ナビゲーションをスキップして本文へ

これより本文です

2015年度 先生のための金融教育セミナー

【小学校・中学校向け】

4.分科会(金融教育の事例紹介とワークショップ)/中学校分科会2

進行・コメント:
茨城県常総市立石下中学校 中澤 千佳子 教頭

実践発表およびワークショップ(1)

「環境に配慮したセンスある消費者をめざそう~自転車を題材とした授業実践~」
静岡県藤枝市立西益津中学校 内藤 博美 教諭

実践発表

「身近な消費生活と環境」という課題に取り組むため、自転車を題材とした授業実践を行いました。消費行動は生涯を通じて行われるものです。何をどのように選択していくかということは、一人ひとりの生き方にも相通ずるものがあると思います。社会の一員として環境に配慮した消費行動ができる生徒を育てたいと考えました。

生徒にアンケートを取ったところ、消費について、電気製品、自転車、衣服など高価な物は保護者とともに購入する生徒が多いことがわかりました。インターネットを利用することも多くなっています。一方、環境については、ごみの分別など環境への意識は持っているものの、環境に配慮した商品を買ったり、ノートや消しゴムを最後まで使い切るなどの心構えは不足しており、消費と環境を結び付けていく意識が低いことがわかりました。何気なく行っている生活の仕方が環境に負荷をかけていることに気付いていないと言えます。このような生徒の実態を受け、『環境に配慮したセンスある消費者をめざそう』とのタイトルで、消費と環境を関連付けて考えていく9時間の内容を考えました。

授業と日常生活の距離を縮めるため、身近な「自転車」を取り上げ、ストーリー性のある学習過程を工夫しました。自転車ストーリーの主人公を設定し、「買ってもらった自転車が盗まれてしまい、自分の小遣いで自転車を買う」という内容にしました。値段や性能をもとに購入場所を生徒に選択させ、どんな支払方法があるか学習しました。消費者トラブルについて、悪質商法のロールプレーを通して、だまされないための買い方の工夫についても考えました。そして、「購入した自転車に不具合があった」と設定し、消費者の権利と責任について学びました。続いて、「自転車が壊れ、それをどう捨てるのか」という学習に取り組み、消費から環境への橋渡しとしました。

さらに、循環型社会について、エコマークの持つ意味について考えさせました。シミュレーションを通して、環境に配慮した生活方法を工夫する力を身に付けさせました。最後に、エコライフ計画を立て、夏休みに実践してもらいました。暮らし方を点検し、点数で表すことで、自己の生活の仕方を意識できたと思います。また、言語活動の充実の観点から、学習記録を毎時間取らせ、小集団での話し合いも行いました。

成果としては、自転車をストーリーの主題として扱い、購入から廃棄までの一連の流れを捉えさせたことで、生徒たちの問題意識を持続させることができ、実際の生活場面に役立たせていこうとする意識の醸成につながったと思います。実践的な学習活動を多く取り入れたことで、生徒は、解決すべき課題を見つけることができ、思考を深めることができました。また、1時間ごとのワークシートを作成し、毎時間の学習記録を取ったことで、生徒自身の学びの定着を図ることができ、他者と意見交換をすることで、比較や深化を図ることができたと思います。学習前後のアンケート結果の比較により、子供たちは授業を通して、家庭での心掛けがより深まったといえます。

今後の課題としては、生活に生かす力の育成は実生活で確認できるものであって学校では把握が難しいため、定期的に生活を振り返る学習機会を設けたり、生徒の実践状況を把握するために調査を実施したりする必要や、小学校との関連を図る必要を感じました。

ワークショップ

先生方には、「完成率90パーセントの自転車をインターネットで購入し、残り10%を自分で組み立てた」ところ、「チェーンの部分の金具に不具合があるようで、チェーンが外れてしまう」という設定で、今後どのようなことが起きてくるか、どのように行動するかを考えていただきました。

その後、KJ法を用いてそれぞれのグループで意見をまとめていただき、グループごとに発表していただきました。

「販売会社や製造会社に電話する」という意見が多く出ましたが、消費者の行動の必要性や、問題が発生したときの責任、権利について押さえていく必要があることを確認しました。

コメント

中澤 千佳子先生より、以下のコメントがありました。

家庭科の少ない学習時間の中で、消費者教育を進めていくためには、社会科の学習内容とどう関連させるかが大事だと思います。システム的なこと、法的なことを学ぶ社会科と、生活に密着して考え、実践的なことを学ぶ家庭科という視点で整理をし、家庭科では生活から乖離させないことが大切です。国立教育政策研究所教育課程研究センターの参考資料ではカメラの事例を出していますが、それにとらわれずに、子供たちに身近な自転車を題材として取り上げたことは、意義のあることだと思います。

今回の報告は、社会科とも共通する消費者教育を取り上げていただきました。金融教育プログラムの年齢層別目標をお手元で見ていただくと、今回の実践では、自立した消費者、消費者の権利と責任といった内容がカバーされています。消費者教育を通して、本当に生きる力につながる金融教育というものが普段の授業展開の中でできるということを再確認していただけると思います。

今回の実践で、自己責任意識ということを大事にしたいというお話をしていただきましたが、それは非常に大事なことで、自己責任の意識を持って意思決定とするということは1回や2回の実践では身に付きませんので、ぜひ積み重ねていただきたいと思います。

また、「共生」の視点から快適さということを考えていくと、公正で持続可能な社会の形成につながっていくと思います。

一番大事なのは継続性です。長期的な視点であるとか、行動の持続性などを加えていただけると、さらに素晴らしい実践になると思います。

中学校分科会2の模様(1)

実践発表およびワークショップ(2)

「商品にふさわしい『価格』を考えよう」
長野県茅野市立北部中学校 小口 博子 教諭

実践発表

平成24年度から2年間、長野県金融広報委員会より委嘱を受けた金融教育研究校として、技術・家庭科(家庭分野)と、諏訪のものづくり教育「相手意識に立つものづくり科」で取り組んだ実践です。

「お金や金融の様々なはたらきを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の価値観や生き方をみがきながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う」金融教育は、2012年に成立した消費者教育推進法でめざす、自立した消費者の育成と消費者市民社会の形成に参画するための社会参加能力の育成とつながります。また「これからの生活を展望して、課題をもって生活をよりよくしようとする能力と態度を育てる(現行学習指導要領)」家庭科教育とも重なります。そこで技術・家庭科(家庭分野)の学びを生かし、諏訪のものづくり教育「相手意識に立つものづくり科」の学習活動の一環として行われるチャレンジショップ(販売体験活動)と関連させることで、社会参加能力の育成につながるのではないかと考え、25時間の題材展開を構想しました。

生徒たちは、地域の方やボランティアコーディネーターのお話を聞く中で、地域の方に見守られ育てられてきた自分に気づき、「自分も何かしてみたい」という思いをもちました。また、「自分たちには、ごみ拾いとあいさつくらいしかできない」けれど、何らかの方法でお金を集めれば、例えばボランティア団体に寄付することもできると気づき、生徒たちはお金を集めるために、自分たちで製作したものをチャレンジショップで販売することにしました。学習支援ボランティアの方にも協力していただきながら、お正月の縁起物や買い物袋、クッション、ぬいぐるみ、バッグ、布草履など様々なものを製作し販売しました。

公開授業では、生徒たちが製作したものを少しでも高く買ってもらうために、商品の「価値」にふさわしい価格とは何かを考えました。生徒たちは「値段を高くしたら品質をよくしないと、買い手は悪い印象をもってしまうと思う」と販売価格から受けるイメージに目を向けたり、「商品そのものに必要な性能がそろっていることを前提として、例えば女子高生向けならかわいらしくするとか、60~70歳代向けなら柄を昔風のものやシンプルなものにするといった、ターゲット別の付加価値にも見合った価格が、商品にふさわしい価格だと思う」と、商品の付加価値に目を向けたりしていました。

地域のために何かをしたいと考えたところから出発した25時間の題材展開は、生徒たちに「自分にできることで、何かをしよう」という意欲や「自分にもできることがある」という自信をもたせることができました。また生徒たちは、自分が生産者側の立場に立つことで、生産者がどんな気持ちで製品を販売しているかに気づいたり、商品を安く買う(売る)ことがよいとは言い切れないことに気づいたりしました。

一方、製作にあたって生徒たちの中にコスト意識が薄かったことや、チャレンジショップへの参加を決めてから販売までの4ヶ月の間、ずっと意欲をもち続けることが難しかった生徒がいたことが、課題として残りました。

ワークショップ

先生方には、公開授業で行った、商品の価値にふさわしい価格について考える授業を体験していただきました。商品の価格に含まれるものを確認後、価格から、買い手が持つイメージや気持ちを挙げていただきました。4種類の、販売価格や生産者の異なるコースターを例に、それぞれ買い手が購入しようと思う理由、または購入しないと思う理由をグループごとに考えて発表後、商品の使用価値と付加価値を確認しました。最後に、商品にふさわしい価格とは何かを考えていただき、それを書き出すとともに、互いに発表し合い、意見交換をしていただきました。

コメント

中澤 千佳子先生より、以下のコメントがありました。

発表全体を通して、意思決定という話がありました。授業では、意識的な意思決定の場をたくさん設けることが必要だと思います。問題解決的な学習や、アクティブ・ラーニングをする際に、金融教育の要素を加え、考えたり選択したりする機会を多く設定することで金融教育の充実にもつながっていくと思います。できるだけ授業の中で、考える機会を持たせること、「わかった」「できた」という体験をさせることが重要になってきます。経済状況などが複雑化し、家庭科の中でもお金のことをしっかり教えなければなりません。また、お金に関して意思決定するには、自分自身の消費行動に責任を持つ必要があります。基礎的なことだけではなく、活用するところまでしっかり教えなければならないということを、改めて感じました。この情報化社会で生きていく子供たちを支え、生きる力につなげていくために、情報の取捨選択、社会志向性の高い意思決定が必要だと感じました。チャレンジショップで販売することにより、製作した物が実際に利用されるという喜びが体験できるとともに、お金について実感的に学ぶ機会になると思います。

中学校分科会2の模様(2)

著名人・有識者が語る

  • 脳科学者 中野信子さん
  • 作家 上橋菜穂子
  • 落語家 林家たい平さん
  • 劇作家・演出家・女優 渡辺 えりさん
  • 青山学院大学陸上競技部監督 原 晋さん
  • 東京女子医科大学・先端生命医科学研究所教授 清水 達也さん
  • 元スピードスケート選手/長野五輪銅メダリスト 岡崎 朋美さん
  • 工学博士 石黒 浩さん
  • 日本体育大学教授 山本 博さん
  • 編集者・評論家 山田 五郎さん
  • 作家 荒俣宏さん
  • 医学博士 日野原重明さん
  • 山形弁研究家、タレント ダニエル・カールさん
  • 公認会計士 山田真哉さん
  • タレント パトリック・ハーランさん
  • 精神科医、立教大学教授 香山 リカさん
  • 野球解説者 中畑 清さん
  • 順天堂大学准教授 鈴木大地さん
  • 昭和女子大学理事長・学長 坂東眞理子さん
  • プロスキーヤー、クラーク記念国際高等学校校長 三浦雄一郎さん
  • 明治大学文学部教授 齋藤孝さん
  • マラソンランナー 谷川真理さん
  • 数学者 秋山仁さん
  • TVキャスター 草野仁さん
  • サッカー選手 澤穂希さん
  • ピアニスト 梯剛之さん
  • 女優 竹下景子さん
  • 食育研究家 服部幸應さん
  • おもちゃコレクター 北原照久さん
  • 宇宙飛行士 山崎直子さん
  • 早稲田大学名誉教授(工学博士) 東日本国際大学副学長 エジプト考古学者 吉村作治さん
  • 工学博士 淑徳大学教授 北野大さん
  • 登山家 田部井淳子さん
  • 音楽家 タケカワユキヒデさん

おすすめコンテンツ

  • くらし塾 きんゆう塾
  • 刊行物のご案内
  • 金融経済教育推進会議
  • ナビゲーター
  • YouTube
  • メディア情報