家のたたみ方と墓じまい
「空き家」放置の問題点と解決法は?
墓じまいの種類と流れ
墓じまいには「改葬」と「墓終(じま)い」の2種類がある
故郷の家をたたむのと同時に、気になるのがお墓。遠く離れていて十分に供養や管理ができないのであれば、墓じまいを考える必要があります。
墓じまいには、「改葬」と「墓終い」の2種類があります。「改葬」とは、通いやすい場所にお墓を移動させる、いわばお墓のお引越しです。一方「墓終い」は、古いお墓をなくし、永代供養墓にしたり散骨するなど、お墓自体を解体してしまうことです。
どちらの墓じまいにしても、寺院が管理している墓所の場合、住職の了承を得なければなりません。最近では、墓じまい代行サービス業者も増えましたが、寺院への連絡・交渉はサービス業務外としている会社も多く、基本的には自分で交渉する必要があります。
菩提寺(先祖代々に渡り供養や法要を行ってもらっている寺院)と檀家の関係の場合、墓じまいをもって離檀することになる場合もあります。その際に、法外な離檀料を請求されるなど不要なトラブルを避けるためにも、これまでお世話になった寺院に対して、時間をかけて丁寧に事情を説明することが大切です。
また、離檀料以外にも墓じまいには、お墓の撤去料や寺院へのお布施など、さまざまな費用がかかります。
おさえておきたい墓じまいの流れ
墓じまいの流れとしては、まず、親族と墓じまいの方法を決め、現在のお墓の管理者(寺院や霊園)へ改葬・墓終いの意思を伝えます【図表8】。
親族と相談し遺骨の供養方法を決めたら、現在のお墓の管理者(寺院や霊園)へ墓じまいの意思を伝える
改葬 | 墓終い | |
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定義 | 新しいお墓や納骨堂で先祖代々の供養を続けるなら「改葬」 | 先祖代々のお墓をなくし、永代供養墓に移したり散骨をするなら「墓終い」 |
手続き① | 移転先の管理者に「受入証明書」を発行してもらう | 市区町村や管理者によって必要な手続きが異なるため確認する
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手続き② | 現在のお墓がある市区町村で「改葬許可申請書」を入手する
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手続き③ | 現在のお墓から遺骨を取り出し、更地に戻す
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手続き④ | 取り出した遺骨を新しいお墓に埋葬する
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遺骨を供養する |
- (出所)
- 監修者作成
「改葬」する場合は、「改葬許可証」が必須となりますので、まずは移転先のお墓の管理者から、「受入証明書」を発行してもらいます。次に、「改葬許可申請書」を現在のお墓がある市区町村から入手します。申請書には「誰の遺骨を」、「どのような理由で」、「どこからどこへ移動するのか」といった事項の記入が必要です。また、現在のお墓の管理者にも埋葬証明欄への記入を依頼します。
これら二つの書類が揃ったら、現在のお墓がある市区町村に提出し、「改葬許可証」を発行してもらいます。「改葬許可証」を手に入れたら、現在のお墓から遺骨を取り出し移動させます。そして、移転先のお墓の管理者に「改葬許可証」を提示し、遺骨を新しいお墓に埋葬します。
一方、「墓終い」で同寺院内での永代供養をしてもらう場合には、「改葬許可証」などの書類手続きは不要な場合も多いです。ただし、寺院への永代供養料の支払いなどは必要です。
また、散骨については、法律が整備されておらず、市区町村や墓地の管理者、散骨業者とよく相談しながら進める必要があります。
今後、相続などで実家や先祖代々のお墓を引き継ぐことになる人は増えると予測されますが、そうした可能性のある人は、ほかの親族とも早くから相談して、どういった対処をするか決めておくことが大切だといえるでしょう。