ごうとする心構えが大切です。
最後に、金融商品を購入するときのチェックポイントを挙げておきます。なお、すべてのポイントを網羅しているわけではありませんので、あくまでも参考としてください。
金融商品を購入する際のチェックポイント
- あなたが購入しようとしている金融商品について、重要事項に関する説明を受けましたか?
- その説明で十分に理解できましたか? わからない内容や金融用語については、納得できるまで質問し、理解しましょう。
- 売買手数料や中途解約の場合の手数料、その他のコストがどれくらいかかるかわかりましたか。
- 金融商品のパンフレットや説明書は契約が終わるときまで保管しましょう。
- 金融商品販売業者の経営状態は安全ですか?
- 金融商品販売業者の勧誘方針はチェックしましたか?
トラブルが発生したときには、金融ADRの指定紛争解決機関、各金融機関・金融関係団体の苦情・相談窓口、消費生活センター、国民生活センターなどが相談に応じます
金融に関する情報収集、相談窓口
消費生活センター http://www.kokusen.go.jp/map/
国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/map/
外貨建て個人年金保険のコストと解約
ドルなどによる外貨建て個人年金保険という金融商品があります。これには次のような様々なコストがかかります。
-
為替手数料―円で年金をもらう場合、購入時に円をドルに、年金支払い時にドルを円に換えるために、為替手数料がかかります。
-
契約時費用―契約時にかかる費用です。
-
保障・運用コスト―運用期間中にかかる費用で積立金の一定割合で計算されます。
-
解約控除―中途解約する場合にかかる一種のペナルティで、解約返戻金から控除されますが、据置期間(解約するとペナルティが課せられる期間)が10年等と長いのが一般的です。
-
据置き期間延長費用―年金原資の据置きを延長する場合にかかります。
-
年金支払い費用―年金が支払われる期間に年金額に対して一定割合で計算されて引かれます。
外貨建て個人年金保険の場合、為替リスクがあり、また運用対象が外国債券であれば信用リスクがあります。こうしたリスクに加えて、上記のような様々なコストがかかります。特に「解約控除」といわれるコストは、変額年金と同様にかかるもので、その金額が高くなるので、注意してください。
金融商品取引法
金融・資本市場をとりまく環境変化に対応して、金融商品によってバラバラだった法体系を横断的にひとつにまとめ、投資家保護ルールを徹底させ、金融商品利用者の利便性を向上させるため、従来の証券取引法が抜本的に見直され、平成18年6月7日に金融商品取引法が成立し、平成19年9月30日に施行されました。
金融商品取引法では、証券会社や投資顧問会社など規制対象となる業者を「金融商品取引業者」と、また証券取引所などの取引所を「金融商品取引所」と法律上呼ぶことになりました。ただし「証券会社」や「証券取引所」などの名称を引き続き使用することはできます。

金融商品の規制の仕組み

規制対象となる金融商品
金融商品取引法は、株式・債券・投資信託・金融先物取引など元本が保証されていないリスク商品について、横断的に共通の販売・勧誘ルールを設定しました。この中には今まで規制の対象外だった「任意組合」や「匿名組合」による投資ファンドや多様なデリバティブ取引も含まれることになりました。
そして販売・勧誘、資産運用・助言および資産管理を全て本来業務とした上で、その内容に応じて規制を整備しています。また、いわゆるプロ向けと一般向けの商品類型などに応じて差異のある柔軟な規制も一つの特徴となっています。
販売・勧誘ルール―投資家へのリスク説明など
業者が販売・勧誘を行う際には、次のようなルールを守らなければなりません。違反した場合は行政処分の対象になります。
- 標識の掲示
−営業所ごとに、見やすい場所に標識を掲示しなければならない。 - 広告の規制
−金融商品取引業者である旨及び登録番号などを表示しなければならない。
−利益の見込みについて、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。 - 契約前の書面交付
−金融商品取引業者である旨及び登録番号などを表示しなければならない。
−契約の概要や手数料の概要について記載しなければならない。
−「損失が生ずることとなるおそれ」や「損失の額が、顧客が預託すべき保証金などの額を上回ることとなるおそれ」があるときは、その旨を記載しなければならない。
- 契約時の書面交付
- 禁止行為
−「虚偽のことを告げる行為」や「不確実な事項について断定的判断を提供し勧誘する行為」の禁止。
−勧誘の要請がない顧客に対する訪問・電話による勧誘の禁止。(当面は店頭の金融先物取引、つまり外国為替証拠金取引FXなどを対象とする)
−顧客が契約しない意思を表明した場合の勧誘の継続の禁止。(当面は店頭の金融先物取引、つまり外国為替証拠金取引FXなどを対象とする)
- 損失補てんの禁止
- 適合性の原則
−顧客の知識・経験・財産の状況と契約目的に照らして不適当な勧誘をし、投資者保護に欠けることのないようにしなければならない。
投資性の強い預金・保険等に関する規制強化
金融商品取引法の施行と併せて、「銀行法」や「保険業法」で規制される預金や保険のうち、投資性の高いものについても、利用者保護の立場から金融商品取引法と基本的に同様の販売・勧誘ルールが適用されます。
| 投資性の強い預金など(銀行法など) | 外貨預金 | 為替相場の変動により、円建て元本の欠損が生じるおそれがある預金 |
|---|---|---|
| デリバティブ預金 | 中途解約の場合に、金利動向に基づき計算される違約金により、元本欠損が生じるおそれがある預金 | |
| 投資性の強い保険など(保険業法など) | 外貨建て保険・年金 | 為替相場の変動により、円建ての保険金などにつき損失が生じるおそれがある保険・年金 |
| 変額保険・年金 | 運用状況により、保険金などにつき損失が生じるおそれがある保険・年金 | |
| 投資性の強い信託など(信託業法など) | 指定金銭信託(実績配当型) | 運用状況により、元本欠損が生じるおそれがある信託 |
| 商品先物取引(商品取引所法) | 商品の価格などの変動により、損失が生じるおそれがある取引 | |
| 不動産特定共同事業(不動産特定共同事業法) | 不動産取引の状況により、損失が生じるおそれがある取引 |
いわゆる投資ファンドについて
近年いわゆる投資ファンドによるインサイダー取引などが話題になっています。
一般にファンドとは、複数の投資家から資金を集めて、その資金によって行われる事業や資産運用の利益を投資家に分配する仕組みのことです。次の表にあるように様々なかたちのものがあり、民法上の任意組合、商法上の匿名組合もファンドにあたります。金融商品取引法の成立により、これらのファンドは根拠法令も含め、全体として販売規制等の法規制を受けることになりました。
| ファンド | 根拠法令 | |
|---|---|---|
| 会社型 | 投資法人 | 投資信託および投資法人に関する法律 |
| 特定目的会社 | 資産の流動化に関する法律 | |
| 信託型 | 投資信託 | 投資信託および投資法人に関する法律 |
| 特定目的信託 | 資産の流動化に関する法律 | |
| 組合型 | 任意組合 | 民法 |
| 匿名組合 | 商法 | |
| 投資事業有限責任組合 | 投資事業有限責任組合契約に関する法律 | |
| 有限責任事業組合 | 有限責任事業組合契約に関する法律 |
|
こうしたファンドに投資する場合は、次の点に留意してください。
- ファンドがどのような法的契約によって組成されているか。
- ファンドが投資家保護の観点から、行政の監督を受けているか(詐欺的なファンドの中には、行政の許可などを受けていると詐称する場合もあります)。
- ファンドの投資内容とリスクについて、十分な説明があるか。
- 投資した資金の使途について正確な情報の開示がされているか。
- ファンドの取扱い業者および取扱い業者が投資をする場合の投資先業者(実際の投資先)が信頼できる業者であるか。
- ファンドの勧誘に際して、商品について十分な説明が得られない場合、ファンドの仕組みが理解できない場合は、はっきりと断ることが重要です。
金利の規制等について
貸金の金利を規制する法律は、利息制限法と出資法の2つがあり、前者が民事的に無効となる金利について定め、後者が刑事罰の対象となる金利の限界を定めています。もう1つ、独立した法律ではありませんが、貸金業規制法の中に高金利を定めた金銭消費貸借契約の無効を定めた条文があります(同法42条の2)。平成18年にこれらの法律の改正が決められ、平成22年6月に完全施行されました(一般的に、「改正貸金業法」と言われています)。この改正により「総量規制」が行われることになりました。
総量規制とは個人の借入総額が、原則、年収等の3分の1までに制限される仕組みです。個人が新たに貸金業者から借入をする場合、その個人の同意を得て、貸金業者は指定信用情報機関が持つ個人信用情報を使って、他の貸金業者からのその個人の借入残高を調査します。貸金業者が自社の貸付残高が50万円を超える貸付を行う場合、あるいは他の貸金業者を含めた総貸付額が100万円を超える貸付を行う場合は、収入を明らかにする書類の提出を求め、年収等の3分の1を超えないかの確認をします。
指定信用情報機関は、信用情報提供を行う法人で、内閣総理大臣によって指定されている次の団体です。
| 指定信用情報機関名 | 摘要 |
|---|---|
| 全国信用情報センター連合会 | 消費者信用関係の信用情報機関 |
| 全国銀行個人信用情報センター |
全国銀行協会が運営する機関 |
| 株式会社CIC | (社)日本クレジット産業協会と(社)全国信販協会が母体の機関 |
| 株式会社CCB | 外国資本の消費者金融などの機関 |
| テラネット | 銀行系消費者金融や銀行系・流通系クレジットカード会社が加盟している機関 |
ところでこの総量規制には、銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・農協等の金融機関からの借入は対象外なほか、不動産購入や自動車購入のための借入も除外されます。また、緊急の医療費の借入などについては、この総量規制の例外とされます。収入のないいわゆる専業主婦が消費者金融から借入をする場合は、借入金額が夫の収入の3分の1以内かどうかを確認することが必要になります。
出資法
出資法5条2項は、金銭を貸付ける者が「業」として(反復継続してということ)貸付を行う場合、年20%を超える割合による利息の契約をしたときは、刑事罰の対象となり、5年以下の懲役、もしくは1,000万円(法人の場合3,000 万円)以下の罰金を科すとしています。
利息制限法
利息制限法では、貸金の利息・損害金(支払期限に遅れたときにペナルティーとして付けられるもの。遅延損害金あるいは遅延利息ともいいます)について、貸金元本(元金)の金額に応じて、次のような上限金利を定めています。利息制限法の上限金利と出資法の上限金利(20%)の間の金利での貸付けについては、行政処分の対象となります。
また貸付利息と借り手が保証業者に支払う保証料を合算して利息制限法の上限金利を超過した場合、超過部分につき、原則として、保証料は無効となります(また、出資法に基づき、保証業者は刑事罰の対象となります。)。
| 元本 | 利息 | 損害金 |
|---|---|---|
| 10万円未満の場合 | 年20% | 年29.2% |
| 10万円以上100万円未満の場合 | 年18% | 年26.28% |
| 100万円以上の場合 | 年15% | 年21.9% |
この利息制限法による利率の制限を超える場合には、不当利得返還請求ができます。すなわち、すでに制限を超えて支払った部分については、利息ではなく元本の支払いに組入れることができ、その結果元本がなくなっているはずなのに支払われた金銭については返還を求めることができます。

貸金業規制法42条の2
ヤミ金融対策として、平成15年9月1日から貸金業を営む者(貸金業者だけではなく無登録で営業する業者を含む)が年109.5%を超える利息の契約をしたときには、その金銭消費貸借契約は無効とされています。したがって、このような高金利を定めた契約の借主は、契約上、利息も元本も支払う義務はありません。
ヤミ金融から身を守る
ヤミ金融とは法律を無視した高金利でお金を貸そうとする無登録の金融業者です。10日で4割(トヨン)、10日で5割(トゴ)といった違法な高金利の利息をとる業者もあります。
「低金利で融資」「他店で断られた方でもOK」「らくらく・簡単」「即日融資」など消費者の心理をついて甘い言葉で、電話・チラシ・ダイレクトメールなどで勧誘してきます。一度ヤミ金融から借入れると、他の同様な業者からも勧誘が頻繁に行われるようになります。業者間で情報を共有していると考えられます。
ヤミ金融の手口にはたとえば次のようなものがあります。
-
「整理屋」
「あなたの債務を整理・解決します」などと広告し、多重債務者から「整理手付金」などの名目で現金をだましとる。
-
「買取屋」
融資の条件としてクレジットカードで商品を次々と買わせ、それらを定価以下の安い金額で買取るか、またはさらに高金利で融資する。申込者には業者への借金のほかにクレジット会社への債務が残る。
そこでヤミ金融とかかわりそうだと思ったら、次の点をおさえてください。
- 財務局長または都道府県知事の登録を受けているか。
-
法律違反の高金利でないか
出資法や利息制限法で定める上限金利を超える金利、例えば「10日で3割〜5割」、「3万円借りて7日後に1万円の利息」は違法金利です。 - 住所・電話番号・銀行の口座番号などの個人情報は教えない。
- 万が一借りる場合は契約書を必ず受取り保管する。契約書を渡さない業者からは借りない。
